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第3話-報道
報道-13
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町田恵理子はその日、当直であったので家には帰宅せずアナウンス部に一人残り翌朝の番組進行表を見返していた。
久しぶりのメイン司会で、いつも以上に気合いが入る。
10年前は自分がそのポジションについていたのだが、例の不倫のせいで番組は降板、半年間の謹慎と苦い思いをした。
そして、田沢はというと不倫の件もなんのそのといった感じで順調に出世していくのであった。それが、恵理子は許せなかった。
フリーのアナウンサーになれば別の道があったのかもしれないが、ゲテモノアナウンサーの枠には絶対入りたくないそう思った恵理子は苦しい思いをしてでも局に残ることにしたのだ。
だが、田沢は次々と局の女性アナに手を出していき続け、捨てられた女性アナウンサーは数知れず局を去っていった者も少なくなかった。
そんなある日、恵理子は田沢殺害を決める出来事が起きた。
その日の事を思い出し、手に握られたボールペンをへし折ってしまう。
「あ!!」思わず力が入っていた事に驚く恵理子は、ゴミ箱にそのボールペンを捨て顔を上げると目の前に京助と薫が立っていた。
「どうも。何度もすいません」
京助は申し訳なそうに、声を掛けた。
「まだ、私に何か?」恵理子が不機嫌そうな顔で用件を尋ねる。
「はい。実は田沢さん殺害に共犯がいたことが判明しまして」薫が答えた。
「ミミちゃんが何か自供したんですか?」
「いいえ、彼女は何も語っていません」
「そうですか」
薫の返答を聞き、どこか安堵した様子を見せる恵理子。
「町田さん。共犯の正体を知りたくありませんか?」
京助からの思わぬ提案に「え? 何で私なんですか?」と恵理子は戸惑いを隠せないようであった。
「その理由をお答えしましょう。それは、町田恵理子さん。貴方が共犯なのですから」
「私が!? 何の根拠があって仰っているんですか?」
「根拠は数多くありますよ」
京助はそう答えながら、本腰を入れるため恵理子が座る隣の椅子に腰を下ろした。
「まず、被害者の田沢さんの死因になった毒物が判明しまして。その毒物はアトロピンでした」
「そうですか」
恵理子は動じることなく、京助の話に耳を傾ける。
「アトロピンに聞き覚えがあるんではないですか?」
「確かに私が研究していたチョウセンアサガオの毒ですから」
「でしたら、毒の抽出方法の知識がおありではないんですか?」
「それだけで、私が犯人だと? 田沢さんを殺す理由もないのに」
「失礼ですが、殺害する理由はあるんじゃないんですか? 10年前に田沢さんと不倫していましたよね」
「だったら何ですか?」
恵理子は反抗的な目で京助と薫を見る。
「女を怒らせる事は恐ろしい。これは、我が家の家訓でしてね」京助はしたり顔で答える。
「では、その家訓に基づく説明をして欲しいです」
「分かりました」
京助は恵理子の願いを聞き入れるのであった。
久しぶりのメイン司会で、いつも以上に気合いが入る。
10年前は自分がそのポジションについていたのだが、例の不倫のせいで番組は降板、半年間の謹慎と苦い思いをした。
そして、田沢はというと不倫の件もなんのそのといった感じで順調に出世していくのであった。それが、恵理子は許せなかった。
フリーのアナウンサーになれば別の道があったのかもしれないが、ゲテモノアナウンサーの枠には絶対入りたくないそう思った恵理子は苦しい思いをしてでも局に残ることにしたのだ。
だが、田沢は次々と局の女性アナに手を出していき続け、捨てられた女性アナウンサーは数知れず局を去っていった者も少なくなかった。
そんなある日、恵理子は田沢殺害を決める出来事が起きた。
その日の事を思い出し、手に握られたボールペンをへし折ってしまう。
「あ!!」思わず力が入っていた事に驚く恵理子は、ゴミ箱にそのボールペンを捨て顔を上げると目の前に京助と薫が立っていた。
「どうも。何度もすいません」
京助は申し訳なそうに、声を掛けた。
「まだ、私に何か?」恵理子が不機嫌そうな顔で用件を尋ねる。
「はい。実は田沢さん殺害に共犯がいたことが判明しまして」薫が答えた。
「ミミちゃんが何か自供したんですか?」
「いいえ、彼女は何も語っていません」
「そうですか」
薫の返答を聞き、どこか安堵した様子を見せる恵理子。
「町田さん。共犯の正体を知りたくありませんか?」
京助からの思わぬ提案に「え? 何で私なんですか?」と恵理子は戸惑いを隠せないようであった。
「その理由をお答えしましょう。それは、町田恵理子さん。貴方が共犯なのですから」
「私が!? 何の根拠があって仰っているんですか?」
「根拠は数多くありますよ」
京助はそう答えながら、本腰を入れるため恵理子が座る隣の椅子に腰を下ろした。
「まず、被害者の田沢さんの死因になった毒物が判明しまして。その毒物はアトロピンでした」
「そうですか」
恵理子は動じることなく、京助の話に耳を傾ける。
「アトロピンに聞き覚えがあるんではないですか?」
「確かに私が研究していたチョウセンアサガオの毒ですから」
「でしたら、毒の抽出方法の知識がおありではないんですか?」
「それだけで、私が犯人だと? 田沢さんを殺す理由もないのに」
「失礼ですが、殺害する理由はあるんじゃないんですか? 10年前に田沢さんと不倫していましたよね」
「だったら何ですか?」
恵理子は反抗的な目で京助と薫を見る。
「女を怒らせる事は恐ろしい。これは、我が家の家訓でしてね」京助はしたり顔で答える。
「では、その家訓に基づく説明をして欲しいです」
「分かりました」
京助は恵理子の願いを聞き入れるのであった。
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第6回ホラー・ミステリー小説大賞で投票してくださった方々、誠にありがとうございました。お気に入り,エール,感想をお待ちしております。
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