迸れ!輝け!!営業マン!!!

飛鳥 進

文字の大きさ
上 下
28 / 45
第2話-救出

救出-13

しおりを挟む
「どういう事だ?」
 佐保田が説明を求めると、京助は語り始めた。
「そうですね。じゃあ、単刀直入に佐保田さんは犯人グループの一味ですよね」
「とんでもない言い掛かりだな」
「そうでしょうか? 俺は少なくともこの家に来た時から貴方を疑っていましたよ」
「ふっ」佐保田は鼻で笑って一蹴する。
「金智さん。どうして、警察の佐保田さんが犯人なんですか?」浩が質問してきた。
「警察だからこそ犯人なんですよ。それに犯人一人だけじゃないですし、大穴さんもその仲間ですから。良いですか? 太秦さん。トリックはこうです。事前に家庭環境を調べるのは大穴さんの役割。そして、ある程度の情報を収取したら誘拐を決行するんだと思います。多分、誘拐を担当しているのも大穴さんでしょう」
「ちょっと、待ってください。我が家の家族全員が大穴さんと面識があると思いますが、他のご家庭はどうなんです? 全ての家庭が大穴さんと面識があるとは思えませんが」
 浩は当然の疑問をぶつける。
「ご主人の言う通りだ。営業マンが探偵の真似事をしようってのが間違いなんだよ」
 佐保田は嫌味を言うのだが、京助は気にしない感じで話を続ける。
「ご主人の疑問に答えるなら、大穴さん。いや、犯人グループが狙っている家庭は家族全員を知ることが出来る。そういった家庭を狙っているんですよ。つまりは、ホームパーティ―を行うご家庭とかですね。要は家族ぐるみで付き合うことができる家庭です」
「そんなのお前の推測に過ぎないだろ」佐保田がすかさずいちゃもんをつける。
「推測。そう言われたら、そうかもしれませんね。でも、それを確認してくれる人物が居るんですよ。薫ちゃん」
「はい。北澤さん、今までの話を聞いてくれましたか?」
 薫はスピーカーモードにしたスマホに語りかけると「ああ、聞こえているよ」と返事が返ってきた。
「で、どうなの? 北見沢君」
「北澤だよっ! そんな事はさておき、ホームパーティーを行う家庭だったな。おい、どうなんだよ」
 北澤は手、錠を掛けられパイプ椅子に座らされている大穴さんに問いかける。
「その通りだ。ホームパーティー若しくは会社の行事に連れてきた家族を狙った」ふてぶてしく答える大穴。
「だそうですけど。当たっていましたね」
 大穴の供述を聞き終えた京助が佐保田に意見を伺う。
「偶々だろ。良い気になるな。それより、どうして大穴が捕まっているんだ?」
「どうして? それはご本人の口から聞きましょう」
 京助はスマホの向こうに居る大穴からの供述を待つ。
「・・・・・・」
 無言が続くので、北澤が「喋ろよ」と急かす。
「家で高飛びする為の準備をしていた時に、踏み込まれたんだ。それで、あっけなく御用だ」
「だそうです。それより、気になる事ありませんか?」
「何がだ」
「犯人グループの一味の大穴が逮捕されたのに肝心の太朗君の安否ですよ。一番大事なところなのに全然気にかけないじゃないですか」
 京助のその一言を受け、佐保田は太秦夫婦から厳しい視線を浴びせられる。
「そ、それは・・・・・・」返答に困る佐保田に薫は「私も気になっていたんです。どうしてですか?」と質問した。
「まさか、大穴さんが犯人だと思っていたなかったのでな。太朗君はどうなんだ? 待てよ。という事はあのメッセージは、噓か?」
「That’s Right.」
 京助が不気味な笑顔で答えると、薫、太秦夫婦も不気味な笑顔で佐保田を見るのだった。
しおりを挟む
第6回ホラー・ミステリー小説大賞で投票してくださった方々、誠にありがとうございました。お気に入り,エール,感想をお待ちしております。
感想 0

あなたにおすすめの小説

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

魔女の虚像

睦月
ミステリー
大学生の星井優は、ある日下北沢で小さな出版社を経営しているという女性に声をかけられる。 彼女に頼まれて、星井は13年前に裕福な一家が焼死した事件を調べることに。 事件の起こった村で、当時働いていたというメイドの日記を入手する星井だが、そこで知ったのは思いもかけない事実だった。 ●エブリスタにも掲載しています

無限の迷路

葉羽
ミステリー
豪華なパーティーが開催された大邸宅で、一人の招待客が密室の中で死亡して発見される。部屋は内側から完全に施錠されており、窓も塞がれている。調査を進める中、次々と現れる証拠品や証言が事件をますます複雑にしていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

カフェ・シュガーパインの事件簿

山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。 個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。 だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。

パラダイス・ロスト

真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。 ※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

秘められた遺志

しまおか
ミステリー
亡くなった顧客が残した謎のメモ。彼は一体何を託したかったのか!?富裕層専門の資産運用管理アドバイザーの三郷が、顧客の高岳から依頼されていた遺品整理を進める中、不審物を発見。また書斎を探ると暗号めいたメモ魔で見つかり推理していた所、不審物があると通報を受けた顔見知りであるS県警の松ケ根と吉良が訪れ、連行されてしまう。三郷は逮捕されてしまうのか?それとも松ケ根達が問題の真相を無事暴くことができるのか!?

処理中です...