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第2話-救出
救出-10
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東西パークに残った刑事達は、犯人が金を取りに来るのを待っていた。
そろそろ閉店時間にも差し迫って来ており、捜査員達にも焦りが生じ始めていた。
すると、会社帰り風のスーツを着た男がテーブルの上に載っている封筒を手に取りどこかへと向かって歩き始めた。
「確保!!」
佐保田がそう叫ぶと、一斉に隠れていた捜査員達が男の身柄を抑えた。
「な、何ですか!!」男は必死に抵抗する。
「大人しくしろっ!!」
佐保田は男を殴りつけ、大人しくさせる。
「連行しろ」
「はい」香取刑事は男を立たせると最寄りの警察署へと連行した。
「このまま、子供が帰って来れば良いですけど・・・・・・」
柴咲刑事は、太朗の身を案じるのであった。
一方、太秦家ではタクシーで帰ってきたエミリから事の顛末を聞かされていた。
「そうでしたか。ご主人と喧嘩を・・・・・・」と薫が言う。
「すいません。こんな事、聞かせてしまって」
「いや・・・・・・」薫が返答に困っていると「去っていた。ご主人様はどこに行かれたか。分かります?」無神経な質問をする京助。
「ちょっと、金智さん」
「いや、気になったから」反省の色を見せない京助に溜息をつく薫であった。
「多分、車で待機していたんではないかと」
「そうですか。後、奥さんがタクシーで帰った事は捜査員の人達は知っているんですか?」
「いいえ」
「ふーん」何かを考えるように京助は天井を見上げる。
「何か気になることでもあるんですか?」薫の質問に「いやぁ~どうかなぁ~」と京助は曖昧な回答をする。
すると、エミリのスマホに着信が入る。
「もしもし?」
電話にすぐ出たエミリは「はい。はい」と返事をしながら、事態を飲み込もうとしているのが分かった。
「はい。分かりました。待機しておきます」
そう言って、通話を切ったエミリ。
「何か進展でも?」
「はい。犯人の一味が捕まったそうです。犯人からの連絡を待つようにと指示が」
「一味が捕まった? それは良かったですね。多分ですけど、テーブルに置いて行った金を取ったんじゃないんですか?」
「そうです」
「じゃあ、その人は犯人じゃないですね」ときっぱり告げた京助に、エミリは驚いた表情をみせた。
「それじゃあ、太朗は帰ってこないんですか!!」
「帰って来るんじゃないんですか? 今までの誘拐事件を基にすると帰ってくるよね? 薫ちゃん」
「え? あ、はい」
いきなり、話を振られた薫は適当な返事をしてしまう。
「まぁ、犯人からの連絡を待ちましょう」とエミリを励ました京助は「薫ちゃん、ちょっと、良い?」そう言って薫を連れて撮影部屋へと移動した。
「どうしたんですか?」
「なぁ、太朗君は帰って来ると思う?」京助は部屋に入るや否や薫にそう尋ねた。
「もしかして、帰ってこないって言うんですか?」
「うん、今回の犯人は是が非でも金を手に入れたいんじゃないかなって」
「どういうことですか? 確かに二転三転はしましたが受取人が現れたのは事実ですから」
「受取人。俺の推理だと、その人は忘れ物を拾って届けに行こうとした時に確保されたんじゃないかなって」
「そんな、まさか・・・・・・」
警察の勇み足で無実の人間を逮捕したという事が信じられないといった反応を見せる薫。
「まぁ、信じたくないのは分かるけど。明るみになるのは時間の問題だと思うぜ。それより、北見沢君からの報告がないけど、どうなっているか。催促してくれない?」
「分かりました」
薫は先輩刑事の北澤にメッセージを送った。
すると、一分もかからず電話がかかってきたので、スピーカーモードにして出る。
「お疲れ様です」
「お疲れ」
「結果の方は?」
「ああ、金智の言う通り大穴ってマネージャーは転職組だったよ。それと過去の事件との関係だがこれもあった。というより、誘拐された子供の親と同僚だった。丁度、その時期に誘拐事件が発生していた」
「やっぱり」
「北澤さん。大至急、大穴の行方を追ってくれませんか?」
「どうして?」
「とにかくです!! お願いします!!!」
薫の鬼気迫る声を聞いた北澤は「分かった」と了承して通話を切った。
「薫ちゃん、エミリさんから話を聞こう」
京助と薫はリビングへと戻った。
そろそろ閉店時間にも差し迫って来ており、捜査員達にも焦りが生じ始めていた。
すると、会社帰り風のスーツを着た男がテーブルの上に載っている封筒を手に取りどこかへと向かって歩き始めた。
「確保!!」
佐保田がそう叫ぶと、一斉に隠れていた捜査員達が男の身柄を抑えた。
「な、何ですか!!」男は必死に抵抗する。
「大人しくしろっ!!」
佐保田は男を殴りつけ、大人しくさせる。
「連行しろ」
「はい」香取刑事は男を立たせると最寄りの警察署へと連行した。
「このまま、子供が帰って来れば良いですけど・・・・・・」
柴咲刑事は、太朗の身を案じるのであった。
一方、太秦家ではタクシーで帰ってきたエミリから事の顛末を聞かされていた。
「そうでしたか。ご主人と喧嘩を・・・・・・」と薫が言う。
「すいません。こんな事、聞かせてしまって」
「いや・・・・・・」薫が返答に困っていると「去っていた。ご主人様はどこに行かれたか。分かります?」無神経な質問をする京助。
「ちょっと、金智さん」
「いや、気になったから」反省の色を見せない京助に溜息をつく薫であった。
「多分、車で待機していたんではないかと」
「そうですか。後、奥さんがタクシーで帰った事は捜査員の人達は知っているんですか?」
「いいえ」
「ふーん」何かを考えるように京助は天井を見上げる。
「何か気になることでもあるんですか?」薫の質問に「いやぁ~どうかなぁ~」と京助は曖昧な回答をする。
すると、エミリのスマホに着信が入る。
「もしもし?」
電話にすぐ出たエミリは「はい。はい」と返事をしながら、事態を飲み込もうとしているのが分かった。
「はい。分かりました。待機しておきます」
そう言って、通話を切ったエミリ。
「何か進展でも?」
「はい。犯人の一味が捕まったそうです。犯人からの連絡を待つようにと指示が」
「一味が捕まった? それは良かったですね。多分ですけど、テーブルに置いて行った金を取ったんじゃないんですか?」
「そうです」
「じゃあ、その人は犯人じゃないですね」ときっぱり告げた京助に、エミリは驚いた表情をみせた。
「それじゃあ、太朗は帰ってこないんですか!!」
「帰って来るんじゃないんですか? 今までの誘拐事件を基にすると帰ってくるよね? 薫ちゃん」
「え? あ、はい」
いきなり、話を振られた薫は適当な返事をしてしまう。
「まぁ、犯人からの連絡を待ちましょう」とエミリを励ました京助は「薫ちゃん、ちょっと、良い?」そう言って薫を連れて撮影部屋へと移動した。
「どうしたんですか?」
「なぁ、太朗君は帰って来ると思う?」京助は部屋に入るや否や薫にそう尋ねた。
「もしかして、帰ってこないって言うんですか?」
「うん、今回の犯人は是が非でも金を手に入れたいんじゃないかなって」
「どういうことですか? 確かに二転三転はしましたが受取人が現れたのは事実ですから」
「受取人。俺の推理だと、その人は忘れ物を拾って届けに行こうとした時に確保されたんじゃないかなって」
「そんな、まさか・・・・・・」
警察の勇み足で無実の人間を逮捕したという事が信じられないといった反応を見せる薫。
「まぁ、信じたくないのは分かるけど。明るみになるのは時間の問題だと思うぜ。それより、北見沢君からの報告がないけど、どうなっているか。催促してくれない?」
「分かりました」
薫は先輩刑事の北澤にメッセージを送った。
すると、一分もかからず電話がかかってきたので、スピーカーモードにして出る。
「お疲れ様です」
「お疲れ」
「結果の方は?」
「ああ、金智の言う通り大穴ってマネージャーは転職組だったよ。それと過去の事件との関係だがこれもあった。というより、誘拐された子供の親と同僚だった。丁度、その時期に誘拐事件が発生していた」
「やっぱり」
「北澤さん。大至急、大穴の行方を追ってくれませんか?」
「どうして?」
「とにかくです!! お願いします!!!」
薫の鬼気迫る声を聞いた北澤は「分かった」と了承して通話を切った。
「薫ちゃん、エミリさんから話を聞こう」
京助と薫はリビングへと戻った。
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