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第2話-救出
救出-7
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「犯人からメッセージ、届きました!」
メッセージを確認していた捜査員の香取刑事が、その場に居る全員に聞こえるように告げた。
「要求は?」
「はい。20時に東西パークで身代金の受け渡しを行う。詳細はおって、連絡する。とのことです」
「東西パーク? 何故、商業施設なんだ?」福山刑事は前例と違うので、頭を悩ます。
「そんな事はどうでも良いんだ。東西パークに急行して包囲網を張るんだ!」
佐保田の指示を受けた柴咲はすぐさま、特殊事件捜査係の仲間へと連絡を入れる。
「太秦さん、今度こそ、ケリをつけましょう」佐保田が太秦夫妻に言うと、「はいっ」と今度こそ成功させるという強い意志を示した目で返事をする浩。
「では、東西パークの見取り図を手配しますので出かける準備を」とだけ言い残した佐保田は見取り図の手配をする為に本部へと連絡し始めた。
「エミリ、今度こそ太朗を取り戻そう」そう浩が励ますと「そうね。私も受け渡しに行く」と覚悟を決めたエミリはソファーから立ち上がる。
「お話の所、すいません。二、三お聞きしたいことが」
リビングに戻ってきた京助が太秦夫妻に声を掛けた。
「何でしょうか?」浩が受け答える。
「我が社の防犯カメラの設置を依頼していたようですが、何か近所トラブルでもあったのでしょうか?」
京助からの思いもよらぬ質問に戸惑いながら、エミリが答え始めた。
「いえ、近所トラブルというより視聴者の方が時々見えられるようになってきまして・・・・・・」
京助はエミリの言いたい事がなんとなく読めた。多分、アンチ視聴者にいたずらとかされているのかもしれないと踏んだ。
「成程、そうでしたか。では次に、自分が来た時にはお金を用意されていたようですがこの家には大金を金庫かどこかに入れておられるのですか?」
「ええ、まぁ」浩は訝しげな顔をしながら返答する。
「そうですか、そうですか」
京助が一人納得していると「おい、部外者が勝手に質問しているんだ」佐保田にそう注意される。
「どぉ~も、すいません。最後に一つだけ良いですか?」
「ダメだ」佐保田は京助の提案を却下するのだが、浩は「構いませんよ」と答えた為に京助の質問は行われた。
「犯人についてなのですが、身近な人間に犯人が居るとかそのようなことは思いつきませんでしたか?」
「いいえ」
「私も心当たりのある人はいません。うちの家族に関わる人全て優しい人ばかりですから」
「そうですよね。ありがとうございました」
京助は夫婦に礼を言い空いている一人掛けソファーに座った。
座ったソファーは少し生暖かった。直近まで、誰かが座っていたことになる。
京助はその場に居る人物達を確認すると、現時点でリビングに居るのは京助、薫、太秦夫妻、特殊事件捜査係の刑事四人だけであった。
「そう言えば、誰か一人居たよね?」
自分の目の前を行ったり来たりする薫に問いかけた。
「え? そうでしたっけ?」薫もその場に居る人物達を確認する。
「確かに誰か居ませんね?」
「だろ? 誰だっけ?」
「さぁ?」
京助、薫二人揃って首を傾げる。
「大穴さんじゃないですか?」エミリが二人に教えてくれた。
「ああ、居ましたね。そんな人が」と思い出した京助は続けて「今、大穴さんはどこに?」とエミリに質問した。
「そう言えば、どこに居るんだろう?」
エミリは部屋を見回して大穴を探すのだが、姿が見えない。
「薫ちゃん」京助はソファーから立ち上がり、薫に大穴を共に探すよう促す。
薫もその意味に気づいたのか。「分かりました」と答え京助と共にリビングから出た。
メッセージを確認していた捜査員の香取刑事が、その場に居る全員に聞こえるように告げた。
「要求は?」
「はい。20時に東西パークで身代金の受け渡しを行う。詳細はおって、連絡する。とのことです」
「東西パーク? 何故、商業施設なんだ?」福山刑事は前例と違うので、頭を悩ます。
「そんな事はどうでも良いんだ。東西パークに急行して包囲網を張るんだ!」
佐保田の指示を受けた柴咲はすぐさま、特殊事件捜査係の仲間へと連絡を入れる。
「太秦さん、今度こそ、ケリをつけましょう」佐保田が太秦夫妻に言うと、「はいっ」と今度こそ成功させるという強い意志を示した目で返事をする浩。
「では、東西パークの見取り図を手配しますので出かける準備を」とだけ言い残した佐保田は見取り図の手配をする為に本部へと連絡し始めた。
「エミリ、今度こそ太朗を取り戻そう」そう浩が励ますと「そうね。私も受け渡しに行く」と覚悟を決めたエミリはソファーから立ち上がる。
「お話の所、すいません。二、三お聞きしたいことが」
リビングに戻ってきた京助が太秦夫妻に声を掛けた。
「何でしょうか?」浩が受け答える。
「我が社の防犯カメラの設置を依頼していたようですが、何か近所トラブルでもあったのでしょうか?」
京助からの思いもよらぬ質問に戸惑いながら、エミリが答え始めた。
「いえ、近所トラブルというより視聴者の方が時々見えられるようになってきまして・・・・・・」
京助はエミリの言いたい事がなんとなく読めた。多分、アンチ視聴者にいたずらとかされているのかもしれないと踏んだ。
「成程、そうでしたか。では次に、自分が来た時にはお金を用意されていたようですがこの家には大金を金庫かどこかに入れておられるのですか?」
「ええ、まぁ」浩は訝しげな顔をしながら返答する。
「そうですか、そうですか」
京助が一人納得していると「おい、部外者が勝手に質問しているんだ」佐保田にそう注意される。
「どぉ~も、すいません。最後に一つだけ良いですか?」
「ダメだ」佐保田は京助の提案を却下するのだが、浩は「構いませんよ」と答えた為に京助の質問は行われた。
「犯人についてなのですが、身近な人間に犯人が居るとかそのようなことは思いつきませんでしたか?」
「いいえ」
「私も心当たりのある人はいません。うちの家族に関わる人全て優しい人ばかりですから」
「そうですよね。ありがとうございました」
京助は夫婦に礼を言い空いている一人掛けソファーに座った。
座ったソファーは少し生暖かった。直近まで、誰かが座っていたことになる。
京助はその場に居る人物達を確認すると、現時点でリビングに居るのは京助、薫、太秦夫妻、特殊事件捜査係の刑事四人だけであった。
「そう言えば、誰か一人居たよね?」
自分の目の前を行ったり来たりする薫に問いかけた。
「え? そうでしたっけ?」薫もその場に居る人物達を確認する。
「確かに誰か居ませんね?」
「だろ? 誰だっけ?」
「さぁ?」
京助、薫二人揃って首を傾げる。
「大穴さんじゃないですか?」エミリが二人に教えてくれた。
「ああ、居ましたね。そんな人が」と思い出した京助は続けて「今、大穴さんはどこに?」とエミリに質問した。
「そう言えば、どこに居るんだろう?」
エミリは部屋を見回して大穴を探すのだが、姿が見えない。
「薫ちゃん」京助はソファーから立ち上がり、薫に大穴を共に探すよう促す。
薫もその意味に気づいたのか。「分かりました」と答え京助と共にリビングから出た。
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第6回ホラー・ミステリー小説大賞で投票してくださった方々、誠にありがとうございました。お気に入り,エール,感想をお待ちしております。
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