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第2話-救出
救出-5
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「配置完了しました」
福山が服の袖に隠しているマイクで、別の場所で張り込んでいる佐保田に報告した。
「了解。犯人が来るまで待機」捜査員全員に通告し、犯人到着まで張り込みを続ける。
そんな会話をする捜査員全員の目は、公園の中心で突っ立って犯人を待つ浩の姿が映っていた。
そんな浩はソワソワしながら犯人を待っていると、浩が持つエミリのスマホにメッセージが入る。
“警察が多いので、場所を変更する。追って連絡する”
「そんな・・・・・・刑事さん、犯人からメッセージが届きました。場所を変更したいと」
浩は耳につけたマイク付きのBuletoothイヤホンを介して、佐保田に犯人からの要求を伝えた。
「分かりました。一旦、撤収しましょう」
佐保田の指示を受けて、浩、佐保田の部下三人も太秦家へと戻った。
「お帰りなさい。お金は渡せたの?」リビングに戻って来たばかりの浩に、体調が回復したエミリが結果を尋ねた。
だが、浩は首を横に振り「渡せなかった」とだけ答えソファーに腰を下ろし顔を手で覆った。
「奥さん、申し訳ございません。次こそは、必ずお金を渡せるようにしますから」そう言って、エミリを励ます佐保田。
「佐保田さん。どうして、お金を渡す前提なんですか?」
京助がそう質問すると、佐保田は顔をゆがませてこう言った。
「何が言いたい? 金を渡せば太朗君はすぐに戻って来るんだぞ。素人は邪魔しないでくれ」
「どうも、失礼しました」
「にしても、ここまで長丁場になるとは・・・・・・」佐保田も今までの事件とは違う状況に戸惑いを隠せないようで頭を悩ませる。
「薫ちゃん、ちょっと良い?」京助は薫にそう言い、リビングから連れ出す。
「何か?」
廊下に出て薫はすぐに話を切り出した。
「いやさ、気になっていた事が分かったんだよ」
「え? 何なんですか? 教えてください」
「薫ちゃん、同じ警察官として気にならなかった?」
「何がです?」
「易々と身代金を渡すことに関してだよ」
「人質の解放が優先事項なので、当然じゃないですか?」
「いや、渡すまでは良いんだよ。不自然じゃない。けど、取り返すという項目があの佐保田っていう刑事からは抜け落ちているように感じるんだよな」
「じゃあ、金智さんは佐保田さんが犯人ではないか。そう仰りたいんですか?」
「犯人グループの仲間じゃないかな。それと、太朗君の行動パターンを熟知している身近な人間が誘拐したのではないかな。どう思う? 薫ちゃん」
「それは・・・・・・その・・・・・・」
「ま、薫ちゃんも少し疑った目で捜査に参加した方が良いと思うぜ」
京助はそれだけ言うと、リビングに戻った。
「何を話していた?」部屋に入るや否や佐保田にそう聞かれ「デートのお誘いをなんつって」と誤魔化す京助にふんっと鼻を鳴らして呆れたといった態度を見せた。
「刑事さん、太朗は無事なんでしょうか?」
浩は弱弱しい声で太朗の安否について、質問した。
「それは何とも。ですが、今までの事件パターンからして安全である事の方が高いかと。心配しないでください。必ず助け出しますから」
『お願いします!』太秦夫婦揃って、刑事達に頭を下げる。
「頭をあげてください。次の要求の時の為に、作戦を立てましょう」と前向きな発言で佐保田は夫婦を元気づける。
それから、特殊事件捜査係の刑事と太秦夫婦で知恵を出し合い作戦を立てる。
だが、手すきの薫は暇そうにしながら作戦会議に聞き耳を立てるだけであった。
そんな中、京助はリビングから姿を消していた。
福山が服の袖に隠しているマイクで、別の場所で張り込んでいる佐保田に報告した。
「了解。犯人が来るまで待機」捜査員全員に通告し、犯人到着まで張り込みを続ける。
そんな会話をする捜査員全員の目は、公園の中心で突っ立って犯人を待つ浩の姿が映っていた。
そんな浩はソワソワしながら犯人を待っていると、浩が持つエミリのスマホにメッセージが入る。
“警察が多いので、場所を変更する。追って連絡する”
「そんな・・・・・・刑事さん、犯人からメッセージが届きました。場所を変更したいと」
浩は耳につけたマイク付きのBuletoothイヤホンを介して、佐保田に犯人からの要求を伝えた。
「分かりました。一旦、撤収しましょう」
佐保田の指示を受けて、浩、佐保田の部下三人も太秦家へと戻った。
「お帰りなさい。お金は渡せたの?」リビングに戻って来たばかりの浩に、体調が回復したエミリが結果を尋ねた。
だが、浩は首を横に振り「渡せなかった」とだけ答えソファーに腰を下ろし顔を手で覆った。
「奥さん、申し訳ございません。次こそは、必ずお金を渡せるようにしますから」そう言って、エミリを励ます佐保田。
「佐保田さん。どうして、お金を渡す前提なんですか?」
京助がそう質問すると、佐保田は顔をゆがませてこう言った。
「何が言いたい? 金を渡せば太朗君はすぐに戻って来るんだぞ。素人は邪魔しないでくれ」
「どうも、失礼しました」
「にしても、ここまで長丁場になるとは・・・・・・」佐保田も今までの事件とは違う状況に戸惑いを隠せないようで頭を悩ませる。
「薫ちゃん、ちょっと良い?」京助は薫にそう言い、リビングから連れ出す。
「何か?」
廊下に出て薫はすぐに話を切り出した。
「いやさ、気になっていた事が分かったんだよ」
「え? 何なんですか? 教えてください」
「薫ちゃん、同じ警察官として気にならなかった?」
「何がです?」
「易々と身代金を渡すことに関してだよ」
「人質の解放が優先事項なので、当然じゃないですか?」
「いや、渡すまでは良いんだよ。不自然じゃない。けど、取り返すという項目があの佐保田っていう刑事からは抜け落ちているように感じるんだよな」
「じゃあ、金智さんは佐保田さんが犯人ではないか。そう仰りたいんですか?」
「犯人グループの仲間じゃないかな。それと、太朗君の行動パターンを熟知している身近な人間が誘拐したのではないかな。どう思う? 薫ちゃん」
「それは・・・・・・その・・・・・・」
「ま、薫ちゃんも少し疑った目で捜査に参加した方が良いと思うぜ」
京助はそれだけ言うと、リビングに戻った。
「何を話していた?」部屋に入るや否や佐保田にそう聞かれ「デートのお誘いをなんつって」と誤魔化す京助にふんっと鼻を鳴らして呆れたといった態度を見せた。
「刑事さん、太朗は無事なんでしょうか?」
浩は弱弱しい声で太朗の安否について、質問した。
「それは何とも。ですが、今までの事件パターンからして安全である事の方が高いかと。心配しないでください。必ず助け出しますから」
『お願いします!』太秦夫婦揃って、刑事達に頭を下げる。
「頭をあげてください。次の要求の時の為に、作戦を立てましょう」と前向きな発言で佐保田は夫婦を元気づける。
それから、特殊事件捜査係の刑事と太秦夫婦で知恵を出し合い作戦を立てる。
だが、手すきの薫は暇そうにしながら作戦会議に聞き耳を立てるだけであった。
そんな中、京助はリビングから姿を消していた。
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