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第1話-出会
出会-14
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「感想はそれだけですか?」
薫に聞かれた京助は「うん」と子供のように返事をする。
「続けますね」
飯田を殺した私頭はオブジェを持ったまま固まった手を必死で緩めて、オブジェを手の中から離す。
手を離した際に付いた血を洗う為、給湯室へと向かい手を洗い終えると、冷蔵庫にポリティス株式会社の磁石広告を見つけた。そこで、死体発見者を犯人に仕立てあげられるかもしれないと考えた私頭は、ポリティス株式会社にウォーターサーバーのレンタル依頼を出した。
そして、オブジェの手に持っていた部分を拭き上げている最中に自分が来ていたジャケット、ロングTシャツの袖に血が付いている事に気づいた私頭。
取り敢えず、自分が居た痕跡を思いつく限り無くし、もしその事が明るみに出た場合には飯田から不正の件で呼び出されたとでもしておく為に、京助達に見せた資料を自分の机に用意し事務所を出た。
その足で近所の服屋に行き、比較的ズボンに合うロングTシャツを購入し元々着ていた服は近くの公衆ゴミ箱に捨てたとのことであった。
京助が早く事件を解決したおかげで、被害者の飯田の血が付着したジャケット及びロングTシャツが供述通り捨てたとされるゴミ箱から発見された。
「という事でした。この度は事件解決にご協力頂きありがとうございました」薫は京助に一礼する。
「いいえ。それを俺に聞かす為に、わざわざここに来たの?」
「何ですか? 嫌味ったらしく」
「嫌味ねぇ~俺さ、犯人として疑われてすんげぇ~嫌な思いしたんだよね」
「それについては、すいません」
「でも、気になるのは私頭が飯田さんの不正を警察に証言したとして、後日、他の社員から飯田ではなく私頭が不正をしていたって言う証言が出てくるじゃない。そうした時にどうするつもりだったんだろう?」
「それについては、元々から用意していた飯田さんへの捏造証拠と共に、不正を知っている人物達も不正に関わっていたという捏造した証拠を用意していたようです」
「成程。それで合点がいった。にしても、用意周到な奴だねぇ~」
「全くです」
薫が京助の発言に同意すると、「カフェモカでぇ~す」と薫が注文したカフェモカを持ってきた店員は机にそれを置くと再び戻っていた。
「それ、美味しいそうだね」京助は届けられたカフェモカを見て羨ましそうに言った。
「そうですか」
「うん、美味しいそう」
何となく「くれ」と言わんばかりの顔をする京助を無視して、薫はカフェモカに口を付ける。
「あー飲んじゃった」
「飲んじゃダメなんですか?」
「別に良いけど」
京助は少しいじけるのであった。
薫に聞かれた京助は「うん」と子供のように返事をする。
「続けますね」
飯田を殺した私頭はオブジェを持ったまま固まった手を必死で緩めて、オブジェを手の中から離す。
手を離した際に付いた血を洗う為、給湯室へと向かい手を洗い終えると、冷蔵庫にポリティス株式会社の磁石広告を見つけた。そこで、死体発見者を犯人に仕立てあげられるかもしれないと考えた私頭は、ポリティス株式会社にウォーターサーバーのレンタル依頼を出した。
そして、オブジェの手に持っていた部分を拭き上げている最中に自分が来ていたジャケット、ロングTシャツの袖に血が付いている事に気づいた私頭。
取り敢えず、自分が居た痕跡を思いつく限り無くし、もしその事が明るみに出た場合には飯田から不正の件で呼び出されたとでもしておく為に、京助達に見せた資料を自分の机に用意し事務所を出た。
その足で近所の服屋に行き、比較的ズボンに合うロングTシャツを購入し元々着ていた服は近くの公衆ゴミ箱に捨てたとのことであった。
京助が早く事件を解決したおかげで、被害者の飯田の血が付着したジャケット及びロングTシャツが供述通り捨てたとされるゴミ箱から発見された。
「という事でした。この度は事件解決にご協力頂きありがとうございました」薫は京助に一礼する。
「いいえ。それを俺に聞かす為に、わざわざここに来たの?」
「何ですか? 嫌味ったらしく」
「嫌味ねぇ~俺さ、犯人として疑われてすんげぇ~嫌な思いしたんだよね」
「それについては、すいません」
「でも、気になるのは私頭が飯田さんの不正を警察に証言したとして、後日、他の社員から飯田ではなく私頭が不正をしていたって言う証言が出てくるじゃない。そうした時にどうするつもりだったんだろう?」
「それについては、元々から用意していた飯田さんへの捏造証拠と共に、不正を知っている人物達も不正に関わっていたという捏造した証拠を用意していたようです」
「成程。それで合点がいった。にしても、用意周到な奴だねぇ~」
「全くです」
薫が京助の発言に同意すると、「カフェモカでぇ~す」と薫が注文したカフェモカを持ってきた店員は机にそれを置くと再び戻っていた。
「それ、美味しいそうだね」京助は届けられたカフェモカを見て羨ましそうに言った。
「そうですか」
「うん、美味しいそう」
何となく「くれ」と言わんばかりの顔をする京助を無視して、薫はカフェモカに口を付ける。
「あー飲んじゃった」
「飲んじゃダメなんですか?」
「別に良いけど」
京助は少しいじけるのであった。
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第6回ホラー・ミステリー小説大賞で投票してくださった方々、誠にありがとうございました。お気に入り,エール,感想をお待ちしております。
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