11 / 45
第1話-出会
彼氏-11
しおりを挟む
「私頭さんが犯人って言いますけど。その根拠は?」
薫は突然、私頭が犯人だと言い出した京助に質問した。
「根拠は、ここに来た時に付いていたタグ付きの服かな」
「それだけの理由で、ですか? 私頭さんが言っていたじゃないですか上司から連絡受けて慌てて駆けつけたって」
「いや、そこまでは良いんだよ。でも、着替えたはずの服を持っていなかったでしょ。それに、家もこの近所じゃないそう言ってじゃん。わざわざ会社近くの服屋まで来る? まぁ、そこの服屋がお気に入りだって言うなら仕方ないけど。なんにせよ。着替えた服は今どこですか?」
「それは・・・・・・」
「私頭さん。ここで服の所在を明確にすれば疑いが晴れるんですよ」
「・・・・・・」私頭は、薫に明快な返答をしない。
何かを考えている様子が薫にも分かった。
「それに、どうも都合よく飯田さんの悪事がとんとん拍子で暴かれるじゃん。まるで、警察が来る事を前提に用意されていたとしか思えないけど」
「それは邪推じゃないですか?」
「邪推だと良いんだけどねぇ~」
だんまりを続ける私頭を見る京助は話を続ける。
「それに、突然だったじゃない? 西口杏さんの名前が出てきたのは」
「だって、金智さんが内部犯の犯行だって言うからこそ、私頭さんは心当たりのある人物を言ってくれたんじゃないですか」
「内部犯っていうのは、過去に居た人の事なの? 普通は、今現在勤めている社員とかの名前を挙げるんじゃなくて。半年以上前に退社した人物だし、西口杏に似たという女性の目撃情報もないわけだからね」
「そうですけど・・・・・・」
ここまでの話で、一切を語らなくなった私頭を少し疑い始める薫であった。
「で、鍵はさ被害者の飯田さんが持っていても不思議はないんだけど、薫ちゃん、どう? 持ってた?」
薫はそう尋ねられ、情報交換した際に記載された手帳を見る。
「確かに所持品の中に鍵はありませんでした」
「そうかぁ~事件前の被害者の目撃情報は?」
「はい。守衛さんは見ていないとの事です」
「それもそれで、変だが」
「ですので、防犯カメラの映像を確認したところ、金智さんが死体を発見する一時間半前にビルの裏口から入るところが映っていました」
「じゃあ、その一時間半の間にここで殺人が行われたのか」
「そうなりますね」
「それよりもっと前の映像で、この会社の従業員は映っていないの?」
「確認してみます」
薫はすぐ様、防犯カメラの映像を確認している刑事に連絡した。
「ここまでの話を聞いて、何か反論はないですか? 私頭さん」
京助が尋ねると、私頭はやっと口を開いた。
「大ありですよ。着替える前の服を持っていなかっただけで、私を犯人だというのですから」
「では、聞きますけど。その着替える前の服はどうされたんですか?」
「着替えた服屋に置いてきました」
「じゃあ、その服屋を教えてください。薫ちゃんに確認させますから」
「分かりました」
渋々、薫に服屋のレシートを渡す私頭。
「確認させます」
「では、次に所持品検査を」
「良いでしょう。その前に、トイレに行かせてください」
「構いませんけど。所持品は置いて行ってくださいね」
京助のその一言に、私頭の顔が曇る。
「どうしました? 鍵をトイレに流そうとでも考えてました?」
「そ、そんな訳では」
「そうですか。でしたら、お願いします」
「私からもお願いします。私頭さんの無実を証明する為にも」
薫にもそう言われ、苦い顔をしながらズボンのポケットから所持品を取り出す。
「では、失礼します」私頭がトイレに向かおうとすると「薫ちゃん。身体検査」と京助が言うとすかさず薫が身体検査をする。
そして、何かに気付いた薫は私頭にズボンのポケットから鍵を取り出した。
薫は突然、私頭が犯人だと言い出した京助に質問した。
「根拠は、ここに来た時に付いていたタグ付きの服かな」
「それだけの理由で、ですか? 私頭さんが言っていたじゃないですか上司から連絡受けて慌てて駆けつけたって」
「いや、そこまでは良いんだよ。でも、着替えたはずの服を持っていなかったでしょ。それに、家もこの近所じゃないそう言ってじゃん。わざわざ会社近くの服屋まで来る? まぁ、そこの服屋がお気に入りだって言うなら仕方ないけど。なんにせよ。着替えた服は今どこですか?」
「それは・・・・・・」
「私頭さん。ここで服の所在を明確にすれば疑いが晴れるんですよ」
「・・・・・・」私頭は、薫に明快な返答をしない。
何かを考えている様子が薫にも分かった。
「それに、どうも都合よく飯田さんの悪事がとんとん拍子で暴かれるじゃん。まるで、警察が来る事を前提に用意されていたとしか思えないけど」
「それは邪推じゃないですか?」
「邪推だと良いんだけどねぇ~」
だんまりを続ける私頭を見る京助は話を続ける。
「それに、突然だったじゃない? 西口杏さんの名前が出てきたのは」
「だって、金智さんが内部犯の犯行だって言うからこそ、私頭さんは心当たりのある人物を言ってくれたんじゃないですか」
「内部犯っていうのは、過去に居た人の事なの? 普通は、今現在勤めている社員とかの名前を挙げるんじゃなくて。半年以上前に退社した人物だし、西口杏に似たという女性の目撃情報もないわけだからね」
「そうですけど・・・・・・」
ここまでの話で、一切を語らなくなった私頭を少し疑い始める薫であった。
「で、鍵はさ被害者の飯田さんが持っていても不思議はないんだけど、薫ちゃん、どう? 持ってた?」
薫はそう尋ねられ、情報交換した際に記載された手帳を見る。
「確かに所持品の中に鍵はありませんでした」
「そうかぁ~事件前の被害者の目撃情報は?」
「はい。守衛さんは見ていないとの事です」
「それもそれで、変だが」
「ですので、防犯カメラの映像を確認したところ、金智さんが死体を発見する一時間半前にビルの裏口から入るところが映っていました」
「じゃあ、その一時間半の間にここで殺人が行われたのか」
「そうなりますね」
「それよりもっと前の映像で、この会社の従業員は映っていないの?」
「確認してみます」
薫はすぐ様、防犯カメラの映像を確認している刑事に連絡した。
「ここまでの話を聞いて、何か反論はないですか? 私頭さん」
京助が尋ねると、私頭はやっと口を開いた。
「大ありですよ。着替える前の服を持っていなかっただけで、私を犯人だというのですから」
「では、聞きますけど。その着替える前の服はどうされたんですか?」
「着替えた服屋に置いてきました」
「じゃあ、その服屋を教えてください。薫ちゃんに確認させますから」
「分かりました」
渋々、薫に服屋のレシートを渡す私頭。
「確認させます」
「では、次に所持品検査を」
「良いでしょう。その前に、トイレに行かせてください」
「構いませんけど。所持品は置いて行ってくださいね」
京助のその一言に、私頭の顔が曇る。
「どうしました? 鍵をトイレに流そうとでも考えてました?」
「そ、そんな訳では」
「そうですか。でしたら、お願いします」
「私からもお願いします。私頭さんの無実を証明する為にも」
薫にもそう言われ、苦い顔をしながらズボンのポケットから所持品を取り出す。
「では、失礼します」私頭がトイレに向かおうとすると「薫ちゃん。身体検査」と京助が言うとすかさず薫が身体検査をする。
そして、何かに気付いた薫は私頭にズボンのポケットから鍵を取り出した。
0
第6回ホラー・ミステリー小説大賞で投票してくださった方々、誠にありがとうございました。お気に入り,エール,感想をお待ちしております。
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
魔女の虚像
睦月
ミステリー
大学生の星井優は、ある日下北沢で小さな出版社を経営しているという女性に声をかけられる。
彼女に頼まれて、星井は13年前に裕福な一家が焼死した事件を調べることに。
事件の起こった村で、当時働いていたというメイドの日記を入手する星井だが、そこで知ったのは思いもかけない事実だった。
●エブリスタにも掲載しています
無限の迷路
葉羽
ミステリー
豪華なパーティーが開催された大邸宅で、一人の招待客が密室の中で死亡して発見される。部屋は内側から完全に施錠されており、窓も塞がれている。調査を進める中、次々と現れる証拠品や証言が事件をますます複雑にしていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

秘められた遺志
しまおか
ミステリー
亡くなった顧客が残した謎のメモ。彼は一体何を託したかったのか!?富裕層専門の資産運用管理アドバイザーの三郷が、顧客の高岳から依頼されていた遺品整理を進める中、不審物を発見。また書斎を探ると暗号めいたメモ魔で見つかり推理していた所、不審物があると通報を受けた顔見知りであるS県警の松ケ根と吉良が訪れ、連行されてしまう。三郷は逮捕されてしまうのか?それとも松ケ根達が問題の真相を無事暴くことができるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる