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第一話-7
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スケさんが真似沢さんと鑑識を行っている時、俺達は誘拐された女性の部屋に来ていた。
現場から5分ともかからない距離にある何の変哲もないマンション。
部屋の鍵は、飯田さんが合鍵を持っていたのですんなりと入れた。
部屋の中は、ごく普通のワンルームの一人暮らし部屋だ。
几帳面な性格が出ているのか部屋は綺麗に整理整頓されている。
とは言え、適当に物色するわけにもいかない。
なんせ女性の部屋なのだから。
取り敢えず、行方不明の女性の名前をまだ聞いてなかったので聞くことにした。
「あの飯田さん。彼女さんの名前まだ聞いていないのですが・・・」
女性のパソコンを操作する飯田さんは手を止め、部屋に置いてあった写真を見せながら教えてくれた。
「僕の隣に写っている彼女の名前は、白鳥 雅(しらとり みやび)。
商社に勤めています。」
写真を見て彼女、中々の美人だなと思う雫。
飯田から彼女の地球における具体的な情報を聞き出し、スマホにメモをする振りをして社長に照会を依頼した。
「あの、本当に手伝ってくれるんですか?」
「はい、『 困っている人の役に立つようになれ 』というのが僕の家の家訓なので」
勿論、噓だ。
「じゃあ、えっと・・・」ジャケットのポケットから名刺を取り出そうとする。
「雫です。これから呼び捨てで構いません。
明らかに飯田さんの方が年上そうなんで・・・」
「じゃあ、雫君。これからよろしく。」
握手を求めてくる飯田。
「こちらこそよろしくお願いします。」
固い握手を交わす二人であった。
その後も、飯田さん立会いのもと調査したが、良い収穫を得られなかった。
そして、スケさんから収穫ありとの連絡を受け、スケさんの部屋に来ていた。
「雫氏。部屋ではなくラボと呼んでくれ。」
「嗚呼、御免。」
スケさんは、自室をラボと呼ばないと怒る。
なんでそう言わせるかは、分からない。
「スケさん、話を戻そう。
得られた収穫っていうのは?」
俺が尋ねるとスケさんは、ニンマリと笑顔になり机のボタンを押した。
次の瞬間、俺とスケさんは眩い光と共に部屋から消えた。
目を開けると謎のドアの前に立っていた。
「スケさん、こんなギミックがあるなんて。
オラ、聞いてねぇぞ!」
「うん、だって言ってないもの。」
そう言うとスケさんは、ドアを開けた。
ドアの向こう側には・・・
「ナレーションさん」とスケさん。
“はいは~い。
ここはねスケさんの家の地下300Mにあるスケさん専用のラボ。
最先端の宇宙科学技術が詰まっている部屋になっとるたい。
それじゃあ、スケさんにお返ししま~す。”
「理解してくれたかい?雫氏。」
「まあ」
心の台詞を取られた事と、この部屋の設備に呆気を取られる俺。
「早速、本題に入ろう。」
スケさんは、ポリ袋に入ったバッジを見せてきた。
「このバッジは?」
「現場にこれが落ちていた。
ここのコンピューターにこのバッジに該当する学校・企業があるかチェックした所・・・」
スケさんがキーボードを叩くとラボの投影巨大スクリーンが映る。
このバッジを所持しているのは、企業であった。
社名 オルガナイザー
主な事業は、軍事兵器の開発・販売。
「オルガナイザーねえ。」腕を組む雫。
「一応、落し物の可能性もあるから、この会社のサーバーをハッキングして社員個人情報を頂いた。
そのデータを基に、現場付近に住居する社員がいないか調査したのだが該当する社員はいなかった。」
「つまり、こんな住宅街に軍事会社の社員が立ち寄る理由がないと。
でも、偶々この近所に住む友人宅等に遊びに来てその際、道中に落とした可能性もあるぞ。」当然の疑問をスケさんにぶつける俺。
『その可能性は、低いわね。』
雫が声のする方を向くと真似沢さんが立っていた。
「おっ、真似沢さん久しぶり。」
『本当に久しぶり~雫ちゃん!』
俺は、床に立っている真似沢さんを拾い上げ机の上に載せてあげた。
『雫ちゃん、今日も男前ね。』
いつも真似沢さんは俺と会うとお世辞大会が始まる。
「いやいやそういう真似沢さんだって今日も御綺麗ですよ。」
『やだ~』照れる真似沢さん。
「あのお二人さん。話が先に進まないんだが。」諌めるスケさん。
『何よ!意地悪!』舌を出す真似沢さん。
「怒らないで真似沢さん。せっかくの美貌が台無しですよ。」
俺は、真似沢さんを褒めて宥める。
『もうっ、雫ちゃんったら~。
よしっ、切り替えて行きましょう。
落し物の可能性が低いっていうのはね、これを見て。』
真似沢さんは、自分専用タブレットを操作する。
モニターにバッジの拡大図が映し出される。
バッジには、衣服の繊維が付いていた。
真似沢さんは証拠品のバッジについて解説を始めてくれた。
『このバッジについている繊維なんだけど、どうも無理矢理取られた繊維の付き方なの。
そして、その繊維の中に皮膚辺が付着していたわ。
DNAの型を調べたら女性に分類する型と判明した。』
「どうだい、限りなく濃い線だろ雫氏。」
スケさんが俺に聞いてくる。
「そうだな。真似沢さん申し訳ないがこの髪の毛のDNAと一致するか調べてくれない?」
俺は、女性の部屋でこっそりと採取した髪の毛が入ったポチ袋を真似沢さんに渡す。
『分かったわ。早速調べてみる。』真似沢さんはそう言うと机からジャンプしラボの中にある自室へと直行した。
「スケさん、取り敢えず現段階までの情報を社長に報告するわ。」
部屋から出ていこうとする俺を呼び止めるスケさん。
「そうだ、雫氏。」
「何、スケさん。」
「あの男は、どうするんだい?」
「嗚呼、飯田さんのことか。
考えてなかったわ。」
「君らしいな。所で雫氏、この部屋からどう出ていくつもりなんだい?」
「あ、考えてなかったわ。」
現場から5分ともかからない距離にある何の変哲もないマンション。
部屋の鍵は、飯田さんが合鍵を持っていたのですんなりと入れた。
部屋の中は、ごく普通のワンルームの一人暮らし部屋だ。
几帳面な性格が出ているのか部屋は綺麗に整理整頓されている。
とは言え、適当に物色するわけにもいかない。
なんせ女性の部屋なのだから。
取り敢えず、行方不明の女性の名前をまだ聞いてなかったので聞くことにした。
「あの飯田さん。彼女さんの名前まだ聞いていないのですが・・・」
女性のパソコンを操作する飯田さんは手を止め、部屋に置いてあった写真を見せながら教えてくれた。
「僕の隣に写っている彼女の名前は、白鳥 雅(しらとり みやび)。
商社に勤めています。」
写真を見て彼女、中々の美人だなと思う雫。
飯田から彼女の地球における具体的な情報を聞き出し、スマホにメモをする振りをして社長に照会を依頼した。
「あの、本当に手伝ってくれるんですか?」
「はい、『 困っている人の役に立つようになれ 』というのが僕の家の家訓なので」
勿論、噓だ。
「じゃあ、えっと・・・」ジャケットのポケットから名刺を取り出そうとする。
「雫です。これから呼び捨てで構いません。
明らかに飯田さんの方が年上そうなんで・・・」
「じゃあ、雫君。これからよろしく。」
握手を求めてくる飯田。
「こちらこそよろしくお願いします。」
固い握手を交わす二人であった。
その後も、飯田さん立会いのもと調査したが、良い収穫を得られなかった。
そして、スケさんから収穫ありとの連絡を受け、スケさんの部屋に来ていた。
「雫氏。部屋ではなくラボと呼んでくれ。」
「嗚呼、御免。」
スケさんは、自室をラボと呼ばないと怒る。
なんでそう言わせるかは、分からない。
「スケさん、話を戻そう。
得られた収穫っていうのは?」
俺が尋ねるとスケさんは、ニンマリと笑顔になり机のボタンを押した。
次の瞬間、俺とスケさんは眩い光と共に部屋から消えた。
目を開けると謎のドアの前に立っていた。
「スケさん、こんなギミックがあるなんて。
オラ、聞いてねぇぞ!」
「うん、だって言ってないもの。」
そう言うとスケさんは、ドアを開けた。
ドアの向こう側には・・・
「ナレーションさん」とスケさん。
“はいは~い。
ここはねスケさんの家の地下300Mにあるスケさん専用のラボ。
最先端の宇宙科学技術が詰まっている部屋になっとるたい。
それじゃあ、スケさんにお返ししま~す。”
「理解してくれたかい?雫氏。」
「まあ」
心の台詞を取られた事と、この部屋の設備に呆気を取られる俺。
「早速、本題に入ろう。」
スケさんは、ポリ袋に入ったバッジを見せてきた。
「このバッジは?」
「現場にこれが落ちていた。
ここのコンピューターにこのバッジに該当する学校・企業があるかチェックした所・・・」
スケさんがキーボードを叩くとラボの投影巨大スクリーンが映る。
このバッジを所持しているのは、企業であった。
社名 オルガナイザー
主な事業は、軍事兵器の開発・販売。
「オルガナイザーねえ。」腕を組む雫。
「一応、落し物の可能性もあるから、この会社のサーバーをハッキングして社員個人情報を頂いた。
そのデータを基に、現場付近に住居する社員がいないか調査したのだが該当する社員はいなかった。」
「つまり、こんな住宅街に軍事会社の社員が立ち寄る理由がないと。
でも、偶々この近所に住む友人宅等に遊びに来てその際、道中に落とした可能性もあるぞ。」当然の疑問をスケさんにぶつける俺。
『その可能性は、低いわね。』
雫が声のする方を向くと真似沢さんが立っていた。
「おっ、真似沢さん久しぶり。」
『本当に久しぶり~雫ちゃん!』
俺は、床に立っている真似沢さんを拾い上げ机の上に載せてあげた。
『雫ちゃん、今日も男前ね。』
いつも真似沢さんは俺と会うとお世辞大会が始まる。
「いやいやそういう真似沢さんだって今日も御綺麗ですよ。」
『やだ~』照れる真似沢さん。
「あのお二人さん。話が先に進まないんだが。」諌めるスケさん。
『何よ!意地悪!』舌を出す真似沢さん。
「怒らないで真似沢さん。せっかくの美貌が台無しですよ。」
俺は、真似沢さんを褒めて宥める。
『もうっ、雫ちゃんったら~。
よしっ、切り替えて行きましょう。
落し物の可能性が低いっていうのはね、これを見て。』
真似沢さんは、自分専用タブレットを操作する。
モニターにバッジの拡大図が映し出される。
バッジには、衣服の繊維が付いていた。
真似沢さんは証拠品のバッジについて解説を始めてくれた。
『このバッジについている繊維なんだけど、どうも無理矢理取られた繊維の付き方なの。
そして、その繊維の中に皮膚辺が付着していたわ。
DNAの型を調べたら女性に分類する型と判明した。』
「どうだい、限りなく濃い線だろ雫氏。」
スケさんが俺に聞いてくる。
「そうだな。真似沢さん申し訳ないがこの髪の毛のDNAと一致するか調べてくれない?」
俺は、女性の部屋でこっそりと採取した髪の毛が入ったポチ袋を真似沢さんに渡す。
『分かったわ。早速調べてみる。』真似沢さんはそう言うと机からジャンプしラボの中にある自室へと直行した。
「スケさん、取り敢えず現段階までの情報を社長に報告するわ。」
部屋から出ていこうとする俺を呼び止めるスケさん。
「そうだ、雫氏。」
「何、スケさん。」
「あの男は、どうするんだい?」
「嗚呼、飯田さんのことか。
考えてなかったわ。」
「君らしいな。所で雫氏、この部屋からどう出ていくつもりなんだい?」
「あ、考えてなかったわ。」
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