ミズタマン・ 第三話

飛鳥 進

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第三話・8

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俺は、出店の王道をゆく焼きそば、たこ焼き、綿あめ等を堪能し旅館に戻る前に田中山村長に挨拶しようと思い本部テントに目を向けると慌ただしい雰囲気であった。
そのまま無視すればよかったのに野次馬根性が発動してしまい本部テントへと足を向けていた。
「あの~何かあったんですか?」近くにいた村役場の職員に声を掛ける雫。
「あ、いや。沙里瑠ちゃんが山に入ったものの行方不明らしくて。」
「え?沙里瑠さんが?」
「あのもし良かったらなんですけど、俺も捜索に加わらさせて頂けませんか?」
「それはありがたいです。村長!」
こうして、雫は沙里瑠捜索隊へと加わることになった。
山の地図を広げて捜索範囲を決めていた時、大きな揺れが祭り会場否途有村全体を襲った。
それまでの歓声が悲鳴に変わった。
「水龍が怒ったんだ。」田中山村長が呟く。
「水龍が?」雫が聞き返す。
「ええ、本来であればこの時間に沙里瑠ちゃんが舞っているはずなんです。」
「それがないから水龍がお怒りなったと・・・
沙里瑠さん捜索は、俺一人で任せてくれませんか?」
「いやでも・・・」
「今の地震で、村の消防団必要ですよね。
人探しは得意な物で。お願いします!」深く頭を下げて頼み込む雫。
「分かりました。水田さん、お願いします。」
「はい!」
田中山村長から沙里瑠さ捜索を一任された俺は、早速スケさんの頭脳を借りることにした。
「もすもす、スケさん?」
「地震大丈夫かい?」
「その地震を止めるために、協力を願いたいのだけど。」
これまでの経緯を伝え、スケさん開発の捜索システムで沙里瑠の行方を捜してもらった。
捜索開始から僅か30秒で見つかった。

山小屋
「これ外して!私を返して!」
沙里瑠は、椅子に縛り付けられ身をよじって紐を解こうとする。
「宇宙人が何、言ってんだよ。」トマトが冷笑しながら言う。
「私は、宇宙人じゃない!」
「いやいや、こいつが聞いたって言ってるよ。」
メンバーの絹豆腐を見るトマト。
「あんた、自分で言ってたじゃん。
自分には宇宙人の血が入っているって。」絹豆腐は意気揚々と喋る。
「盗み聞きしてたの?最低っ!」
「まあまあ、落ち着いて。」照り焼きが沙里瑠の肩を叩きながら宥める。
「で、早く変身してよ!宇宙人さん。」イチジクが言う。
「おっ、良いね。」トマトが賛同する。
「やめとけよ。襲われて俺死にたくねえよ。」そんな事を言いながらカメラを回すドーナツ。
「このままじゃ埒あかねえから。
服でも脱がすか。」トマトが提案する。
『良いね!』
四人のメンバー満場一致で沙里瑠を囲む。
「や、止めて!来ないで!」
『ぐへっへっへへ』
トマトが沙里瑠の服を掴んだ瞬間、山小屋が大きく揺れた。
男達は、立っていられないほどの揺れに慄き、トマトが手を放すと同時に沙里瑠は椅子ごと倒れ頭を強く打ち気を失ってしまった。
そして、揺れが治まり男達は立ち上がり状況を確認する。
「な、なんだ。」面を食らったような顔をする絹豆腐。
「地震だろう。」トマトが言う。
「震度は?」ドーナツがメンバーに聞く。
「知らねえよ。」イチジクが軽くキレる。
「おい!宇宙人の女、気絶してるぞ。」
照り焼きが手招きしながらメンバーを集める。
「どうする?」トマトに聞く照り焼き。
「そうだなぁ。このまま服を脱がして・・・・」
ドドドドドドドドドと音が山小屋に響き小刻みに揺れる。
「な、なんだ。この音・・・・」
ドーナツが窓の向こうを見ると、大量の土砂がもうすぐ側まで迫ってきていた。
『逃げろ!』
男達が一斉に山小屋から逃げ出そうとするが、先程の地震でドアの建付けが悪くなり簡単に開くことが出来なくなった。
「おい、開かねえぞ!」
男5人が名一杯ドアを押したり叩いたりするが、びくともしない。
「今、助けるぞ~」ドアの向こうから声がする。
『頼みます!助けて下さい!』
「それっ!」
その掛け声と同時にドアと共に壁に叩きつけられ気絶する男5人。
ドアを蹴破ったのは、ミズタマンだ。
ミズタマンは沙里瑠を椅子ごと抱え、山小屋を後にした。
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