探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第参拾話-将軍

将軍-15

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「誰からだ?」
 光浦が長四郎に質問すると、人差し指を口に当てしぃ~のポーズをする。
「どうしたんだよ。急に」長四郎は電話の相手にそう言いながら、机に腰掛け話を続ける。
 逆探知の準備ができたらしく担当の刑事が長四郎のご所望していたライトニングケーブルが届き長四郎は自身のスマホに挿した。
「その口調、ふざけているのか?」電話の向こうに居るゲネラールがそう告げた。
「いいや。エリートだか何だか知らないけど、鼻に付く奴が近くに居てさ。困ってんの」
「あのテレビで俺に喧嘩を売ってきた官僚か?」
「そう。で、会えなかったからそのお誘いかな?」
「いいや。当分の間は予想と思う」
「つれない事言うなよぉ~ 君と出会いたのに」
「言っていて恥ずかしくないのか?」
「うん。恥ずかしい」長四郎は自分に向けられる視線に顔を赤らめて恥ずかしがる。
「では、本題に入ろう」
 ゲネラールのその言葉を受け、長四郎は顔をキリッと引き締める。
「次の標的を先に教えよう。あの記者だ」
「あの記者?」
「そう。我々の接見を邪魔したあの記者だ」
 面倒くさい事になったな。長四郎はそう思った。
「標的は分かった。第五の殺人事件はどう捉えたら良いのかな?」
 聞く事が違うだろ。光浦は歯がゆい顔をして長四郎とゲネラールの会話を黙って聞く。
「どうとでも捉えてくれ。それは、君に任せる」
「そうかい。記者の話に戻そう。で、勿論のことだが、匿うのは禁止だろ?」
「匿っても構わないが、俺は見つける自身がある」
「だろうな。本人にこの事を伝えるのは?」
「OKだ。出来たら、君が全力で警護してくれたら嬉しいんだがな」
「それは、警察さん次第かな?」
「そうか。では、ゲームを開始しよう。開始時刻は今から2時間後とする。その間に記者を見つけ出せ」
「はいよ。もし、見つけ出せなかった場合は?」
「その時は連絡してくれ。連絡先をこれから伝える」
 長四郎はメモがしたいというジェスチャーをすると、近くにいた刑事がペンと紙を渡した。
「じゃ、言ってくれ」
 ゲネラールは自身の連絡先を長四郎に告げた。
「OK. あ、ゲネちゃんに喧嘩を売った刑事がお話したいって顔をしているんだけど。あ、そぉ。お話してくれる」
 長四郎は光浦にスマホを手渡した。
「もしもし、捜査本部長の光浦だ」
 だが、スマホのスピーカーから聞こえるのは、プープーという音だけであった。
「逆探知、ダメでした」刑事がそう告げると、捜査員達は落胆の声を上げる。
「聞いた通り、二時間以内にあの甘木田とかいう記者を見つけないとゲネちゃんは捕まえられない」
「で、その記者の連絡先は?」管理官が質問すると「知らんっ!」長四郎は胸を張って答えた。
「連絡先を聞かなかったのか!?」
「向こうさんはわざわざ名刺をくれたんだけど、レインボーブリッジで海に捨てちゃったのね。だから、無いの」
「貴様!」ふざけるのもいい加減にしろと言わんばかりの形相で長四郎に掴みかかろうとする管理官を光浦が制した。
「ここで怒った所で意味はありません。その記者に繋がる手掛かりは?」
「手掛かりねぇ~ 警視庁には記者クラブってのがあるでしょ? あそこの人達に甘木田って奴を知らない? って聞けば分かるんじゃない」
「今すぐ記者クラブへ!!」管理官が捜査員に通達すると、すぐに捜査員達は動き出した。
「あ」と何かを思い出したように声を出す長四郎は「第五の殺人事件の捜査資料をくぅ~ださぁ~いな!」と手を差し出して光浦にお願いをする。
 光浦はそれに答えず目配せで管理官に捜査資料を渡すように命じた。
「これだ!」
 捜査員から渡された捜査資料を管理官は不服そうに、長四郎に向かって投げ渡す。
「どうもぉ~」
 長四郎はそんなの気にしない様子で、捜査資料を読みながら大会議室を出ていくのだった。
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