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第弐拾漆話-大物
大物-12
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「あ~ 疲れたぁ~」
長四郎と絢巡査長は床に寝転がって、二人同時に同じ事を言う。
「お疲れ様でぇ~す。粗茶でぇ~す」
燐は床に寝転ぶ二人に500mlのペットボトルのお茶を出した。
「何が、粗茶だよ。ったく、絢ちゃん、ありがとうね。手伝ってくれて」
「いえ、漆黒のGが現出する部屋なんてごめんですから」
「だってさ。掃除しろよな」
「はぁ~い」
そんな事言っても、掃除苦手なんだもぉ~んと心の中で呟く燐であった。
「それで、一川さんはお偉いさん方にお呼ばれしたんだって」
長四郎は急に本題を切り出した。
「そうです。流石、大物フィクサーですよね。素早い」
「絢さん。感心している場合じゃないかと」
「それで? 音々さんは収賄の現場を目撃したって?」
「はい、それで監禁されたと」
「本当にそれだけなんですかね?」
「ラモちゃん、どういう事?」
長四郎は身体を起こして、燐の話に耳を傾ける。
「いやさ、収賄の現場を目撃したからって。普通、監禁するかね? 私だったら、口止め料を払って黙っててもらうように説得するけどなぁ~」
「どうしたの? えらくまともな事を言うじゃない? 天変地異の前触れ?」
言うと同時に、燐のストレートパンチが炸裂し、長四郎はノックダウンする。
「でも、ラモちゃんの言う通りではあるよね。普通、監禁なんてしないと思うんですけどね」
「絢ちゃんまで、どうしたの?」
「じゃあさ、もし、あんたが収賄の現場を目撃したらどうするの?」
「俺だったら・・・・・・ そうだなぁ~ う~ん」
長四郎は腕を組み、真剣に考え込む。
「何をそんなに考え込む事があるわけ?」
「そういえば、取り調べしている時、音々さん何か言いたそうな感じだったかも」
「絢ちゃん。そういう事は、早く言ってくれないと」
「すいません」
「そうじゃないでしょ。じゃあ、聞きにいかないと」
「ラモちゃん、落ち着けよ。クールに、クールに」
「長さんの言う通りだよ。クールに。彼女、何を隠しているんだと思います?」
「隠す? 何、そんな感じでもしたの?」
「だって、そうじゃないですか。言いたい事があるなら、真っ先に言うと思うんですよね」
「だから、隠しているか・・・・・・ う~んっ!!」
身体を伸ばして、長四郎は頭の中で考えを張り巡らせる。
「収賄だけでないとなると、殺人?」
「ラモちゃん、殺人だったら死体は?」
「山に埋められているとか? 海に沈められているとか? ですかね」
「ですかね? じゃねぇ~よ。なぁ、収賄の現場に居たのは、衆議院議員と参院議員って言ってたよな」
「はい、そうですけど」
「大物フィクサーに金を払うって事は、何かの法案を通してもらうためのじゃないのかねぇ~ 衆議院、参議院で解散するなんてニュース流れてねぇ~しな」
「法案ですか。という事は、法案絡みで殺したって事ですか?」
「殺人から離れろよ。絢ちゃん、その収賄していた議員は何に強いのかを調べてくれない? それが監禁の理由に繋がるかもしれない。OK?」
「分かりました」
「それで、あんたはどうするの?」
「音々ちゃんの身辺警護。今は、奴らの知らないところに身を隠しているとはバレるのは時間の問題。つーことだから、ラモちゃんは普段通り学校に通いなさい」
「嫌だよ。私も手伝う」
「ああ、そ。富有子さん言ってたぞ。「ここ最近、学校に通っているみたいで安心した」って」
「だから、何よ」
「だからさ、近所で変な噂が立たないように生活しなさいって」
「長さん、それは無理って顔してますよ」
絢巡査長の言う通り、長四郎を般若の面のような顔をして睨んでいた。
「噓! 噓です!! 手伝ってください!!! 放課後でも良いので手伝いに来てください!!!!」
その言葉を聞いた燐は、菩薩のような顔となる。
「単純なガキだな」
余計な一言が燐を再び般若の顔へと変化させた。
長四郎と絢巡査長は床に寝転がって、二人同時に同じ事を言う。
「お疲れ様でぇ~す。粗茶でぇ~す」
燐は床に寝転ぶ二人に500mlのペットボトルのお茶を出した。
「何が、粗茶だよ。ったく、絢ちゃん、ありがとうね。手伝ってくれて」
「いえ、漆黒のGが現出する部屋なんてごめんですから」
「だってさ。掃除しろよな」
「はぁ~い」
そんな事言っても、掃除苦手なんだもぉ~んと心の中で呟く燐であった。
「それで、一川さんはお偉いさん方にお呼ばれしたんだって」
長四郎は急に本題を切り出した。
「そうです。流石、大物フィクサーですよね。素早い」
「絢さん。感心している場合じゃないかと」
「それで? 音々さんは収賄の現場を目撃したって?」
「はい、それで監禁されたと」
「本当にそれだけなんですかね?」
「ラモちゃん、どういう事?」
長四郎は身体を起こして、燐の話に耳を傾ける。
「いやさ、収賄の現場を目撃したからって。普通、監禁するかね? 私だったら、口止め料を払って黙っててもらうように説得するけどなぁ~」
「どうしたの? えらくまともな事を言うじゃない? 天変地異の前触れ?」
言うと同時に、燐のストレートパンチが炸裂し、長四郎はノックダウンする。
「でも、ラモちゃんの言う通りではあるよね。普通、監禁なんてしないと思うんですけどね」
「絢ちゃんまで、どうしたの?」
「じゃあさ、もし、あんたが収賄の現場を目撃したらどうするの?」
「俺だったら・・・・・・ そうだなぁ~ う~ん」
長四郎は腕を組み、真剣に考え込む。
「何をそんなに考え込む事があるわけ?」
「そういえば、取り調べしている時、音々さん何か言いたそうな感じだったかも」
「絢ちゃん。そういう事は、早く言ってくれないと」
「すいません」
「そうじゃないでしょ。じゃあ、聞きにいかないと」
「ラモちゃん、落ち着けよ。クールに、クールに」
「長さんの言う通りだよ。クールに。彼女、何を隠しているんだと思います?」
「隠す? 何、そんな感じでもしたの?」
「だって、そうじゃないですか。言いたい事があるなら、真っ先に言うと思うんですよね」
「だから、隠しているか・・・・・・ う~んっ!!」
身体を伸ばして、長四郎は頭の中で考えを張り巡らせる。
「収賄だけでないとなると、殺人?」
「ラモちゃん、殺人だったら死体は?」
「山に埋められているとか? 海に沈められているとか? ですかね」
「ですかね? じゃねぇ~よ。なぁ、収賄の現場に居たのは、衆議院議員と参院議員って言ってたよな」
「はい、そうですけど」
「大物フィクサーに金を払うって事は、何かの法案を通してもらうためのじゃないのかねぇ~ 衆議院、参議院で解散するなんてニュース流れてねぇ~しな」
「法案ですか。という事は、法案絡みで殺したって事ですか?」
「殺人から離れろよ。絢ちゃん、その収賄していた議員は何に強いのかを調べてくれない? それが監禁の理由に繋がるかもしれない。OK?」
「分かりました」
「それで、あんたはどうするの?」
「音々ちゃんの身辺警護。今は、奴らの知らないところに身を隠しているとはバレるのは時間の問題。つーことだから、ラモちゃんは普段通り学校に通いなさい」
「嫌だよ。私も手伝う」
「ああ、そ。富有子さん言ってたぞ。「ここ最近、学校に通っているみたいで安心した」って」
「だから、何よ」
「だからさ、近所で変な噂が立たないように生活しなさいって」
「長さん、それは無理って顔してますよ」
絢巡査長の言う通り、長四郎を般若の面のような顔をして睨んでいた。
「噓! 噓です!! 手伝ってください!!! 放課後でも良いので手伝いに来てください!!!!」
その言葉を聞いた燐は、菩薩のような顔となる。
「単純なガキだな」
余計な一言が燐を再び般若の顔へと変化させた。
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