探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第弐拾参話-会長

会長-18

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 長四郎が変蛇内高校で調査している頃、燐は警視庁に居た。
 一川警部達と共に行動するように指示を受け、今、野古の検視結果を一川警部、絢巡査長と共に鑑識捜査員から報告を受けていた。
「被害者の直接死因は、ヒ素による中毒死ですね」
「ヒ素ですか。何の食べ物に混入していたとか分かりますか?」
 絢巡査長の問いに、鑑識捜査員はタブレット端末を操作しながら該当の検視部分を拡大させ、それを三人に見せる。
「クッキーですね」
「クッキー。クッキー」
 燐は呟きながら事件当時、テーブルにクッキーがあったかをこめかみを人差し指をクリクリさせ思い出そうとする。
「それで、ヒ素は即死するような量だったんですか?」
「はい。ですが、毒物が入っているので普通、違和感を感じて吐き出すと思うんですけどね」
「そうですよね」
「じゃあ、こういう事は考えられんね?」ここで一川警部が口を開いた。
「被害者に少量のヒ素が入ったクッキーを食べさせ続けさせた結果、死んだ。どげんよ?」
「まぁ、それが一番、理にかなっていますね」
「でしょ~ 絢ちゃん」
 一川警部が嬉しそうに答えていると、「あの私、心当たりあるかもなんで、変蛇内高校に行って良いですか?」と燐が話に入ってきた。
「じゃあ、絢ちゃん。ラモちゃんと一緒に学校に行ってきて。あたしはヒ素の出所を調べるけん」
「分かりました。ラモちゃん、行こう」
「はいっ!!」
 こうして、燐と絢巡査長の二人は変蛇内高校へと急行した。
 一方、長四郎はというと変蛇内高校の会議室で付都から拝借した事件当時のスケジュール資料を何回も読み直していた。
 付都は授業があるというので、離席しており一人会議室でぶつぶつと文句を言いながら何かを考えていた。
 そんなおり、会議室のドアが開き驚く長四郎。
「おい! 部外者がここで何やっている!!」
 怒鳴り散らしてきたのは、水野だった。
「これは、これは水野先生。そんなに怒ってどうされたんですか?」
「あんた、ここで何しているんだ?」
「何している? 御校の生徒さんが殺された事件解決のお手伝いですよ」
「そんな御託は良い。さっさと帰ってくれ!!」
 あまりの気迫に長四郎は敵わんと察し、引き上げる準備を始める。
「あの先生、帰る前に二、三質問良いですか?」
「何ですか?」
「一年前のキャンプについてなんですけどね。自由時間、生徒達と何されていたんですか?」
「特に何も。私は、テントに居ましたから」
「ほぉ。先生もテントに」
「それが何か?」
「いえ、てっきり生徒さん方と一緒にズォーダーごっこでもしていたのかなと」
「なんで、教師がそんなことを」
「シンプルな退屈凌ぎとかでやっているのかなと」
「失礼だな。あんた!」
「申し訳ございません。失礼な事を言うのは得意なので。では、これにて」
 長四郎は水野に向かって一礼し、その場から立ち去る。
「あの探偵。なんで、あれについて知っているんだ?」
 水野はそう言いながら、立ち去る長四郎の後ろ姿を見送る。
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