303 / 750
第拾玖話-有名
有名-1
しおりを挟む
都内某所のビル街のゴミ捨て場に、ビニールシートの幕が建てられていた。
その幕の中では沢山の警察官達が出入りし、捜査を行っていた。その中で異彩をはなつ2人が居た。
私立探偵の熱海 長四郎、そして、彼の助手? らしい女子高生の羅猛 燐である。
その2人の視線の先にあるのは、1人の男の死体であった。
男は顔を真っ赤な血で濡らして、顔とは思えない程に腫れあがり、腕や足もあらぬ方向へと曲がっていた。
「ひ、酷い・・・・・・」
数々の死体を見てきた燐でさえ、男の死体はあまりにも惨たらしかったのだ。
「全くだ」
長四郎はそう答えながら、拳をグッと握りしめる。
「あ、長さん。来てくれたと?」
今回の事件を担当する事になった警視庁捜査一課命捜班の一川警部が長四郎、燐に声を掛ける。
「一川さん。今回は、凄惨ですね」長四郎が感想を述べる。
「全くばい。そいで、こん人の事、知っとううとやろ?」
「ええ、依頼人の同僚です、まさか、こんな事になるなんて」
「長さん、こん人がこげん事になった理由を知っとうみたいやね」
「まぁ」
「どうして、こげん事になったのか。教えてくれんね?」
「分かりました」
長四郎は、これまでの経緯を話し始めるのだった。
事件発生の5日前、その依頼は舞い込んできた。
依頼人は、テレビで引っ張りダコのタレント・澤村 美雪のマネージャーを担当しているという松坂 健という男であった。
その依頼内容はというと・・・・・・
「澤村美雪のストーカー対策です」
「ストーカー対策ですか。いやぁ~」そう言いながら、困り顔で頭を掻く長四郎。
長四郎が難色を示すのは、過去そういった依頼を受けたことがなくどう対応して良いものか分からなかったからであった。
「引き受けてもらえないでしょうか?」
「基本はお引き受けするのですが、ストーカー対策はちょっとやったことが無いもので。うちの事務所は浮気調査が主戦場でしてね。うちの事務所を選ばれたきっかけは何ですか?」
「ネットです。それと、我が社から近かったので」
「ああ、そうでしたか。なんか、すいません。お役に立てたなくて」
「いえ」
「あ、気を落とさないでください。この手に強い探偵を知っていますから、紹介しますね」
「お願いします」
長四郎はすぐさまソファーから立ち上がると、本棚にある近隣の探偵事務所の連絡先が記載されたファイルを取り出そうとする。
「その依頼、お引き受けします」
そう松坂に告げたのは、買い物袋に手に下げた燐であった。
「いや、でも・・・・・・」
見知らぬ女の子にそう言われた松坂は目で、本棚の前に立つ長四郎にお伺いを立てる。
「良いわよね?」燐の鋭い眼光に睨まれた長四郎は「お引き受けします」と泣く泣くその依頼を受けた。
そこから、諸々の打ち合わせをして松坂は帰っていった。
「え~ストーカー対策の依頼ぃ~」
長四郎から詳細を聞いた燐は驚愕する。
「そうだよ。それなのに、勝手に引き受けちゃってさ」
「でも、OK出したのはあんたでしょうがっ!!」
「左様でございますね」
長四郎はここで何を言っても燐の反撃を受けると悟り、気持ちを切り替えストーカー対策の準備を始めるのであった。
その幕の中では沢山の警察官達が出入りし、捜査を行っていた。その中で異彩をはなつ2人が居た。
私立探偵の熱海 長四郎、そして、彼の助手? らしい女子高生の羅猛 燐である。
その2人の視線の先にあるのは、1人の男の死体であった。
男は顔を真っ赤な血で濡らして、顔とは思えない程に腫れあがり、腕や足もあらぬ方向へと曲がっていた。
「ひ、酷い・・・・・・」
数々の死体を見てきた燐でさえ、男の死体はあまりにも惨たらしかったのだ。
「全くだ」
長四郎はそう答えながら、拳をグッと握りしめる。
「あ、長さん。来てくれたと?」
今回の事件を担当する事になった警視庁捜査一課命捜班の一川警部が長四郎、燐に声を掛ける。
「一川さん。今回は、凄惨ですね」長四郎が感想を述べる。
「全くばい。そいで、こん人の事、知っとううとやろ?」
「ええ、依頼人の同僚です、まさか、こんな事になるなんて」
「長さん、こん人がこげん事になった理由を知っとうみたいやね」
「まぁ」
「どうして、こげん事になったのか。教えてくれんね?」
「分かりました」
長四郎は、これまでの経緯を話し始めるのだった。
事件発生の5日前、その依頼は舞い込んできた。
依頼人は、テレビで引っ張りダコのタレント・澤村 美雪のマネージャーを担当しているという松坂 健という男であった。
その依頼内容はというと・・・・・・
「澤村美雪のストーカー対策です」
「ストーカー対策ですか。いやぁ~」そう言いながら、困り顔で頭を掻く長四郎。
長四郎が難色を示すのは、過去そういった依頼を受けたことがなくどう対応して良いものか分からなかったからであった。
「引き受けてもらえないでしょうか?」
「基本はお引き受けするのですが、ストーカー対策はちょっとやったことが無いもので。うちの事務所は浮気調査が主戦場でしてね。うちの事務所を選ばれたきっかけは何ですか?」
「ネットです。それと、我が社から近かったので」
「ああ、そうでしたか。なんか、すいません。お役に立てたなくて」
「いえ」
「あ、気を落とさないでください。この手に強い探偵を知っていますから、紹介しますね」
「お願いします」
長四郎はすぐさまソファーから立ち上がると、本棚にある近隣の探偵事務所の連絡先が記載されたファイルを取り出そうとする。
「その依頼、お引き受けします」
そう松坂に告げたのは、買い物袋に手に下げた燐であった。
「いや、でも・・・・・・」
見知らぬ女の子にそう言われた松坂は目で、本棚の前に立つ長四郎にお伺いを立てる。
「良いわよね?」燐の鋭い眼光に睨まれた長四郎は「お引き受けします」と泣く泣くその依頼を受けた。
そこから、諸々の打ち合わせをして松坂は帰っていった。
「え~ストーカー対策の依頼ぃ~」
長四郎から詳細を聞いた燐は驚愕する。
「そうだよ。それなのに、勝手に引き受けちゃってさ」
「でも、OK出したのはあんたでしょうがっ!!」
「左様でございますね」
長四郎はここで何を言っても燐の反撃を受けると悟り、気持ちを切り替えストーカー対策の準備を始めるのであった。
0
お気に入り登録,エール,感想をお待ちしております。
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。


美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる