探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第拾肆話-希望

希望-5

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 駅員室へ入ると、駅員と制服警察官に囲まれ項垂れてパイプ椅子に座っている男が居た。
 プランターに身体を突っ込んでいた男本人であることは、目撃した長四郎、燐、絢巡査長の3人は一目で分かった。
「お前がアレを仕掛けたのか?」
 真っ先に口を開いたのは、高倉だった。
「・・・・・・」
 男が口をつぐんでいると、制服警官が絢巡査長に耳打ちした。
「実は我々が声を掛けた時、素直に同行してくれまして。なぜ、今になって黙秘するのか。見当もつかないんですよ」
「そうですか。ありがとうございます」
 絢巡査長はそう制服警官に礼を言い、長四郎にその事を伝えた。
「何とか言ったらどうだ!」
 机をバンっと叩き、高倉は男を恫喝すると長四郎が高倉を押しのけて男の目の前に立つ。
「あんた、雇われたんだろ?」
 長四郎の言葉を聞いた男は顔上げる。
「幾らで雇われた?」
「1万円。交通費は別で」
「成程。絢ちゃん、もう一度、防犯カメラ映像を確認してくれ」
「どういう事?」燐が説明を求める。
「ティッシュ配りをしているアルバイトを監視するアルバイトが居るって話聞いたことない? つまりはこいつが任務を遂行しているか確認する監視役がいるはず。そんで、駅までの経路でこいつを尾行する人物が映っているかもしれないって事。お分かり?」
「うん。でも、尾行している奴って分かるの?」
「そこで、普通の刑事より尾行に長けているこの人達の出番」
 長四郎はそう言って、高倉の肩をポンっと叩いた。
「分かった。こいつは警視庁へ連行してくれ」
 そう長四郎に告げると、旭を連れて一川警部の居る警備室へと向かった。
 そして、男は制服警察官達に連れられ警視庁へとその身柄を移送され、長四郎達は円柱がある第1ターミナルへと戻る。
「大した話は聞けなかったね」
 燐は悔しそうに言葉を漏らす。
「そうね」
「いやいや、そんな事ないでしょう」
「どういう意味ですか? 長さん」
「だって、同じような奴がいるかもしれないでしょ。あいつがマヌケで分かりやすい行動をしていてくれたからであって。他に居てもおかしくはないでしょ」
「それはそうだけど」
「アレのサイズを考えてみろよ。1ℓサイズの水筒と同じ大きさだぜ。それがあちこちに仕掛けられていてもおかしくはないだろ」
「そうですね。やはり、捜査員を増員してもらった方が良いでしょうか?」
 絢巡査長の質問に長四郎は黙って頷き、賛成する。
「一川さん。絢です。実は」
 絢巡査長は警備室に居る一川警部に捜査員の増員を要請した。
「私達はこれからどうするの?」
「う~ん、あの装置が起動するのを確認する監視役でも探してみる?」
「何、その曖昧な答えは」
「だって、情報が少ないんだもん。思いついたことをするしかなくない?」
「それも、そうね」
「あの2人共。言い合いしている所、申し訳ないけど犯人グループから新たな要求が届いたらしいから警備室に行きましょう」
『はーい』
 声を揃えて返事する長四郎と燐を苦々しい顔で物陰から見つめる男が居た。
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