探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第拾話-詐欺

詐欺-11

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 長四郎が警視庁で長四郎スペシャルを食べている頃、燐は学校で捜査を続けていた。
 手始めに、事件当日へケべケを目撃した生徒を探すことにした。
 そして今、更衣室に居た舞台スタッフのモブ高校生達を食堂に集めることに成功した燐は、事件当日のへケべケの様子を聞いた。
「事件当日にへケべケさんに変わった所はなかった?」
「無かった。よなぁ」
 燐の質問に答えるモブ高校生Aは隣に座るモブ高校生Bに尋ねる。
「うん、無かった」
「あの、良いかな? 事件の犯人は捕まったんだよな。何を調べることがあるの?」
 モブ高校生Aの質問に燐は「犯人が捕まったから終わりじゃないの。事件の真相を解き明かして初めて解決と言えるのよ」とドヤ顔で答えると食堂から「お~」という周りで食事している生徒達から歓声の声が沸き上がった。
「な、成程」顔を引きつらせながらモブ高校生Aは納得する。
「別の質問良いかしら?」
「どうぞ」燐の質問を許可するモブ高校生B。
「今回のKuunhubuerを呼んだのって誰?」
「ああ、それは一年生の針田はりたって女の子が、誘致して来ますって。そんで、ホントに呼んできたわけ」モブ高校生Bが答えた。
「ふーん、そうなんだ。で、その子のクラスは?」
 燐はモブ高校生Bから聞き出した情報元に、針田という女子生徒に接触する為に彼女のクラス一年C組を訪れた。
「あのぉー針田って子、居ます?」燐が前方のドアから教室に居る生徒達に声を掛けると、でかいワイヤレスヘッドホンをしタブレット端末と睨めっこした女子高生が隣席の生徒からから肩を叩かれ燐の所へ行くよう促されると気だるさそうに近づいてきた。
「貴方が、針田さん?」燐がそう尋ねると「そうすけど。お宅は?」と生意気口調で返答してきた。
「わ、私は二年の羅猛って言うんだけど。少しお話良いかな?」
「良いっすけど。あんたがあの有名な羅猛さんすか?」
「私って有名なの?」
「有名ですよ。あの熱血教師と無駄にケンカしあうってことで」
「そ、そうなんだ」燐は不名誉な形で有名な事を知り顔を引きつらせながら頷く。
「ここじゃ何なんで、別の所行きません?」
 針田の提案を受け、燐は針田に連れられ情報処理室へと場所を移した。
「私に用って言うのは、この前の殺人事件についてですよね?」
「そうだけど。よく分かったね」
「だって、このアカウントにDMしてきたの羅猛さんですね」
 針田は燐に自分のインスタアカウントを見せた。
 そこには、燐が昨晩、熱海探偵事務所のインスタアカウントを作成し鎌飯から声掛けをされていたバリバリchannelにDMを送ったその画面を今、見せられていた。
「これだけで分かったの? てか、針田さんがバリバリchannelの運営者?」
「まぁ、そうです。それと、どうして分かったかは羅猛さんが探偵活動をしているのも有名ですから」
 そこまで校内に知れ渡っているとは思っておらず、燐は感服するばかりであった。
「それで、この件ですよね? 勧誘を受けた件」
「ああ、そう」
「私も半信半疑で、興味がてらこの事をへケべケさんにタレこんだんですよ。そしたら、詳しい話を聞かせて欲しいって言われて」
「それで話したの?」
「はい」
「覚えている限り話してくれない?」
「良いですよ。この勧誘については応募しない方が良いと言われました。理由は教えてもらえませんでしたけど」
「それ以外は?」
「協力して欲しいことがあると言われました」
「協力?」
「その協力の一環で、この学校の学園祭にへケべケさんとオンジンさんが来たんです」
「という事は、この学園祭のゲストはへケべケに仕組まれてたって事?」
「というか、へケべケさんにはオンジンと接触してもらいたいと言われたんです。でも、底辺kuunhuberの私がトップkuunhuberのオンジンさんと接触するのは難しいので、この学園祭を利用する事を私が提案したんです」
「それをへケべケは、承諾した」燐の言葉に頷く針田は話を続けた。
「最初はへケべケさんをゲストにする為に正規のルートから応募し、依頼を受けたへケべケさんが事務所にオンジンと一緒に出演しないと言って、事務所がオンジンさんに話をしたら了承してくれまして出演という形になったんです」
「そういう事がね。それで事件当日、針田さんはオンジンと接触したの?」
「はい。ご挨拶だけさせて貰いました」
「その時、へケべケに変わった所はなかった?」
「ありませんでした」
「オンジンには、挨拶しただけ?」
「挨拶とコンテストに参加する旨を伝えました。参加しませんけど」
「オンジンはどんな反応を示した?」
「いや特に。頑張ってねとは言われました」
「そう」
 燐はへケべケが生前、浦安に言っていた大物kuunhuberの正体が掴めた気がした。
「私もへケべケさんが殺されてショックでした。だから、私も協力できることがあったら言ってください」
「ありがとう」
 燐はお礼を言い、情報処理室を出た。
 スマホの時計を確認し、12時57分を示していたので燐は保健室に向かう。
 そして、保健室で仮病を使い早退という形をとって学校を後にした。
 その頃、警視庁命捜班の二人は監察官室でこってり絞られていたのだが、警視庁上層部からの鶴の一声がかかり一切の処分を受けずに解放された。
「あの、どうして私達解放されたんでしょう?」
 廊下を歩きながら一川警部に質問を投げかける。
「その答えはもう分かっとうと。長さんめ、あのババアに話したみたいやね」
「ババア?」
「そうババア」
 一川警部の言うババアの正体が分からないまま絢巡査長は歩を進めるのだった。
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