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第二話-長屋
長屋-11
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「ここが俺の部屋です」
一太郎は長四郎達を自分の部屋に通す。
「失礼しますぅ~」長四郎は某声優の真似をしながら部屋に入ると、すぐに部屋の中を観察する。
「よいしょっと!」
部屋の中を観察する長四郎と違って、燐はすぐ様一太郎が使っているベッドに腰を下ろす。
「あ、ちょっと!!」
気まずそうな顔をする一太郎。
「え、何?」
「いや、何でもないよ」と答える一太郎の顔は引きつっている。
「ラモちゃん、ちょっと」
何かを察した長四郎は、燐を連れて部屋を出て行く。
「ほっ」
二人が居なくなったのを確認して、胸を撫で下ろすのだった。
「何で、部屋を出なきゃならない訳?」説明を求める燐に「察しろ」とだけ答える長四郎は、一太郎の部屋の隣にある部屋に入る。
「勝手に入っちゃまずいんじゃないの?」
燐の忠告を無視し、長四郎はその部屋の捜索を始めた。
その部屋は、一太郎の部屋と違い参考書が本棚にびっしりと敷き詰められ学習机には使い古されたノートが置かれていた。
「うわぁ~こりゃすげぇ~」
長四郎はノートを見ながら感心する。
そのノートにはびっしりと数式が書かれていたのだ。
「見せて」
長四郎の手からノートを取り上げて、その中身を見る。
「こんな問題に、こんなめんどくさい解法してる訳?」
燐はペン立てに入っているシャープペンを手に取ると、ノートの空きページに自分が考える解法を書いてゆく。
燐が自身の考える解法を記入している間、長四郎はベットの下を覗き込む。
「そういうのは、無しか・・・・・・・」
ベッドの下から顔を上げると、問題を解き終わった燐がノートを机に置くところであった。
「終わった?」長四郎の問いかけに「モチ」と答える燐。
「それなら、良かった」
次に手を付けたのは、クローゼットであった。
「ここに隠し物があ~る~かっ!」
クローゼットの扉を開けると、綺麗に整頓された衣類が掛かっていた。
だが、その隅に隠されるようにゴミ袋が置かれていた。中身を見ようとゴミ袋を手に取ろうとした時、「人の部屋で何をやっているんだ」と二太郎の声がした。
二人がドアの方を見ると、二太郎が長四郎と燐を睨み付けていた。
「あ、お邪魔してまぁ~す」
最初に口を開いたのは燐であった。
「お邪魔してまぁ~す。じゃないぞ。不法侵入じゃないか!」
激おこぷんぷん丸の二太郎に、苦笑いを浮かべながら長四郎が弁明し始めた。
「いやね、彼女が君があまりにも賢そうだからその秘訣を知りたいって。俺は止めたんだけどどうしても聞かなくてね・・・・・・・」
「それで、許してもらえると?」
「そうだよねぇ~ 許さないよねぇ~」
「貴方、僕のことバカにしている物言いに聞こえるんですけど」
「滅相もない。じゃ、ラモちゃん。お暇するよ」
「あ、うん」
長四郎と燐はそそくさと二太郎の部屋から出て行くのだった。
「全く。これだから底辺高校の連中は」
二太郎は、机の上に置いていたノートの位置がずれているのに気づいた。
そして、ノートに何かいたずら書きされたと思い、その中身を検める。
「何だ。この解法・・・・・・・」
燐が解いた解法を食いつくように見ていく二太郎であった。
一太郎は長四郎達を自分の部屋に通す。
「失礼しますぅ~」長四郎は某声優の真似をしながら部屋に入ると、すぐに部屋の中を観察する。
「よいしょっと!」
部屋の中を観察する長四郎と違って、燐はすぐ様一太郎が使っているベッドに腰を下ろす。
「あ、ちょっと!!」
気まずそうな顔をする一太郎。
「え、何?」
「いや、何でもないよ」と答える一太郎の顔は引きつっている。
「ラモちゃん、ちょっと」
何かを察した長四郎は、燐を連れて部屋を出て行く。
「ほっ」
二人が居なくなったのを確認して、胸を撫で下ろすのだった。
「何で、部屋を出なきゃならない訳?」説明を求める燐に「察しろ」とだけ答える長四郎は、一太郎の部屋の隣にある部屋に入る。
「勝手に入っちゃまずいんじゃないの?」
燐の忠告を無視し、長四郎はその部屋の捜索を始めた。
その部屋は、一太郎の部屋と違い参考書が本棚にびっしりと敷き詰められ学習机には使い古されたノートが置かれていた。
「うわぁ~こりゃすげぇ~」
長四郎はノートを見ながら感心する。
そのノートにはびっしりと数式が書かれていたのだ。
「見せて」
長四郎の手からノートを取り上げて、その中身を見る。
「こんな問題に、こんなめんどくさい解法してる訳?」
燐はペン立てに入っているシャープペンを手に取ると、ノートの空きページに自分が考える解法を書いてゆく。
燐が自身の考える解法を記入している間、長四郎はベットの下を覗き込む。
「そういうのは、無しか・・・・・・・」
ベッドの下から顔を上げると、問題を解き終わった燐がノートを机に置くところであった。
「終わった?」長四郎の問いかけに「モチ」と答える燐。
「それなら、良かった」
次に手を付けたのは、クローゼットであった。
「ここに隠し物があ~る~かっ!」
クローゼットの扉を開けると、綺麗に整頓された衣類が掛かっていた。
だが、その隅に隠されるようにゴミ袋が置かれていた。中身を見ようとゴミ袋を手に取ろうとした時、「人の部屋で何をやっているんだ」と二太郎の声がした。
二人がドアの方を見ると、二太郎が長四郎と燐を睨み付けていた。
「あ、お邪魔してまぁ~す」
最初に口を開いたのは燐であった。
「お邪魔してまぁ~す。じゃないぞ。不法侵入じゃないか!」
激おこぷんぷん丸の二太郎に、苦笑いを浮かべながら長四郎が弁明し始めた。
「いやね、彼女が君があまりにも賢そうだからその秘訣を知りたいって。俺は止めたんだけどどうしても聞かなくてね・・・・・・・」
「それで、許してもらえると?」
「そうだよねぇ~ 許さないよねぇ~」
「貴方、僕のことバカにしている物言いに聞こえるんですけど」
「滅相もない。じゃ、ラモちゃん。お暇するよ」
「あ、うん」
長四郎と燐はそそくさと二太郎の部屋から出て行くのだった。
「全く。これだから底辺高校の連中は」
二太郎は、机の上に置いていたノートの位置がずれているのに気づいた。
そして、ノートに何かいたずら書きされたと思い、その中身を検める。
「何だ。この解法・・・・・・・」
燐が解いた解法を食いつくように見ていく二太郎であった。
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