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第四話-9
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雫は、売人と接触していた女性・斉藤 美知恵(さいとう みちえ)を尋ねる為、彼女の住むマンションに来ていた。
美知恵の職業は、最照 ヘマ(もてる へま)として活躍する人気モデル兼女優であった。
その為、今回の薬物検査が何処からかリークされマンション前にはマスコミが張り付いていた。
「まあ、よくもぞろぞろと。」
マスコミを見て感心する雫。
マンションに入ろうとすると一人の記者が声を掛けてきた。
「雫君!」
「飯田さんじゃないですか。」
“ナレーションば~い!
いやあ、出番がどんどん減ってきている気がするけど気のせいかな~
あ、こんな事しているから出番が減るったいね。
じゃあ、この飯田さんが何者なのか。
こんひとはね、ミズタマン第一話に出てきたゲストキャラ。
職業は、フリーのジャーナリスト。
まあ、詳しい事を知りたい場合は、第一話改訂第二版を読んでくらい。
では、本編どうぞ~”
「いや、それにしても久しぶり。」
「ご無沙汰しております。」
「雫君は、どうしてここに?
もしかして、住んでいるの?」
「ちょっと知り合いを尋ねに。」
「そう。実は話があるんだけどここじゃなんだから。
時間ある?」
「大丈夫ですけど。」
雫と飯田はその足で、近くのコンビニのフードコートに来た。
「はい、これ。」
雫にコンビニブランドのコーヒーを渡す。
「あ、ありがとうございます。」
「でさ、本当は知り合いなんかいないんだろう。最照ヘマに用があってきた。」
「その通りです。」
「彼女もその・・・」
周りに人がいないか確認し雫の耳元で囁く。
「宇宙人?」
「いや、少し違います。
彼女は、れっきとした地球人ですが、その今回の件が宇宙絡みというかそんな感じです。」
「成程。だったら、マンションの中に入ってから記者に出くわさないように。
恥ずかしながら僕たちの世界にもマナー違反する奴がいてね。住民に成りすまして中で張り込んでいる奴がいるから。」
「分かりました。教えて頂きありがとうございます。」
「いや礼を言うのはこっちだよ。」
「そんな。奥さんは元気ですか。」
「ああ、元気すぎるくらい。
実はね、もうじきパパになるんだ。」
「おめでとうございます。今度、泉と一緒に出産祝い持っていきます。」
「ありがとう。」
「では、失礼します。」
「うん。」
雫はコンビニを出て再びマンションへ向かった。
マンションのエントランスに入り、美知恵の部屋番号をオートロックに打ち込み呼び出しボタンを押す。
「はい・・・・」恐る恐る応答する美知恵。
「どうも、乳母ーイートと偽った警察で~す。」
「はあ。」
マンションエントランスの自動ドアが開く。
目的の部屋の前まできたのは良かったが、角部屋から視線を感じる。
多分、飯田さんが言っていたマナー違反の記者だろう。
部屋のインターホンを鳴らすと憔悴しきった美知恵が出てきて部屋の中に通され部屋は、家宅捜索で荒らされたままでの状態になっていた。
「今、お茶を。」
「お構いなく・・・」
そう言いながら座ろうと思ったが部屋に座るべき場所が見当たらず、雫は立ったまま話を聞くことにした。
「今日は、どういったご用件で?」
キッチンでお湯を沸かしながら美知恵から話を切り出してきた。
「いえね、実は貴方が捜査されるきっかけを僕が目撃しましてね。」
「え?」視線があちらこちらと移動し動揺しているのが伺える。
「驚かせてしまって申し訳ない。
僕は先程も伝えた通り警察官なので担当部署へ報告したまでです。
因みに週刊誌は、警察の人間もしくは、警視庁記者クラブの誰かがリークしたのでしょうね。」
「・・・・」
「勘違いしないで下さい。
僕は、貴方を落としてに来たのではないので。
実はね、貴方が何処であの売人と知り合ったのか?
それと、売人から変な話を聞きませんでしたか?」
「・・・・・」
「黙秘ですか。
良いことを教えてあげましょう。
貴方が使用した薬は地球産のものではなくて地球外の薬でして。
なので、検査しても陽性反応が出ないのですよ。
お分かりですか。」
俯いたまま無言を貫く美知恵を他所に、雫は話を続ける。
「人間用には作られていない薬なので、普通の麻薬よりダメージが凄いはずです。
まあ、証拠がなければ貴方を検挙することはできないので。
僕の質問にだけ答えて頂けないですかね?」
やかんから沸騰したお湯が吹きこぼれる音だけが、部屋に響く。
「斉藤美知恵さん。」
自分の名前を呼ばれてやっと顔を上げる。
「こんなこと言うのもあれですけど、大丈夫ですか?」
「はい・・・・」涙を流しながら返事をする。
「今日は、無理そうなので出直しますね。」部屋を後にしようとする雫。
「あの。」
「はい、なんでしょう。」立ち止まって聞く。
「売人の人が言っていたんですけど・・・・
薬を持っている人が襲われているので気を付けてくれとしか。
どこで知り合ったかは勘弁して下さい。」美知恵は、頭を下げてお願いする。
「分かりました。では、失礼します。」
雫が出て行き扉を閉める音が聞こえると同時に、美知恵はその場に泣き崩れた。
そして、雫が部屋を出るのを待っていたのか。
例のマナー違反の記者が声を掛けてきた。
「あの私、週刊文夏の倉久と申します。ヘマさんとはどのような関係で?」
深くため息をつき周りに人がいないか確認し、頭突きをかまし倉久は鼻を抑えながらへたり込む。
「おい、あんた。あんま調子に乗るなよ。
被害届を出してみろよ、あんたら週刊文夏がマンションの住民を金で買収してこのマンションに潜り込んでいるのタレこむからさ。」
「ぐっ・・・・」
「じゃあ。」
そう言ってマンションを出た雫は、覆面男の捜索に戻るのであった。
美知恵の職業は、最照 ヘマ(もてる へま)として活躍する人気モデル兼女優であった。
その為、今回の薬物検査が何処からかリークされマンション前にはマスコミが張り付いていた。
「まあ、よくもぞろぞろと。」
マスコミを見て感心する雫。
マンションに入ろうとすると一人の記者が声を掛けてきた。
「雫君!」
「飯田さんじゃないですか。」
“ナレーションば~い!
いやあ、出番がどんどん減ってきている気がするけど気のせいかな~
あ、こんな事しているから出番が減るったいね。
じゃあ、この飯田さんが何者なのか。
こんひとはね、ミズタマン第一話に出てきたゲストキャラ。
職業は、フリーのジャーナリスト。
まあ、詳しい事を知りたい場合は、第一話改訂第二版を読んでくらい。
では、本編どうぞ~”
「いや、それにしても久しぶり。」
「ご無沙汰しております。」
「雫君は、どうしてここに?
もしかして、住んでいるの?」
「ちょっと知り合いを尋ねに。」
「そう。実は話があるんだけどここじゃなんだから。
時間ある?」
「大丈夫ですけど。」
雫と飯田はその足で、近くのコンビニのフードコートに来た。
「はい、これ。」
雫にコンビニブランドのコーヒーを渡す。
「あ、ありがとうございます。」
「でさ、本当は知り合いなんかいないんだろう。最照ヘマに用があってきた。」
「その通りです。」
「彼女もその・・・」
周りに人がいないか確認し雫の耳元で囁く。
「宇宙人?」
「いや、少し違います。
彼女は、れっきとした地球人ですが、その今回の件が宇宙絡みというかそんな感じです。」
「成程。だったら、マンションの中に入ってから記者に出くわさないように。
恥ずかしながら僕たちの世界にもマナー違反する奴がいてね。住民に成りすまして中で張り込んでいる奴がいるから。」
「分かりました。教えて頂きありがとうございます。」
「いや礼を言うのはこっちだよ。」
「そんな。奥さんは元気ですか。」
「ああ、元気すぎるくらい。
実はね、もうじきパパになるんだ。」
「おめでとうございます。今度、泉と一緒に出産祝い持っていきます。」
「ありがとう。」
「では、失礼します。」
「うん。」
雫はコンビニを出て再びマンションへ向かった。
マンションのエントランスに入り、美知恵の部屋番号をオートロックに打ち込み呼び出しボタンを押す。
「はい・・・・」恐る恐る応答する美知恵。
「どうも、乳母ーイートと偽った警察で~す。」
「はあ。」
マンションエントランスの自動ドアが開く。
目的の部屋の前まできたのは良かったが、角部屋から視線を感じる。
多分、飯田さんが言っていたマナー違反の記者だろう。
部屋のインターホンを鳴らすと憔悴しきった美知恵が出てきて部屋の中に通され部屋は、家宅捜索で荒らされたままでの状態になっていた。
「今、お茶を。」
「お構いなく・・・」
そう言いながら座ろうと思ったが部屋に座るべき場所が見当たらず、雫は立ったまま話を聞くことにした。
「今日は、どういったご用件で?」
キッチンでお湯を沸かしながら美知恵から話を切り出してきた。
「いえね、実は貴方が捜査されるきっかけを僕が目撃しましてね。」
「え?」視線があちらこちらと移動し動揺しているのが伺える。
「驚かせてしまって申し訳ない。
僕は先程も伝えた通り警察官なので担当部署へ報告したまでです。
因みに週刊誌は、警察の人間もしくは、警視庁記者クラブの誰かがリークしたのでしょうね。」
「・・・・」
「勘違いしないで下さい。
僕は、貴方を落としてに来たのではないので。
実はね、貴方が何処であの売人と知り合ったのか?
それと、売人から変な話を聞きませんでしたか?」
「・・・・・」
「黙秘ですか。
良いことを教えてあげましょう。
貴方が使用した薬は地球産のものではなくて地球外の薬でして。
なので、検査しても陽性反応が出ないのですよ。
お分かりですか。」
俯いたまま無言を貫く美知恵を他所に、雫は話を続ける。
「人間用には作られていない薬なので、普通の麻薬よりダメージが凄いはずです。
まあ、証拠がなければ貴方を検挙することはできないので。
僕の質問にだけ答えて頂けないですかね?」
やかんから沸騰したお湯が吹きこぼれる音だけが、部屋に響く。
「斉藤美知恵さん。」
自分の名前を呼ばれてやっと顔を上げる。
「こんなこと言うのもあれですけど、大丈夫ですか?」
「はい・・・・」涙を流しながら返事をする。
「今日は、無理そうなので出直しますね。」部屋を後にしようとする雫。
「あの。」
「はい、なんでしょう。」立ち止まって聞く。
「売人の人が言っていたんですけど・・・・
薬を持っている人が襲われているので気を付けてくれとしか。
どこで知り合ったかは勘弁して下さい。」美知恵は、頭を下げてお願いする。
「分かりました。では、失礼します。」
雫が出て行き扉を閉める音が聞こえると同時に、美知恵はその場に泣き崩れた。
そして、雫が部屋を出るのを待っていたのか。
例のマナー違反の記者が声を掛けてきた。
「あの私、週刊文夏の倉久と申します。ヘマさんとはどのような関係で?」
深くため息をつき周りに人がいないか確認し、頭突きをかまし倉久は鼻を抑えながらへたり込む。
「おい、あんた。あんま調子に乗るなよ。
被害届を出してみろよ、あんたら週刊文夏がマンションの住民を金で買収してこのマンションに潜り込んでいるのタレこむからさ。」
「ぐっ・・・・」
「じゃあ。」
そう言ってマンションを出た雫は、覆面男の捜索に戻るのであった。
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