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第二話-15

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翌日、雫はアジトにいた女性の取り調べに呼ばれていた。
女性は黙秘を貫いており、A.I.G職員も困り果てていた。
そこで長五郎の心を開いた雫に白羽の矢が立ったというわけだ。
雫が取り調べ室隣の部屋に入ると社長と月子さんがいた。
「おはようございます。」部屋に入るや否や挨拶する。
『おはよう』
二人の挨拶と共に諸々の事情を聞いた雫。
「で、俺にまた取り調べを行えと・・・」
「悪いわね。
彼女、心全く開かなくて。」頭を掻く社長。
「はあ、分かっている事はあるんですか?」
「そうね、彼女がダンチェ星人の技能実習生という事だけね。」と月子さん。
「名前は?」
「皿谷 百合愛(さらたに ゆりあ)ね。」
「それじゃあ、雫君。
取り調べ宜しく!」
雫の背中を思い切り叩く社長。
「っ!はい。行ってきます。」
雫は取調室へと移動した。
「お久しぶり、でもないか。」部屋に入ると同時に声を掛ける雫。
「・・・」無言の百合愛。
「参ったな~」
「・・・・・・・・・・」
「あっ、自己紹介まだだったね。
俺の名前は、水田雫。
そんでさ名前、皿谷さんで合ってる?」
頷く百合愛。
「えっと・・・」
何処から話をして良いものかそう考えている雫。
だが意外なことに女性から話し始めた。
「わたす、これからどうなるんでしょうか?」
「え?どうなるって・・・」
「やっぱり、星に帰らなくちゃいけないんだすか。
困ります!
家、貧乏でお父やおっ母それに弟や妹達に仕送りして少しでも家族の足しになればと・・・」
涙声で俯く百合愛。
「それは、皿谷さん次第じゃないかな。」
「わたす次第?」
「皿谷さんが協力してくれれば、事件解決への糸口が見つかるかもしれない。
そんで解決したらここの人達も悪いようにしないと思うよ。」
「本当だすか。」
「まあ。」
「貴方を信じて話します。」
それを聞いていた社長は、ガッツポーズを取る。
「一つ目の質問、君はあの屋敷で何をしていたの?」
「わたす、今の会社に入社してまだ一日しかいなくて・・・」
百合愛から理由が語られた。

入社式を終えて、仕事内容の説明を受けていた百合愛。
だが、あまりの緊張で催しトイレへと向かい研修会場へ戻る道中とある部屋から男性二人の声が聞こえてきた。
「おい、今回入ってきた新入り達は使えそうか。」
「多分。」
「あいつらまさか自分達が詐欺の実習生として来ているなんて夢にも思ってないだろうな。」
「そうですね。」
百合愛は、この会話を聞いて部屋の前で思わず立ち止まってしまう。
「所で逃げ出したダンチェ星人見つかったのか。」
「いえ、まだ。多分、何処かで野垂れ死んでいるでしょう。」
「馬鹿野郎!あいつが逃げ出してからというもの我々のテナントが尽く警察に潰されているんだぞ!」
「誠に申し訳ございません。
大至急、探させます!」
「当たり前だ。」
そして、一人の男が部屋から出てきた。
百合愛と顔が合ってしまう。
「君、今の話・・・」男が百合愛に話しかけてきた。
怖くなった百合愛は一目散に逃げ出した。
そして偶々入った部屋に、空間転送装置がある部屋で訳も分からず装置を起動させあの屋敷へと転送された。

「それであの男がすぐにでも追ってくるんじゃないかと思って、慌てて隠れたんだす。」
「それがあのお風呂場だったとね。」
「はい。隠れたものの怖くて動けなくって一晩あそこで過ごして・・
次の日の朝にA.I.Gさんが入って来て・・・」
「成程ね~」
「わたす、詐欺なんてすてません!!
信じてください!」
「あ~分かった、分かった。
ちょっと、上の人たちと話してくるから。」
そう言うと雫は取調室を出て、社長たちがいる部屋へと入った。
「雫君、お疲れ様。」
部屋に入ってきた雫にねぎらいの言葉をかける社長。
「ありがとうございます。
それで、あの皿谷さんなんですけど~」
「貴方の言いたいことは分かります。
あの皿谷百合愛を釈放して鍋山長五郎の所に連れて行こうという魂胆でしょ。」
月子さんが言う。
「はい。」
「勘違いしないで雫君。
彼は、特例で許したんです。
二度も三度も釈放していたらキリがないです。」雫に釘を刺す。
「まあまあ月子、落ち着いて。
そうね、彼女釈放しましょう。」
「ちょっと、社長。」
「ありがとうございます!」雫は、深々と頭を下げる。
「彼女も同郷の子といた方が安心するでしょ。
まあ、今回の事件が解決したら追って処分は下すわよ。
それで、良いでしょ?月子。」
「仕方ないわね。」
月子は、渋々納得する。
「じゃあ、善は急げってことで雫君。
宜しくね。」
「はい。」
雫は百合愛を連れて鍋谷老人の駄菓子屋へと足を向けた。
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