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【第一章】VRデバイスは、トレード環境がサックサク!
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ヴァーチャルリアリティ、いわゆるVRと、瞬発力が求められるデイトレーダーとの親和性は高い。メディアで「数億円稼ぐ、デイトレーダー!」が取り上げられた際、トレーディングルームに入ると、“大量のディスプレイが置かれている”のを見た方は多いだろう。
やってない人からすると、「そんなにいるかね?たくさんの防犯カメラをモニターで見張る警備員じゃあるまいし」と感じる方も多かろうと思う。ちなみに、ドラマなどで警備員が出た時、だいたいドスコイ体型で、「何を、常にモチャモチャと食っとるのかね?」とツッコむくらい、警備員が食の化け物になっているケースが多々見受けられるが、実際そんな感じだ。時間を持て余してバクバク食べるので、施設警備員はおおむね、ふとっちょカウボーイ状態になる。
デイトレードの話だった。結論から言うと、大量のディスプレイはあると便利だ。複数の画面で数種類の株式銘柄の値動きを見つつ、ビジネスニュースも視聴しつつ、SNSのリアルタイム情報も拾いつつとなるので、ディスプレイはあればあるほど良い。
そこに登場したのが、VR。ディスプレイの代わりに、仮想空間を使い、視覚全部をモニター化できるメリットがある。情報を取り損ねること、利益機会の逸失を大きく減らすことができるのだ。実際に大手証券会社などが、既に導入を始めている。
──「うちで開発しているのは、頭に被せるカタチのデバイスです。今のVRは視聴覚だけですが、それを超越し、直接脳に対して情報を伝達できるんですよ。さらに思考そのものを具現化することだってできます。たとえば翔さんが、これまでのデイトレで培ってきた“自分の勝ちパターン”に入ったら、瞬時に脳がその記憶をフラッシュバックさせます。また、自分の経験じゃない記憶、たとえば過去の株価の上がり下がりをグラフ化したチャートなども、まるで自分が経験して学んだかのように思い出させてくれるんです。いわば、脳の機能そのものがクラウドのように、無限に広がるイメージですね」
と、えびす顔の男、●●は翔に優しく説明をしていた。年の頃は、翔の二十歳ほど上だ。
翔が最初に●●に対して感じたのは「十分に稼ぎ、悠々自適に毎日遊んでいる大人」というイメージ。投資の世界に、こうしたタイプは時折いる。翔の前職は、兜町界隈の投資家たちに読まれる、専門新聞の記者だったので、数多の投資家たちに取材してきた。
その中で、人生すごろくに於いて“上がった人”という人物に、何人か会ったことがある。物事の捉え方や尋常ならざる頭のキレ、佇まいなどは富裕層独特のものがあるのだが、そこから“利益のみを追求する、貪欲なギラギラした雰囲気”が抜けている。●●は、まさにそうしたタイプだった。
「これから進めようと思っているのは、実際の投資に役立つだけではなく、トレーダーたちが楽しめる仮想空間。そこで、試しに遊んでもらえたらと。モニタリング期間なので、正直翔さんなら無料でもいいんですが、それだと気を使わせてしまうと思うので、100万円でいかがです?もちろん、そのお金は仮想空間内でゴリゴリと使っていただけますし。」
●●は、翔に優しく話しかける。
投資界隈では、割と“リアルな最新テクノロジー”に触れる機会がある。実際、翔も記者時代、10年先に一般化されるような技術やエンジニアなどに、取材で出会うことがあった。たとえば“スマホ”の概念も、流行する10年以上前から、技術として存在していたのだ。
そうした技術に対する先見の明というのは、“嗅覚”でしかない。翔はその嗅覚は図抜けていた。──この時点で参画できるというのは、人生にいくつかしか無いチャンス。BETすべきだ──と、翔は思った。
●●は信用できる。実際、●●に直接お金を支払うと同時に、開発されたVRデバイスが手渡された。それが、“驚愕”の数日前のことだった。
やってない人からすると、「そんなにいるかね?たくさんの防犯カメラをモニターで見張る警備員じゃあるまいし」と感じる方も多かろうと思う。ちなみに、ドラマなどで警備員が出た時、だいたいドスコイ体型で、「何を、常にモチャモチャと食っとるのかね?」とツッコむくらい、警備員が食の化け物になっているケースが多々見受けられるが、実際そんな感じだ。時間を持て余してバクバク食べるので、施設警備員はおおむね、ふとっちょカウボーイ状態になる。
デイトレードの話だった。結論から言うと、大量のディスプレイはあると便利だ。複数の画面で数種類の株式銘柄の値動きを見つつ、ビジネスニュースも視聴しつつ、SNSのリアルタイム情報も拾いつつとなるので、ディスプレイはあればあるほど良い。
そこに登場したのが、VR。ディスプレイの代わりに、仮想空間を使い、視覚全部をモニター化できるメリットがある。情報を取り損ねること、利益機会の逸失を大きく減らすことができるのだ。実際に大手証券会社などが、既に導入を始めている。
──「うちで開発しているのは、頭に被せるカタチのデバイスです。今のVRは視聴覚だけですが、それを超越し、直接脳に対して情報を伝達できるんですよ。さらに思考そのものを具現化することだってできます。たとえば翔さんが、これまでのデイトレで培ってきた“自分の勝ちパターン”に入ったら、瞬時に脳がその記憶をフラッシュバックさせます。また、自分の経験じゃない記憶、たとえば過去の株価の上がり下がりをグラフ化したチャートなども、まるで自分が経験して学んだかのように思い出させてくれるんです。いわば、脳の機能そのものがクラウドのように、無限に広がるイメージですね」
と、えびす顔の男、●●は翔に優しく説明をしていた。年の頃は、翔の二十歳ほど上だ。
翔が最初に●●に対して感じたのは「十分に稼ぎ、悠々自適に毎日遊んでいる大人」というイメージ。投資の世界に、こうしたタイプは時折いる。翔の前職は、兜町界隈の投資家たちに読まれる、専門新聞の記者だったので、数多の投資家たちに取材してきた。
その中で、人生すごろくに於いて“上がった人”という人物に、何人か会ったことがある。物事の捉え方や尋常ならざる頭のキレ、佇まいなどは富裕層独特のものがあるのだが、そこから“利益のみを追求する、貪欲なギラギラした雰囲気”が抜けている。●●は、まさにそうしたタイプだった。
「これから進めようと思っているのは、実際の投資に役立つだけではなく、トレーダーたちが楽しめる仮想空間。そこで、試しに遊んでもらえたらと。モニタリング期間なので、正直翔さんなら無料でもいいんですが、それだと気を使わせてしまうと思うので、100万円でいかがです?もちろん、そのお金は仮想空間内でゴリゴリと使っていただけますし。」
●●は、翔に優しく話しかける。
投資界隈では、割と“リアルな最新テクノロジー”に触れる機会がある。実際、翔も記者時代、10年先に一般化されるような技術やエンジニアなどに、取材で出会うことがあった。たとえば“スマホ”の概念も、流行する10年以上前から、技術として存在していたのだ。
そうした技術に対する先見の明というのは、“嗅覚”でしかない。翔はその嗅覚は図抜けていた。──この時点で参画できるというのは、人生にいくつかしか無いチャンス。BETすべきだ──と、翔は思った。
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