2 / 3
安い政権が崩れるのは早かったよ、の件。
しおりを挟む
前任の、独裁者・長期政権が崩れるのは早かった。全ては従わないと不利になるがための“忖度”で持ってきた政権である。そもそも、凡庸以下の知性と能力しか無い、安っぽい政権だった。それだけならまだしも、無駄に野心だけは高かった。たがために非常事態が起こり、一度、上手の手から水が漏れだすと、あとは一気にドバドバっと瓦解していく。
「マスクを全国国民に配ります」と、その安っぽい首相は言った。“いや、そこじゃないだろ!”と、国民全員がツッコんだ事柄だが、政権内には批判は無く、多額の税金を投入して、マスクが配布されることとなった。休業要請で多数の会社が疲弊し、その先の労働者──とくに非正規──の収入がなくなり、あえいでる最中にだ。しかも、そのマスクが不完全で、回収騒ぎを引き起こし、無駄な税金がジャブジャブと使われた。
その事象あたりから、これまで“忖度一色”だった雰囲気が変わり始める。一番わかりやすいのは、連立与党を組んでいた閉暗党の動きだ。それまでは完全に日和見を決め込んでいたが、旗色が変わるやいなや、官邸に乗り込み「国民のためである」という錦の御旗を掲げ、大衆迎合する案をねじ込み、自ちの保身を図った。
辞任の時も、あっけない幕切れとなった。第一次同様、“心身の不調”を言い訳にして、国会にも出てこなくなったのである。アルバイトスタッフよりもイージーに国家元首が“飛んだ”ことに、与党内も大混乱。国民は呆気にとられている間に、高部率いる派閥が一気に乗り出し、独裁政権を引き継いだのだった。
──国民に向けて高部が約束したことは一言。「全てを変える」だった。実際に、独裁を武器に矢継ぎ早に打ち出した各政策を、着実に実行へと移していったのだ。
「マスクを全国国民に配ります」と、その安っぽい首相は言った。“いや、そこじゃないだろ!”と、国民全員がツッコんだ事柄だが、政権内には批判は無く、多額の税金を投入して、マスクが配布されることとなった。休業要請で多数の会社が疲弊し、その先の労働者──とくに非正規──の収入がなくなり、あえいでる最中にだ。しかも、そのマスクが不完全で、回収騒ぎを引き起こし、無駄な税金がジャブジャブと使われた。
その事象あたりから、これまで“忖度一色”だった雰囲気が変わり始める。一番わかりやすいのは、連立与党を組んでいた閉暗党の動きだ。それまでは完全に日和見を決め込んでいたが、旗色が変わるやいなや、官邸に乗り込み「国民のためである」という錦の御旗を掲げ、大衆迎合する案をねじ込み、自ちの保身を図った。
辞任の時も、あっけない幕切れとなった。第一次同様、“心身の不調”を言い訳にして、国会にも出てこなくなったのである。アルバイトスタッフよりもイージーに国家元首が“飛んだ”ことに、与党内も大混乱。国民は呆気にとられている間に、高部率いる派閥が一気に乗り出し、独裁政権を引き継いだのだった。
──国民に向けて高部が約束したことは一言。「全てを変える」だった。実際に、独裁を武器に矢継ぎ早に打ち出した各政策を、着実に実行へと移していったのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
【架空戦記】蒲生の忠
糸冬
歴史・時代
天正十年六月二日、本能寺にて織田信長、死す――。
明智光秀は、腹心の明智秀満の進言を受けて決起当初の腹案を変更し、ごく少勢による奇襲により信長の命を狙う策を敢行する。
その結果、本能寺の信長、そして妙覚寺の織田信忠は、抵抗の暇もなく首級を挙げられる。
両名の首級を四条河原にさらした光秀は、織田政権の崩壊を満天下に明らかとし、畿内にて急速に地歩を固めていく。
一方、近江国日野の所領にいた蒲生賦秀(のちの氏郷)は、信長の悲報を知るや、亡き信長の家族を伊勢国松ヶ島城の織田信雄の元に送り届けるべく安土城に迎えに走る。
だが、瀬田の唐橋を無傷で確保した明智秀満の軍勢が安土城に急速に迫ったため、女子供を連れての逃避行は不可能となる。
かくなる上は、戦うより他に道はなし。
信長の遺した安土城を舞台に、若き闘将・蒲生賦秀の活躍が始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
戦国時代【神に選ばれた人間/能力者】達が存在し、その者達は【神に授かった業/能力】を使えた。
最上川太郎
歴史・時代
戦国時代【神に選ばれた人間/能力者】達が存在し、その者達は【神に授かった業/能力】を使えた。
その【業】はいつしか【神業】と呼ばれるようになった。
織田信長が今川義元を討った桶狭間の戦い。
織田軍三千に対し、今川軍二万五千。
約十倍近い敵に織田信長は勝利した。なぜ勝利することができたのか。
織田信長が勝利を掴めた理由はいくつかあるが、それらには素朴な疑問が生じる。
なぜ天候を味方につけることができたのか。
なぜ今川軍の動きを読むことができたのか。
なぜ今川義元本陣まで突破することができたのか。
それらの理由には全て【神業】が関与していた。
織田信長の元には【神業】を使える【神に選ばれた人間】が四人いた。
夕映え~武田勝頼の妻~
橘 ゆず
歴史・時代
天正十年(1582年)。
甲斐の国、天目山。
織田・徳川連合軍による甲州征伐によって新府を追われた武田勝頼は、起死回生をはかってわずかな家臣とともに岩殿城を目指していた。
そのかたわらには、五年前に相模の北条家から嫁いできた継室、十九歳の佐奈姫の姿があった。
武田勝頼公と、18歳年下の正室、北条夫人の最期の数日を描いたお話です。
コバルトの短編小説大賞「もう一歩」の作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
綾衣
如月
歴史・時代
舞台は文政期の江戸。柏屋の若旦那の兵次郎は、退屈しのぎに太鼓持ちの助八を使って、江戸城に男根の絵を描くという、取り返しのつかない悪戯を行った。さらには退屈しのぎに手を出した、名代の綾衣という新造は、どうやらこの世のものではないようだ。やがて悪戯が露見しそうになって、戦々恐々とした日々を送る中、兵次郎は綾衣の幻想に悩まされることになる。岡本綺堂の「川越次郎兵衛」を題材にした作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
本能のままに
揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった
もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください!
※更新は不定期になると思います。
陣代『諏訪勝頼』――御旗盾無、御照覧あれ!――
黒鯛の刺身♪
歴史・時代
戦国の巨獣と恐れられた『武田信玄』の実質的後継者である『諏訪勝頼』。
一般には武田勝頼と記されることが多い。
……が、しかし、彼は正統な後継者ではなかった。
信玄の遺言に寄れば、正式な後継者は信玄の孫とあった。
つまり勝頼の子である信勝が後継者であり、勝頼は陣代。
一介の後見人の立場でしかない。
織田信長や徳川家康ら稀代の英雄たちと戦うのに、正式な当主と成れず、一介の後見人として戦わねばならなかった諏訪勝頼。
……これは、そんな悲運の名将のお話である。
【画像引用】……諏訪勝頼・高野山持明院蔵
【注意】……武田贔屓のお話です。
所説あります。
あくまでも一つのお話としてお楽しみください。
獅子の末裔
卯花月影
歴史・時代
未だ戦乱続く近江の国に生まれた蒲生氏郷。主家・六角氏を揺るがした六角家騒動がようやく落ち着いてきたころ、目の前に現れたのは天下を狙う織田信長だった。
和歌をこよなく愛する温厚で無力な少年は、信長にその非凡な才を見いだされ、戦国武将として成長し、開花していく。
前作「滝川家の人びと」の続編です。途中、エピソードの被りがありますが、蒲生氏郷視点で描かれます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる