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明日を望む場所
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翌日、八雲さんのおやつを待ちながらバイト探し。あいまに話し相手をしてくれる朔くんは、難色をしめしてばかりだ。
「年明けてからにすればいいのに」
「そのつもりだから今のうちに決めとかないと。これにしようかな。バレンタインとホワイトデーの販売。お正月関連のはもう募集ないよね、さすがに」
「年末年始はゆっくりしろよ」
「でも、これまでゆっくりしすぎたからねぇ」
いよいよ本気をださないと、と一心発起していたところにドアベルが鳴る。
「あら、お邪魔だったかしら」
乾いた冷気と一緒にはいってきたのは蓮花さん。たまにこうして事前連絡なくいらっしゃる。
「なんか飲むだろ」と朔くんが逃げるようにキッチンへ消える。蓮花さんは「とって食いやしないわよ」と笑う。入れ違い、八雲さんがカウンター奥のビーズのれんから顔をだした。
「連絡してくれればよかったのに。蓮花さんのおやつ作ってないですよ」
「持ってきたから大丈夫。茶葉も」
「ありがとうございます。あ、和颯さんでしたら留守ですよ。今日は港北方面です」
「いいの、日和ちゃんに用事があったから」
と、こちらをふり返る。
「こないだ話してた刺し子、見せてもらおうと思って。いいでしょう?」
「はい。それは全然」
裁縫箱をひらく。練習用に作っていたふきんを何枚かとりだして渡すと、蓮花さんは「素敵ね」と褒めてくれた。
「ありがとうございます。けど、時雨さんのと比べると、どうしても見劣りして」
「年季が違うんだもの、しかたないわよ」
ひとつずつ丁寧に見られると値踏みでもされている気がして緊張。それにしても、どういう風の吹きまわしだろう。
「うん、いいわね。商品にできるくらいになったら売ってみる? うちは開運グッズがメインだから縁起物の柄とかで」
「へ……?」
「オンライン販売のノウハウも教えるわよ。たまに店を手伝ってくれるなら。大繁盛してるんじゃないから、お給料そんなに弾めないけど」
徐々に頭の中が整理され、ぶわっと変な汗がでた。
「わ、私のなんて趣味未満のものですよ!」
「そのわりには、いい出来よ。ま、嫌なら無理にとは言わないけど。考えておいて」
朔くんがお茶をいれて戻ったのを機に、蓮花さんは持参した鈴カステラ(辰之介さんからのいただきもの)をぽんぽん口に放りこむ。
「日和ちゃんもどう? 美味しいわよ、これ」
まん丸を一粒、ぎゅっと噛みしめる。胸の高鳴りは、どうしたってとまらない。
その夜、麻衣ちゃんから電話がきた。数日後にせまった初詣の予定決めと、アプリ企画の結果について。残念ながら不採用にはなってしまったが、社長には好評だったそうだ。本人も「次に繋げられればいい」と前向き。さすが。
「それでね、社長に話したんだ、日和のこと。今回の企画の相談にのってもらったのと求職中っての。そしたら、日和がその気なら面接してもいいって。チャンスだよ、上手くいけば採用になるかも」
嘘みたいな急展開に絶句。途端、麻衣ちゃんの声もしずむ。
「もしかして就職先もう決まった?」
「じゃないけど……」
昼間の蓮花さんの話をする。麻衣ちゃんは驚きつつも、
「そんな特技があったんだ。知らなかったよ」
「始めたばかりで、まだ商品と呼べないものだけどね」
「なおさらすごいじゃん! 蓮花さんって人も、見こみあるから声かけたんだろうし。私は日和と一緒に働ければ嬉しいけど、将来に関わることだからね、自分が納得できるほう選ぶのが一番だよ」
とはいえ早めに社長に返事しないといけなくて、明日中には答えをだすと約束し、電話をきる。
蓮花さんと麻衣ちゃん、二人の話がひっきりなし頭に去来する。それは深夜をまわってもやむことがなく、久しぶりに寝つけない夜をすごしてしまった。
「悩みごとか?」と朔くんにきかれたのは、あくる日の午後だった。
無意識にひょっとこになっていたのかと口を押え適当にごまかそうとしたけど、真剣に心配してくれているが見てとれて、スノードームをもらったときに言われたことを思いだし、考えをあらためる。
「まあ、そんなとこ」
「昨日の蓮花の話、迷ってんのか?」
「それもあるけど……」
刺し子とアプリ、どっちをとるか迷っているのを相談する。朔くんは「どっちも選べばいいじゃん」と、あっさり。
「私も一瞬それ思ったんだよね。麻衣ちゃんのところで働きながら休日に蓮花さんのお店を手伝って、あいまに刺し子グッズ作ったりして」
理想の生活。だがしかし、
「私、器用なほうじゃないから、どっちも中途半端になりそうで」
そうなれば蓮花さんや麻衣ちゃん、麻衣ちゃんの会社の人たちにも迷惑をかけるし、私自身もくたくたに潰れてしまう。
「日和はどっちに興味があんの?」
「そうだなぁ……」
刺し子をするのは嫌いじゃないし、自分が作ったものを褒められるのは嬉しい。が、収入面は心もとない。居候生活続行で、まわりに負担をかけてしまう。
その点、アプリの会社は安定収入。ただし、紹介してくれた麻衣ちゃんの顔に泥をぬらないようにしないといえない。多大なプレッシャーだ。
「どっちにしろ怖いんだよね、失敗するのが。臆病者なんだよ」
実力がともなわなければ無駄骨。すべて水の泡。そう考えると、新しい世界に踏みだす勇気がでない。私は弱い。七転び八起きだなんて思えない。一転びで撃沈する軟弱人間だ。
「それなら俺も臆病者だ。だから学校にも行けなくなった。でも、みんなのお陰でまた頑張れてる」
朔くんが目線をあわせてくる。とても、まっすぐに。
「日和にも、和颯や八雲がいる。蓮花や辰爺や友達の人だって。俺にはまだ引っぱりあげるだけのちからはないけど、そのぶん日和の気持ちのそばにいることはできるから」
真心で紡がれた言葉に、目頭が熱くなる。
「ありがとね。私、年上のくせに情けなくて、ほんと申し訳ないよ。励まさなきゃいけないほうなのに」
「そんなの、歳とか関係ないだろ」
「年長者は頼りがいあるほうがいいでしょ」
ふぅん、と相槌。ご不満そうに頬杖。それからなぜか、
「子ども扱いしてられるの、今のうちだからな」
不敵な笑みに反射的、息がとまる。なんていうか妙に大人びていて、なんか度肝ぬかれて涙ひっこんじゃったわ。
「年明けてからにすればいいのに」
「そのつもりだから今のうちに決めとかないと。これにしようかな。バレンタインとホワイトデーの販売。お正月関連のはもう募集ないよね、さすがに」
「年末年始はゆっくりしろよ」
「でも、これまでゆっくりしすぎたからねぇ」
いよいよ本気をださないと、と一心発起していたところにドアベルが鳴る。
「あら、お邪魔だったかしら」
乾いた冷気と一緒にはいってきたのは蓮花さん。たまにこうして事前連絡なくいらっしゃる。
「なんか飲むだろ」と朔くんが逃げるようにキッチンへ消える。蓮花さんは「とって食いやしないわよ」と笑う。入れ違い、八雲さんがカウンター奥のビーズのれんから顔をだした。
「連絡してくれればよかったのに。蓮花さんのおやつ作ってないですよ」
「持ってきたから大丈夫。茶葉も」
「ありがとうございます。あ、和颯さんでしたら留守ですよ。今日は港北方面です」
「いいの、日和ちゃんに用事があったから」
と、こちらをふり返る。
「こないだ話してた刺し子、見せてもらおうと思って。いいでしょう?」
「はい。それは全然」
裁縫箱をひらく。練習用に作っていたふきんを何枚かとりだして渡すと、蓮花さんは「素敵ね」と褒めてくれた。
「ありがとうございます。けど、時雨さんのと比べると、どうしても見劣りして」
「年季が違うんだもの、しかたないわよ」
ひとつずつ丁寧に見られると値踏みでもされている気がして緊張。それにしても、どういう風の吹きまわしだろう。
「うん、いいわね。商品にできるくらいになったら売ってみる? うちは開運グッズがメインだから縁起物の柄とかで」
「へ……?」
「オンライン販売のノウハウも教えるわよ。たまに店を手伝ってくれるなら。大繁盛してるんじゃないから、お給料そんなに弾めないけど」
徐々に頭の中が整理され、ぶわっと変な汗がでた。
「わ、私のなんて趣味未満のものですよ!」
「そのわりには、いい出来よ。ま、嫌なら無理にとは言わないけど。考えておいて」
朔くんがお茶をいれて戻ったのを機に、蓮花さんは持参した鈴カステラ(辰之介さんからのいただきもの)をぽんぽん口に放りこむ。
「日和ちゃんもどう? 美味しいわよ、これ」
まん丸を一粒、ぎゅっと噛みしめる。胸の高鳴りは、どうしたってとまらない。
その夜、麻衣ちゃんから電話がきた。数日後にせまった初詣の予定決めと、アプリ企画の結果について。残念ながら不採用にはなってしまったが、社長には好評だったそうだ。本人も「次に繋げられればいい」と前向き。さすが。
「それでね、社長に話したんだ、日和のこと。今回の企画の相談にのってもらったのと求職中っての。そしたら、日和がその気なら面接してもいいって。チャンスだよ、上手くいけば採用になるかも」
嘘みたいな急展開に絶句。途端、麻衣ちゃんの声もしずむ。
「もしかして就職先もう決まった?」
「じゃないけど……」
昼間の蓮花さんの話をする。麻衣ちゃんは驚きつつも、
「そんな特技があったんだ。知らなかったよ」
「始めたばかりで、まだ商品と呼べないものだけどね」
「なおさらすごいじゃん! 蓮花さんって人も、見こみあるから声かけたんだろうし。私は日和と一緒に働ければ嬉しいけど、将来に関わることだからね、自分が納得できるほう選ぶのが一番だよ」
とはいえ早めに社長に返事しないといけなくて、明日中には答えをだすと約束し、電話をきる。
蓮花さんと麻衣ちゃん、二人の話がひっきりなし頭に去来する。それは深夜をまわってもやむことがなく、久しぶりに寝つけない夜をすごしてしまった。
「悩みごとか?」と朔くんにきかれたのは、あくる日の午後だった。
無意識にひょっとこになっていたのかと口を押え適当にごまかそうとしたけど、真剣に心配してくれているが見てとれて、スノードームをもらったときに言われたことを思いだし、考えをあらためる。
「まあ、そんなとこ」
「昨日の蓮花の話、迷ってんのか?」
「それもあるけど……」
刺し子とアプリ、どっちをとるか迷っているのを相談する。朔くんは「どっちも選べばいいじゃん」と、あっさり。
「私も一瞬それ思ったんだよね。麻衣ちゃんのところで働きながら休日に蓮花さんのお店を手伝って、あいまに刺し子グッズ作ったりして」
理想の生活。だがしかし、
「私、器用なほうじゃないから、どっちも中途半端になりそうで」
そうなれば蓮花さんや麻衣ちゃん、麻衣ちゃんの会社の人たちにも迷惑をかけるし、私自身もくたくたに潰れてしまう。
「日和はどっちに興味があんの?」
「そうだなぁ……」
刺し子をするのは嫌いじゃないし、自分が作ったものを褒められるのは嬉しい。が、収入面は心もとない。居候生活続行で、まわりに負担をかけてしまう。
その点、アプリの会社は安定収入。ただし、紹介してくれた麻衣ちゃんの顔に泥をぬらないようにしないといえない。多大なプレッシャーだ。
「どっちにしろ怖いんだよね、失敗するのが。臆病者なんだよ」
実力がともなわなければ無駄骨。すべて水の泡。そう考えると、新しい世界に踏みだす勇気がでない。私は弱い。七転び八起きだなんて思えない。一転びで撃沈する軟弱人間だ。
「それなら俺も臆病者だ。だから学校にも行けなくなった。でも、みんなのお陰でまた頑張れてる」
朔くんが目線をあわせてくる。とても、まっすぐに。
「日和にも、和颯や八雲がいる。蓮花や辰爺や友達の人だって。俺にはまだ引っぱりあげるだけのちからはないけど、そのぶん日和の気持ちのそばにいることはできるから」
真心で紡がれた言葉に、目頭が熱くなる。
「ありがとね。私、年上のくせに情けなくて、ほんと申し訳ないよ。励まさなきゃいけないほうなのに」
「そんなの、歳とか関係ないだろ」
「年長者は頼りがいあるほうがいいでしょ」
ふぅん、と相槌。ご不満そうに頬杖。それからなぜか、
「子ども扱いしてられるの、今のうちだからな」
不敵な笑みに反射的、息がとまる。なんていうか妙に大人びていて、なんか度肝ぬかれて涙ひっこんじゃったわ。
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この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
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