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17 4年前①
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「で、何か用があって来たんでしょ」
ドアに鍵をかけるとアリアが向き直った。
「そうだけど…まず俺に言うことない?」
「何よ、はっきり言いなさい」
「好きな人がレオンって話、嘘だろ」
「そんなこと?」
アリアは少々あっけにとられたようだ。
「もっと酷いこともしたし、他にも嘘ついてるけど」
「聞きたくなっかたわ…」
他の嘘は俺にも心あたりがある。それはアリアが「華の君と」を最後までプレイしていないと言っていたことだ。そうでなければアリアの行動には説明がつかない。
「他についていた嘘ってゲームを最後までプレイしなかったって話?」
「それは本当」
「じゃあ、どうしてレオンがラスボスだって知ってたんだ?」
「このゲームを創ったのは私だから」
俺は絶句した。相当なあほ面をしていたことだろう。
「…っ、どうして今まで黙ってたんだ!?」
「シナリオを書いたのは私じゃないから本当に詳しくストーリーを知らないの!!背景の作画を担当してただけ!」
俺は自分自身を落ち着かせようと深呼吸をした。
「シナリオライターとは知り合いだったんだけど…一度書いたシナリオが没になったみたい。没になったシナリオはキャラクターの裏事情とかも詳しく描写したみたいだけど、企画の人から恋愛描写を増やして他は削るように言われたらしいわ」
「じゃあ、今の世界は没になったシナリオも反映されてるってことか…」
「たぶん没になったシナリオもって言うより没になったシナリオがこの世界なのよ」
じゃあ、最初から物語はゲーム通りに進まないと決まってた訳か…。なんだか全身の力が抜けるような真実だ。
「こんな話をしに来たの?」
「違うんだ。アリアの再生魔法を俺にかけてほしくて」
「別にいいけど、リュカのために力を使うのは最初で最後よ」
「うん、ありがとう」
俺はゆっくりと瞼を閉じた。
ー4年前
「坊ちゃん、今日はご主人様がお戻りになられる日ですよ」
マリニー家が爵位を得るよりも前から長年仕えている執事、クリフの声に憂鬱になる。「お父様が帰ってくる日」小声で呟き繰り返す。
僕が生まれるよりも前、僕の祖父が当主だった時にマリニー家は男爵位を国王より下賜された。銀行家の家庭で今は貿易にも手をだしている。金で爵位を買っただなんて嘲笑は真実よりも幾分かマイルドな表現だ。
馬車の車輪が回る音が聞こえると皆外にでて、当主の帰りを迎えいれる準備をはじめたので、僕仕方なく外に出た。
「「お帰りなさいませご主人様」」
馬車から降りたお父様は僕に一瞥もくれることはなかった。珍しいことではなく、もはや恒例行事だった。嫌なのはこれからで家庭教師に学習の進み具合や生活態度の報告を受けて、癇に障ることがあると呼び出され殴られる。数か月に一度帰ってきてはこの繰り返しで、僕にとって唯一の親子の時間とは殴られている時間のことだ。しかし、夜を迎えてもお父様に呼び出されることはなく、気になって書斎の前まで行ってみるとなにやら話声が聞こえた。
「坊ちゃんの魔核を王子に譲るって…本気ですか」
どうやら話相手はクリフのようだ。
「冗談なはずないだろう。あいつを差し出せば王室の弱味を握り、コネだってつくれる」
「しかし…魔核がなくなれば死んでしまいます」
「なにもすぐに死ぬ訳じゃない。早めに結婚させて子どもができればあの無能を後継者にしなくてすむ。いいことづくめじゃないか」
お父様の笑い声は廊下まで響いている。
あぁ、僕は本当に不必要なんだな。絶望が限界に達すると涙すらも出ず、妙な納得感が生まれた。
ドアに鍵をかけるとアリアが向き直った。
「そうだけど…まず俺に言うことない?」
「何よ、はっきり言いなさい」
「好きな人がレオンって話、嘘だろ」
「そんなこと?」
アリアは少々あっけにとられたようだ。
「もっと酷いこともしたし、他にも嘘ついてるけど」
「聞きたくなっかたわ…」
他の嘘は俺にも心あたりがある。それはアリアが「華の君と」を最後までプレイしていないと言っていたことだ。そうでなければアリアの行動には説明がつかない。
「他についていた嘘ってゲームを最後までプレイしなかったって話?」
「それは本当」
「じゃあ、どうしてレオンがラスボスだって知ってたんだ?」
「このゲームを創ったのは私だから」
俺は絶句した。相当なあほ面をしていたことだろう。
「…っ、どうして今まで黙ってたんだ!?」
「シナリオを書いたのは私じゃないから本当に詳しくストーリーを知らないの!!背景の作画を担当してただけ!」
俺は自分自身を落ち着かせようと深呼吸をした。
「シナリオライターとは知り合いだったんだけど…一度書いたシナリオが没になったみたい。没になったシナリオはキャラクターの裏事情とかも詳しく描写したみたいだけど、企画の人から恋愛描写を増やして他は削るように言われたらしいわ」
「じゃあ、今の世界は没になったシナリオも反映されてるってことか…」
「たぶん没になったシナリオもって言うより没になったシナリオがこの世界なのよ」
じゃあ、最初から物語はゲーム通りに進まないと決まってた訳か…。なんだか全身の力が抜けるような真実だ。
「こんな話をしに来たの?」
「違うんだ。アリアの再生魔法を俺にかけてほしくて」
「別にいいけど、リュカのために力を使うのは最初で最後よ」
「うん、ありがとう」
俺はゆっくりと瞼を閉じた。
ー4年前
「坊ちゃん、今日はご主人様がお戻りになられる日ですよ」
マリニー家が爵位を得るよりも前から長年仕えている執事、クリフの声に憂鬱になる。「お父様が帰ってくる日」小声で呟き繰り返す。
僕が生まれるよりも前、僕の祖父が当主だった時にマリニー家は男爵位を国王より下賜された。銀行家の家庭で今は貿易にも手をだしている。金で爵位を買っただなんて嘲笑は真実よりも幾分かマイルドな表現だ。
馬車の車輪が回る音が聞こえると皆外にでて、当主の帰りを迎えいれる準備をはじめたので、僕仕方なく外に出た。
「「お帰りなさいませご主人様」」
馬車から降りたお父様は僕に一瞥もくれることはなかった。珍しいことではなく、もはや恒例行事だった。嫌なのはこれからで家庭教師に学習の進み具合や生活態度の報告を受けて、癇に障ることがあると呼び出され殴られる。数か月に一度帰ってきてはこの繰り返しで、僕にとって唯一の親子の時間とは殴られている時間のことだ。しかし、夜を迎えてもお父様に呼び出されることはなく、気になって書斎の前まで行ってみるとなにやら話声が聞こえた。
「坊ちゃんの魔核を王子に譲るって…本気ですか」
どうやら話相手はクリフのようだ。
「冗談なはずないだろう。あいつを差し出せば王室の弱味を握り、コネだってつくれる」
「しかし…魔核がなくなれば死んでしまいます」
「なにもすぐに死ぬ訳じゃない。早めに結婚させて子どもができればあの無能を後継者にしなくてすむ。いいことづくめじゃないか」
お父様の笑い声は廊下まで響いている。
あぁ、僕は本当に不必要なんだな。絶望が限界に達すると涙すらも出ず、妙な納得感が生まれた。
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