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11 闇オークション②
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左右にわかれた通路に出た所でエリアスに赤い石のペンダントを渡された。
「何かあったらこれを強く握って」
俺が首にかけたのを確認すると、気をつけろと念押ししてわかれた。
通路はそれなりの広さがあるが、灯りがついていないので壁をつたいながら前に進んでいく。
既にゲームでの流れはぶち壊されている。レオンの初登場はヒロインが攫われるエピソードの黒幕がレオンという展開だった。いや、ヒロインは最初から攫われている状態だからもう原作のストーリーとは全くの別物だ。
ゲーム内でのレオンの目的は「世界を掌握する」というなんとも漠然としたものでゲームのストーリーに対する批判がネット上でよく見られた。伏線もあったが、回収されないまま終わりをむかえる。俺は乙女ゲームはストーリーよりもキャラクターの魅力を楽しみたい派だから大して気にしなかったが。
魔法で空間を拡張しているのか廊下はどこまでも続くのかと錯覚するほど長かった。長い廊下が一部分から光が漏れ出している。部屋の扉が少し開いているのだ。息を殺して聞き耳を立てると存外、大きな声で男2人が会話していた。
「レオン様!オークション会場にリーニュ家の警察部隊が乗り込んできて会場にいる者が捕らえられています!」
「出品していた人間に爆破装置付きの首輪をつけてある。上の部屋にボタンがあるから押してこい」
慌てている男に比べてレオン様と呼ばれた人物は落ち着いた声色だ。俺は聞き覚えのある声にぞっとした。急いでペンダントを胸元から取り出す。
「しかし、それでは会場にいる人が全員死んでしまいますよ!」
「だからなんだ?早くいけ」
「…かしこまりました」
男は納得した様子はないが、相手を恐れているのが会話からも伝わってきた。
男がバタバタと音を立てて部屋から出てくる。バレるかと思ったが、男は余程慌てていたのか気づかずに出て行った。男を追いかけようとしたところで体が動かなくる。冷や汗が止まらず眩暈で倒れそうだ。
「そんなところで盗み聞きしていないで入ってきたらどうだ」
部屋に残された人物は明らかに俺に向かって語り掛けてくる。出ていきたくない。でも逃げたところで無駄だということは理解できる。俺は深く息を吐いて中に足を踏み入れた。
「さっきの話、止めさせてください。オリヴィエ先輩」
「手遅れだ。話はそれだけか?」
言いたいことがありすぎて言葉に詰まる。俺とは対照的にオリヴィエはいつも通りだどころか普段より幾分か声のトーンが低く、普段より更に落ち着いているようだ。
「今すぐに止めろ!」
「もう遅い」
オリヴィエが言い終えるのと同時に大きな爆発音が下から聞こえてきた。建物全体が大きく揺れ、その場に倒れこんだ。
「聞きたいことがあるんだろ?」
無表情で俺を見下ろすオリヴィエの瞳が一瞬、紫から赤に変わった。恐怖が怒りに変わっていく。
「…どうしてこんなことするんだ?アリアは無事か?何もしてないよな!?」
今度は怒りが焦りに変わり、数秒で不安が押し寄せてオリヴィエの返答を待つことができなかった。
「アリアに会いたいか?」
俺は黙って頷く。それを見たオリヴィエは鼻で笑った。
「本当に愚鈍だな。まぁ、アリアにはいずれ会えるだろ」
気が付くと部屋に煙が充満している。しまったと口元を抑えた時にはもう煙を吸い込んでしまった。眩暈がひどくなり、意識が遠のいていく。
「何かあったらこれを強く握って」
俺が首にかけたのを確認すると、気をつけろと念押ししてわかれた。
通路はそれなりの広さがあるが、灯りがついていないので壁をつたいながら前に進んでいく。
既にゲームでの流れはぶち壊されている。レオンの初登場はヒロインが攫われるエピソードの黒幕がレオンという展開だった。いや、ヒロインは最初から攫われている状態だからもう原作のストーリーとは全くの別物だ。
ゲーム内でのレオンの目的は「世界を掌握する」というなんとも漠然としたものでゲームのストーリーに対する批判がネット上でよく見られた。伏線もあったが、回収されないまま終わりをむかえる。俺は乙女ゲームはストーリーよりもキャラクターの魅力を楽しみたい派だから大して気にしなかったが。
魔法で空間を拡張しているのか廊下はどこまでも続くのかと錯覚するほど長かった。長い廊下が一部分から光が漏れ出している。部屋の扉が少し開いているのだ。息を殺して聞き耳を立てると存外、大きな声で男2人が会話していた。
「レオン様!オークション会場にリーニュ家の警察部隊が乗り込んできて会場にいる者が捕らえられています!」
「出品していた人間に爆破装置付きの首輪をつけてある。上の部屋にボタンがあるから押してこい」
慌てている男に比べてレオン様と呼ばれた人物は落ち着いた声色だ。俺は聞き覚えのある声にぞっとした。急いでペンダントを胸元から取り出す。
「しかし、それでは会場にいる人が全員死んでしまいますよ!」
「だからなんだ?早くいけ」
「…かしこまりました」
男は納得した様子はないが、相手を恐れているのが会話からも伝わってきた。
男がバタバタと音を立てて部屋から出てくる。バレるかと思ったが、男は余程慌てていたのか気づかずに出て行った。男を追いかけようとしたところで体が動かなくる。冷や汗が止まらず眩暈で倒れそうだ。
「そんなところで盗み聞きしていないで入ってきたらどうだ」
部屋に残された人物は明らかに俺に向かって語り掛けてくる。出ていきたくない。でも逃げたところで無駄だということは理解できる。俺は深く息を吐いて中に足を踏み入れた。
「さっきの話、止めさせてください。オリヴィエ先輩」
「手遅れだ。話はそれだけか?」
言いたいことがありすぎて言葉に詰まる。俺とは対照的にオリヴィエはいつも通りだどころか普段より幾分か声のトーンが低く、普段より更に落ち着いているようだ。
「今すぐに止めろ!」
「もう遅い」
オリヴィエが言い終えるのと同時に大きな爆発音が下から聞こえてきた。建物全体が大きく揺れ、その場に倒れこんだ。
「聞きたいことがあるんだろ?」
無表情で俺を見下ろすオリヴィエの瞳が一瞬、紫から赤に変わった。恐怖が怒りに変わっていく。
「…どうしてこんなことするんだ?アリアは無事か?何もしてないよな!?」
今度は怒りが焦りに変わり、数秒で不安が押し寄せてオリヴィエの返答を待つことができなかった。
「アリアに会いたいか?」
俺は黙って頷く。それを見たオリヴィエは鼻で笑った。
「本当に愚鈍だな。まぁ、アリアにはいずれ会えるだろ」
気が付くと部屋に煙が充満している。しまったと口元を抑えた時にはもう煙を吸い込んでしまった。眩暈がひどくなり、意識が遠のいていく。
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