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「エリアスさんを攻撃したっていう人が誰か突き止めてもらいたいんです」
「別にいいよ」
エリアスの返事はあっけらかんとしたものだった。
「本当ですか!?」
「うん。俺も気になってたし。でもどうしてそんなこと知りたいの?」
俺は首を捻った。正直にその人が数年前、突如魔術界に現れて名をあげた黒魔術師のレオンと関係がある人物かもしれないからと説明するか?そんなことを知っている方がもっと不自然になってしまう。
「ただ…純粋に気になって」
「ふーん。それでなんで急に俺に頼もうと思ったん?」
ずいぶん質問攻めしてくるが、確かに真っ当な疑問だろう。エリアスの生家であるリーニュ家は日本でいう公安のような部隊を管理していて、国内屈指の情報通だし調査も得意としている。人探しもお手の物だろう。しかし、それが多くの人に知られては意味がないので周知されていない。どう言い訳したものか…。
「取り敢えず引き受けた!これから楽しくなりそうだな~。」
俺が黙っているとエリアスは大して気にしていないような素振りを見せる。
自力ではレオンを探せそうもないから勢いでエリアスを巻き込んだが、心配になってきた。レオンがエリアスにまた危害をくわえる可能性もあるし。俺は少しはレオンの手の内を理解しているし、一緒に行動した方がいいかもしれない。
「エリアスさん、その人を探す時はできるだけ同行させてもらえませんか?」
「ん~、最初っからそのそもり」
邪魔になるからと拒否されなくてほっとした。
「俺のことを攻撃してくるような奴なのよ?リュカちゃんは俺1人で行かせるつもりだったの?俺、怖いよ~」
エリアスは少しも本心から怖がっている様子なく軽口を叩く。本当は潜入調査とか慣れっこでしょとツッコミを待っているのか?
「いえ、邪魔になるかとおもって。何かあったら俺のことは見捨てて逃げてください」
「えぇ~そんなことしないけど。あとさ、敬語やめろよ。同い年じゃん」
「うん、分かった」
そっちもリュカちゃん呼びやめてほしいんだが。口を開きかけたところでエリアスはいきなり立ち上がった。
「先生に呼ばれてるからもう行くわ。またな~」
言い終わる頃には背中を向けて走り出した後だ。俺はため息をついた。俺とエリアスでは根本的に性格が違いすぎるのだ。
「リュカ・マリニー」
教室に戻るまでの廊下で地政学担当の教師に声をかけられた。
「はい、なんですか?」
「今日、ライオネルが来てなかっただろ。このプリントをライオネルに届けてくれ」
「分かりました」
「頼んだぞ」
受け取ったのは厚いプリントの束だ。普段は頼まれごとは面倒なだけなのだが、ライオネルの体調も心配だったので今回ばかりは丁度いい。
授業を終えて真っ直ぐにライオネルの家に向かった。学園からもほど近く、侯爵位をもつ貴族の邸宅という感じのない一軒家だ。貴族は領地に家があるので、ここは別宅の1つだろう。
簡素な門を明けて呼び鈴を振ると勢いよく扉が開いた。使用人でもなく、ライオネル本人がいきなり出てきたので驚いて一瞬心臓が止まった気がする。
「別にいいよ」
エリアスの返事はあっけらかんとしたものだった。
「本当ですか!?」
「うん。俺も気になってたし。でもどうしてそんなこと知りたいの?」
俺は首を捻った。正直にその人が数年前、突如魔術界に現れて名をあげた黒魔術師のレオンと関係がある人物かもしれないからと説明するか?そんなことを知っている方がもっと不自然になってしまう。
「ただ…純粋に気になって」
「ふーん。それでなんで急に俺に頼もうと思ったん?」
ずいぶん質問攻めしてくるが、確かに真っ当な疑問だろう。エリアスの生家であるリーニュ家は日本でいう公安のような部隊を管理していて、国内屈指の情報通だし調査も得意としている。人探しもお手の物だろう。しかし、それが多くの人に知られては意味がないので周知されていない。どう言い訳したものか…。
「取り敢えず引き受けた!これから楽しくなりそうだな~。」
俺が黙っているとエリアスは大して気にしていないような素振りを見せる。
自力ではレオンを探せそうもないから勢いでエリアスを巻き込んだが、心配になってきた。レオンがエリアスにまた危害をくわえる可能性もあるし。俺は少しはレオンの手の内を理解しているし、一緒に行動した方がいいかもしれない。
「エリアスさん、その人を探す時はできるだけ同行させてもらえませんか?」
「ん~、最初っからそのそもり」
邪魔になるからと拒否されなくてほっとした。
「俺のことを攻撃してくるような奴なのよ?リュカちゃんは俺1人で行かせるつもりだったの?俺、怖いよ~」
エリアスは少しも本心から怖がっている様子なく軽口を叩く。本当は潜入調査とか慣れっこでしょとツッコミを待っているのか?
「いえ、邪魔になるかとおもって。何かあったら俺のことは見捨てて逃げてください」
「えぇ~そんなことしないけど。あとさ、敬語やめろよ。同い年じゃん」
「うん、分かった」
そっちもリュカちゃん呼びやめてほしいんだが。口を開きかけたところでエリアスはいきなり立ち上がった。
「先生に呼ばれてるからもう行くわ。またな~」
言い終わる頃には背中を向けて走り出した後だ。俺はため息をついた。俺とエリアスでは根本的に性格が違いすぎるのだ。
「リュカ・マリニー」
教室に戻るまでの廊下で地政学担当の教師に声をかけられた。
「はい、なんですか?」
「今日、ライオネルが来てなかっただろ。このプリントをライオネルに届けてくれ」
「分かりました」
「頼んだぞ」
受け取ったのは厚いプリントの束だ。普段は頼まれごとは面倒なだけなのだが、ライオネルの体調も心配だったので今回ばかりは丁度いい。
授業を終えて真っ直ぐにライオネルの家に向かった。学園からもほど近く、侯爵位をもつ貴族の邸宅という感じのない一軒家だ。貴族は領地に家があるので、ここは別宅の1つだろう。
簡素な門を明けて呼び鈴を振ると勢いよく扉が開いた。使用人でもなく、ライオネル本人がいきなり出てきたので驚いて一瞬心臓が止まった気がする。
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