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参
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「軒虎ーー!!」
怒りと悔しさのままに軒虎の名を叫ぶも、軒虎はぴくりとも動かない。
劉賢妃はうろうろと視線を彷徨わせて、涙でぼやける視界に殷貴妃の姿を捉えた。叫びすぎてひりつく喉をあえがせながら、
「おっ、お姉様……! おねえさまぁっ! 助けてっ。助けてくださいませぇっ!」
と言って、ひたすら助けを乞うが、殷貴妃はにこにこと微笑むばかりで手を貸そうとはしない。
――本当にこれで終わるのだ。
そう思った瞬間、とてつもない恐怖感と震えが、劉賢妃を襲った。
「――! ――!!」
まともな言葉さえ吐けなくなってしまった劉賢妃は、衛士たちの迅速な働きによって、軒虎と殷貴妃の前から消え去った。そしてその場に残り、劉賢妃の軌跡を見つめていた琴沙に、殷貴妃がほっそりとした手を差し出した。
「琴沙。長い間、ご苦労だったわね。琴汐が待っているわ。さあ、瑞祥宮に帰りましょう」
光を失った琴沙の両目が、『琴汐』の名前を聞いたことで、再び光を取り戻す。
(……あまりにも長い間、劉賢妃の側に居させすぎたかしらね)
――だが、まあ、大丈夫だろう。
「お前の双子の妹の琴汐が待っているわ。安心なさい。瑞祥宮に戻ってくれば、全て元通りよ」
そう嘯いた殷貴妃を見上げた琴沙は、こくりと頷いて殷貴妃の手を取った。その様子を、チラリと一瞥した軒虎は、
「やっぱり、後宮は伏魔殿だな」
と、吐き捨てるように呟いたのだった。
この日から数日後、劉賢妃は絞首刑に処された。そして亡くなった劉氏の養子――白軒虎は、国王の命により、殷貴妃の養子となる。
怒りと悔しさのままに軒虎の名を叫ぶも、軒虎はぴくりとも動かない。
劉賢妃はうろうろと視線を彷徨わせて、涙でぼやける視界に殷貴妃の姿を捉えた。叫びすぎてひりつく喉をあえがせながら、
「おっ、お姉様……! おねえさまぁっ! 助けてっ。助けてくださいませぇっ!」
と言って、ひたすら助けを乞うが、殷貴妃はにこにこと微笑むばかりで手を貸そうとはしない。
――本当にこれで終わるのだ。
そう思った瞬間、とてつもない恐怖感と震えが、劉賢妃を襲った。
「――! ――!!」
まともな言葉さえ吐けなくなってしまった劉賢妃は、衛士たちの迅速な働きによって、軒虎と殷貴妃の前から消え去った。そしてその場に残り、劉賢妃の軌跡を見つめていた琴沙に、殷貴妃がほっそりとした手を差し出した。
「琴沙。長い間、ご苦労だったわね。琴汐が待っているわ。さあ、瑞祥宮に帰りましょう」
光を失った琴沙の両目が、『琴汐』の名前を聞いたことで、再び光を取り戻す。
(……あまりにも長い間、劉賢妃の側に居させすぎたかしらね)
――だが、まあ、大丈夫だろう。
「お前の双子の妹の琴汐が待っているわ。安心なさい。瑞祥宮に戻ってくれば、全て元通りよ」
そう嘯いた殷貴妃を見上げた琴沙は、こくりと頷いて殷貴妃の手を取った。その様子を、チラリと一瞥した軒虎は、
「やっぱり、後宮は伏魔殿だな」
と、吐き捨てるように呟いたのだった。
この日から数日後、劉賢妃は絞首刑に処された。そして亡くなった劉氏の養子――白軒虎は、国王の命により、殷貴妃の養子となる。
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