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第113話:肉体への帰還
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「うぁぁぁん……!!どうしてよぉ……!」
「…………」
泣き崩れたフレイと俯いて身体を震わせているザベっさん
完璧に俺ら死んだと思ってるらしい
「どうしよう…ルカ?
今戻ったら2人とも腰抜かさないかな?」
「…だが、これ以上身体を放置しては本当に死んでしまうぞ?
それと身体に戻った瞬間、負った傷の痛みが再び君を襲うだろう。
覚悟を決めろ、零人」
「うぇぇマジか…分かったよ」
痛いのは嫌だけど、仕方ない
それに逃げたジョナサンのクソも見つけなきゃだしな…
おそるおそる、横たわる自分の身体に手を触れると、吸い込まれるような…取り込まれる感覚を覚えた
なるほど、こうやって戻れるのか
「肉体に戻ったあとすぐに〝アレ〟を実行する。
準備を済ませておくのだぞ」
「ああ。意識体の感覚をルカに…だな?
任せておけ!」
そして俺たちは、それぞれの身体へと帰還した
☆☆☆
「…かふっ……」
「…!?レイト!!!」
「レイト様!?……ああ…ッ!」
い、痛ってぇぇぇぇぇ!!!!!
背中がメタくそ痛い!!!
刺されるとこんなに苦しいのか…!!
や、ヤバい…!
痛すぎて意識がトびそう…
「レイト!レイト!しっかりして!
待ってて、今シルヴィアを呼んでくるから!」
「シュバルツァー様!
彼女は現在、多数の増援と交戦中です!
今からでは間に合いません!」
「……!?
じゃあこのままレイトを見捨てるの!?
ふざけんじゃないわよアンタ!!」
「…見捨てる…?
そのようなこと…!私はしません!!
この場で今すぐ彼の応急手当をすることが先決だと申しているのです!」
口論を始めた2人
それに呼応するかのように、俺に被さっていた蒼い女がゆっくりと頭上へ浮かび上がった
ルカも、戻れたか…!
「ルカ!?良かった…!
レイトをシルヴィアの所まで連れてって!」
「……………」
「ルカ……?」
ルカは何も応えず、力が入らない俺を優しく腕で抱き上げた
ルカって意外と力あったんだな…
これ、逆お姫様抱っこですよ!
……って今はそうじゃない
急ぎ、意識体の時に得た、あのエネルギーと一体になるイメージを膨らませる
すると少しずつ、身体中からエネルギーが滲みだし、眠気に似た気怠い感覚が俺を支配し始めた
やがてエネルギーは、全身を蒼く包みだす
それ以上にルカのエネルギーもまた、俺ごと覆うように展開している
まるで口の中で転がされている飴だ
ルカに食べらているような…
俺のエネルギーが彼女に溶けだしていく
…ああ、すっげぇ心地良い気分…
このままルカと…1つに…
そして、ルカは小さくひと言、呟いた
「『癒着』」
☆フレデリカ・シュバルツァーsides☆
ボン!!
血塗れのレイトをルカが抱え上げて…
何かを呟いた瞬間、爆発した!
これは、いつもの合体…?
爆発した後いつも残る蒼い残滓が薄れ、徐々に姿が明らかになってきた
「フン…どうやら上手くいったようだ」
え…?この人、レイト……なの……?
いや、口から発した声はルカのものだ
髪型はレイトと同じだけど、黒い髪と蒼い髪が半分ずつ同居しているわ…
パッと見は彼に似ている
でも、額の宝石と蒼い瞳は彼女と…ルカと同じ
「貴方様は、ルカ様ですか…?」
呆然としている私に代わり、エリザベスが質問してくれた
ルカ?は身体を確かめるように、手を握ったり拡げたりしながら答える
「ああ、そうだ。
今から上にいる敵を私が一掃する。
状況を説明してくれセンチュリー」
「……待ってください。
レイト様は…?彼はどうなったのですか!!!」
「「!?」」
それまで静かだったエリザベスが声を荒らげた
この子がこんなに感情的になるなんて…!
「落ち着けよエリ…いや、ザベっさん?
今だとどっちで呼べば良いんだ…?
まあ、いいや。とにかく、俺はここだぜ!!」
「「なっ!?」」
その怒声に返事をするように、『彼』がルカの身体から声を出し、存在をアピールした!
ええ!?どうなってるの!?
「安心しろ。彼は無事だ。
零人が致命傷のため、私が一時的に彼を取り込み、保護をしているだけだ」
「……左様、ですか」
「すごいわ…アンタたちそんな事もできたのね」
エリザベスは胸を撫で下ろすと、すぐにいつもの無表情へ切り替わった
「現在、ジョナサンの配下である多数の警備と交戦を続けています。
アリーナにある二門の内、魔物側の門が破られ敵がなだれ込んでいる状況です。
私たち以外の仲間と魔物たちが迎撃をしていますが…
敵は全て屈強な鎧を身にまとっており、戦況は五分五分と言えるでしょう」
「なんだと!?
ミノちゃん…やられたのか…」
レイトの声色が沈んでいる
あの魔物を心配しているのね
「安心して、レイト。
牛魔獣は死んではいないわ。
負傷して動けなくなってるだけよ」
「そうか!良かった…」
レイトったら、魔物のことを心配して…
ちょっとお人好し過ぎないかしら?
「了解だ。
ところでジョナサンを見かけていないか?
奴は零人を刺したあと、どこか逃げて行った」
「なんですって!?
あの男がレイトを……!!許せない!」
「……いえ、少なくともアリーナ内では見ておりません。
ですが見つけ次第、確実に抹殺しましょう」
「いや殺すなよ!?
あいつに聞きたいことあんだよ!」
殺気を醸し出すエリザベスにレイトはツッコんだ
…私も黙ってアイツを逃がすなんてできない
レイトを殺そうとしたなら、相応のお返しをしてやらなきゃ気が済まないわ!
「よし、情報に感謝する。
零人!そろそろ戦闘を開始するぞ!
戦闘支援は任せたぞ」
「おう!
俺らが合体した恐ろしさを野郎どもに見せつけてやろうぜ!」
「…………」
泣き崩れたフレイと俯いて身体を震わせているザベっさん
完璧に俺ら死んだと思ってるらしい
「どうしよう…ルカ?
今戻ったら2人とも腰抜かさないかな?」
「…だが、これ以上身体を放置しては本当に死んでしまうぞ?
それと身体に戻った瞬間、負った傷の痛みが再び君を襲うだろう。
覚悟を決めろ、零人」
「うぇぇマジか…分かったよ」
痛いのは嫌だけど、仕方ない
それに逃げたジョナサンのクソも見つけなきゃだしな…
おそるおそる、横たわる自分の身体に手を触れると、吸い込まれるような…取り込まれる感覚を覚えた
なるほど、こうやって戻れるのか
「肉体に戻ったあとすぐに〝アレ〟を実行する。
準備を済ませておくのだぞ」
「ああ。意識体の感覚をルカに…だな?
任せておけ!」
そして俺たちは、それぞれの身体へと帰還した
☆☆☆
「…かふっ……」
「…!?レイト!!!」
「レイト様!?……ああ…ッ!」
い、痛ってぇぇぇぇぇ!!!!!
背中がメタくそ痛い!!!
刺されるとこんなに苦しいのか…!!
や、ヤバい…!
痛すぎて意識がトびそう…
「レイト!レイト!しっかりして!
待ってて、今シルヴィアを呼んでくるから!」
「シュバルツァー様!
彼女は現在、多数の増援と交戦中です!
今からでは間に合いません!」
「……!?
じゃあこのままレイトを見捨てるの!?
ふざけんじゃないわよアンタ!!」
「…見捨てる…?
そのようなこと…!私はしません!!
この場で今すぐ彼の応急手当をすることが先決だと申しているのです!」
口論を始めた2人
それに呼応するかのように、俺に被さっていた蒼い女がゆっくりと頭上へ浮かび上がった
ルカも、戻れたか…!
「ルカ!?良かった…!
レイトをシルヴィアの所まで連れてって!」
「……………」
「ルカ……?」
ルカは何も応えず、力が入らない俺を優しく腕で抱き上げた
ルカって意外と力あったんだな…
これ、逆お姫様抱っこですよ!
……って今はそうじゃない
急ぎ、意識体の時に得た、あのエネルギーと一体になるイメージを膨らませる
すると少しずつ、身体中からエネルギーが滲みだし、眠気に似た気怠い感覚が俺を支配し始めた
やがてエネルギーは、全身を蒼く包みだす
それ以上にルカのエネルギーもまた、俺ごと覆うように展開している
まるで口の中で転がされている飴だ
ルカに食べらているような…
俺のエネルギーが彼女に溶けだしていく
…ああ、すっげぇ心地良い気分…
このままルカと…1つに…
そして、ルカは小さくひと言、呟いた
「『癒着』」
☆フレデリカ・シュバルツァーsides☆
ボン!!
血塗れのレイトをルカが抱え上げて…
何かを呟いた瞬間、爆発した!
これは、いつもの合体…?
爆発した後いつも残る蒼い残滓が薄れ、徐々に姿が明らかになってきた
「フン…どうやら上手くいったようだ」
え…?この人、レイト……なの……?
いや、口から発した声はルカのものだ
髪型はレイトと同じだけど、黒い髪と蒼い髪が半分ずつ同居しているわ…
パッと見は彼に似ている
でも、額の宝石と蒼い瞳は彼女と…ルカと同じ
「貴方様は、ルカ様ですか…?」
呆然としている私に代わり、エリザベスが質問してくれた
ルカ?は身体を確かめるように、手を握ったり拡げたりしながら答える
「ああ、そうだ。
今から上にいる敵を私が一掃する。
状況を説明してくれセンチュリー」
「……待ってください。
レイト様は…?彼はどうなったのですか!!!」
「「!?」」
それまで静かだったエリザベスが声を荒らげた
この子がこんなに感情的になるなんて…!
「落ち着けよエリ…いや、ザベっさん?
今だとどっちで呼べば良いんだ…?
まあ、いいや。とにかく、俺はここだぜ!!」
「「なっ!?」」
その怒声に返事をするように、『彼』がルカの身体から声を出し、存在をアピールした!
ええ!?どうなってるの!?
「安心しろ。彼は無事だ。
零人が致命傷のため、私が一時的に彼を取り込み、保護をしているだけだ」
「……左様、ですか」
「すごいわ…アンタたちそんな事もできたのね」
エリザベスは胸を撫で下ろすと、すぐにいつもの無表情へ切り替わった
「現在、ジョナサンの配下である多数の警備と交戦を続けています。
アリーナにある二門の内、魔物側の門が破られ敵がなだれ込んでいる状況です。
私たち以外の仲間と魔物たちが迎撃をしていますが…
敵は全て屈強な鎧を身にまとっており、戦況は五分五分と言えるでしょう」
「なんだと!?
ミノちゃん…やられたのか…」
レイトの声色が沈んでいる
あの魔物を心配しているのね
「安心して、レイト。
牛魔獣は死んではいないわ。
負傷して動けなくなってるだけよ」
「そうか!良かった…」
レイトったら、魔物のことを心配して…
ちょっとお人好し過ぎないかしら?
「了解だ。
ところでジョナサンを見かけていないか?
奴は零人を刺したあと、どこか逃げて行った」
「なんですって!?
あの男がレイトを……!!許せない!」
「……いえ、少なくともアリーナ内では見ておりません。
ですが見つけ次第、確実に抹殺しましょう」
「いや殺すなよ!?
あいつに聞きたいことあんだよ!」
殺気を醸し出すエリザベスにレイトはツッコんだ
…私も黙ってアイツを逃がすなんてできない
レイトを殺そうとしたなら、相応のお返しをしてやらなきゃ気が済まないわ!
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