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第74話:おまじない
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王様への報告は無事に終わったけど、とんでもないアイテムをもらってしまった
他国の武力介入を促す指輪…
こんなの、絶対失くすわけにはいかない
てかよくよく考えたら、数日後にジオンと一緒に『亜人の国』の王様に謁見しないとならんのか…
その日まではまだ時間がある
それまで安全にこれを保管する方法は…
「どうした零人?寝ないのか?」
「ん?ああ、うん。
先に寝てていいよ」
人間形態のルカはスマホを握って充電しながら、俺のベッドで横になっている
ゼクス城での謁見のあと、ルカと話し合って、『亜人の国』への出発は明日の朝にすることにした
転移するために必要なルカのエネルギーは、もうあまり残っていなかった
エネルギーを回復させるには、ぐっすり寝るか何か食べさせるしかない
なので夕飯は外食にして、手持ちの金がある分、ルカに食べてもらうことになった
片道だけでも相当エネルギーを使ったからな…
彼女にはなるべくたくさんのエネルギーを蓄えてもらわないといけなかった
最初ルカは嬉しそうにバクバク食ってたが、モネが『太っちゃったら肥満の宝石だね!』と、失礼なあだ名を作ったせいで彼女は途中で食べるのをやめてしまった
もちろん残ったヤツは勿体ないので、全部俺とナディアさんでおいしくいただきました
あのクソ天パめ…次ここに帰ってきたらアイツこそデブにしてやる
「悪い顔をしているぞ?
また何か企んでいるのか?」
おや、さすが相棒
さっそく気づかれたか
「ああ、まぁな。
こないだ約束したモネと出掛ける件で、何のスイーツ食わせてやるか迷っててな。
ルカも来るだろ?
今度はアイツにたらふく食ってもらおうぜ」
「望むところだ。
今日はせっかく零人とウォルトがご馳走してくれたのに、食欲を失せさせる発言をしてくれたからな。
……ちなみに私も食べて良いんだよな?」
「結局お前も食べたいんかい!」
食いしん坊め!
ルカと付き合ってくうちに最近気づいたことがある
彼女の食欲…少しずつ増していってる
理由は分からないけど、食べてるルカの顔は可愛いので、あまり気にしないことにした
「まぁそれはともかく、コレの保管方法についても迷っててね…
超重要物だから厳重に保管しないと」
「ふむ、指輪か…
いっそのこと身に付けてはどうだ?」
「あっ!その手があった!」
そうか!
それなら失くさないな!
なんで思いつかなかったんだろ
「…んー、入らない…」
試しに付けようとしたが、俺の指のサイズでは入らなかった
じゃあルカに…って思ったけど、あっちの国では宝石スタイルだからダメだ
「…仕方ない、明日また考えてみるわ。
今日はもう寝ますか」
「ああ。それなら早くこっちに来い。
君はポカポカして温かいから、隣にいるだけで寝付きが違うんだ」
「俺は湯たんぽじゃねぇ!」
☆☆☆
翌朝
眠い目をこすりながら支度を済ませ、モネが大学に登校する少し前に玄関先にみんな集まった
「モネ、本当に貴公だけで屋敷の留守番は大丈夫か?
今からでも私の代わりの『給仕』する人間を要請しても…」
「アハハ、大丈夫大丈夫!
屋敷はボクがばっちり管理しとくから任せといて!」
「そ、そうか?
あ、床を掃除するモップは1階の用具室にある。
それとご飯は三食毎日食べて、ちゃんと歯磨きも…」
「ナディアくん、お母さんなの!?
心配し過ぎだって!」
まるで単身赴任する親みたいなやり取りだな
思わず頬が緩んでしまう
「モネ。
なるべく早くカタつけて戻ってくるから待っていてくれ」
「うん…
マミヤ君、ボクをつまみ者にしたからには絶対無事に戻ってこないとダメなんだからね?」
「えっ!?
だから、俺はそういう意味で言ったんじゃ…」
「冗談だよ」
ギュッ
「「「!?」」」
モネは俺の言葉を遮り、突然抱きついてきた!
「『開運』」
ポウ…
背中に回された手から何か温かい波動を感じる…
いきなり何を…?
「星の導きは必ず当たるわけじゃない。
何かの拍子で運命が変わってしまうこともあるんだ。
だからこれは、キミがつまずかないためのちょっとした『おまじない』だよ。
頑張ってね、マミヤ君」
☆☆☆
ブン!
「『転移』完了。
よし、エネルギーはまだある。
昨日たくさん食べたおかげだな」
「ホントだ。たしかに昨日ほど疲れてない」
「やはり、何度経験しても私は慣れないな…」
『融解』で合体した俺達の転移が完了する
場所は『マルロの宿』の俺が借りている部屋だ
朝だし、シルヴィア達はホテルに居るはず
荷物を降ろして、ラウンジに向かうと、シルヴィア達だけではなく、フレイ組も来ているようでテーブルを囲っていた
そして真っ先にフレイが俺を見つけ、大げさに指をさしてきた
「ああっ!?レイト!」
「おはようフレイ」
「おはようじゃないわよ!
昨日帰ってこなかったから心配したじゃない!
なんですぐ戻って来なかったのよ?」
「あーもー、朝から元気だなお前は…
遠過ぎてガス欠なっただけだよ。
ところでザベっさんいる?」
「はい、こちらに」
俺がキョロキョロと見回すと、いつの間にかすぐ横に立っていた
驚かすなよ…
「実はザベっさんに受け取ってもらいたい物があるんだけど…
ちょっと手を出してくれる?」
「…?これでよろしいでしょうか」
ザベっさんは首を傾げながらも左手を差し出す
……うん、このサイズなら入るな
ポケットから例のブツを取り出す
「これはすごく大事な指輪なんだ。
だから…ザベっさんに持っていて欲しい」
俺は『理の指輪』を彼女の薬指へ嵌めた
他国の武力介入を促す指輪…
こんなの、絶対失くすわけにはいかない
てかよくよく考えたら、数日後にジオンと一緒に『亜人の国』の王様に謁見しないとならんのか…
その日まではまだ時間がある
それまで安全にこれを保管する方法は…
「どうした零人?寝ないのか?」
「ん?ああ、うん。
先に寝てていいよ」
人間形態のルカはスマホを握って充電しながら、俺のベッドで横になっている
ゼクス城での謁見のあと、ルカと話し合って、『亜人の国』への出発は明日の朝にすることにした
転移するために必要なルカのエネルギーは、もうあまり残っていなかった
エネルギーを回復させるには、ぐっすり寝るか何か食べさせるしかない
なので夕飯は外食にして、手持ちの金がある分、ルカに食べてもらうことになった
片道だけでも相当エネルギーを使ったからな…
彼女にはなるべくたくさんのエネルギーを蓄えてもらわないといけなかった
最初ルカは嬉しそうにバクバク食ってたが、モネが『太っちゃったら肥満の宝石だね!』と、失礼なあだ名を作ったせいで彼女は途中で食べるのをやめてしまった
もちろん残ったヤツは勿体ないので、全部俺とナディアさんでおいしくいただきました
あのクソ天パめ…次ここに帰ってきたらアイツこそデブにしてやる
「悪い顔をしているぞ?
また何か企んでいるのか?」
おや、さすが相棒
さっそく気づかれたか
「ああ、まぁな。
こないだ約束したモネと出掛ける件で、何のスイーツ食わせてやるか迷っててな。
ルカも来るだろ?
今度はアイツにたらふく食ってもらおうぜ」
「望むところだ。
今日はせっかく零人とウォルトがご馳走してくれたのに、食欲を失せさせる発言をしてくれたからな。
……ちなみに私も食べて良いんだよな?」
「結局お前も食べたいんかい!」
食いしん坊め!
ルカと付き合ってくうちに最近気づいたことがある
彼女の食欲…少しずつ増していってる
理由は分からないけど、食べてるルカの顔は可愛いので、あまり気にしないことにした
「まぁそれはともかく、コレの保管方法についても迷っててね…
超重要物だから厳重に保管しないと」
「ふむ、指輪か…
いっそのこと身に付けてはどうだ?」
「あっ!その手があった!」
そうか!
それなら失くさないな!
なんで思いつかなかったんだろ
「…んー、入らない…」
試しに付けようとしたが、俺の指のサイズでは入らなかった
じゃあルカに…って思ったけど、あっちの国では宝石スタイルだからダメだ
「…仕方ない、明日また考えてみるわ。
今日はもう寝ますか」
「ああ。それなら早くこっちに来い。
君はポカポカして温かいから、隣にいるだけで寝付きが違うんだ」
「俺は湯たんぽじゃねぇ!」
☆☆☆
翌朝
眠い目をこすりながら支度を済ませ、モネが大学に登校する少し前に玄関先にみんな集まった
「モネ、本当に貴公だけで屋敷の留守番は大丈夫か?
今からでも私の代わりの『給仕』する人間を要請しても…」
「アハハ、大丈夫大丈夫!
屋敷はボクがばっちり管理しとくから任せといて!」
「そ、そうか?
あ、床を掃除するモップは1階の用具室にある。
それとご飯は三食毎日食べて、ちゃんと歯磨きも…」
「ナディアくん、お母さんなの!?
心配し過ぎだって!」
まるで単身赴任する親みたいなやり取りだな
思わず頬が緩んでしまう
「モネ。
なるべく早くカタつけて戻ってくるから待っていてくれ」
「うん…
マミヤ君、ボクをつまみ者にしたからには絶対無事に戻ってこないとダメなんだからね?」
「えっ!?
だから、俺はそういう意味で言ったんじゃ…」
「冗談だよ」
ギュッ
「「「!?」」」
モネは俺の言葉を遮り、突然抱きついてきた!
「『開運』」
ポウ…
背中に回された手から何か温かい波動を感じる…
いきなり何を…?
「星の導きは必ず当たるわけじゃない。
何かの拍子で運命が変わってしまうこともあるんだ。
だからこれは、キミがつまずかないためのちょっとした『おまじない』だよ。
頑張ってね、マミヤ君」
☆☆☆
ブン!
「『転移』完了。
よし、エネルギーはまだある。
昨日たくさん食べたおかげだな」
「ホントだ。たしかに昨日ほど疲れてない」
「やはり、何度経験しても私は慣れないな…」
『融解』で合体した俺達の転移が完了する
場所は『マルロの宿』の俺が借りている部屋だ
朝だし、シルヴィア達はホテルに居るはず
荷物を降ろして、ラウンジに向かうと、シルヴィア達だけではなく、フレイ組も来ているようでテーブルを囲っていた
そして真っ先にフレイが俺を見つけ、大げさに指をさしてきた
「ああっ!?レイト!」
「おはようフレイ」
「おはようじゃないわよ!
昨日帰ってこなかったから心配したじゃない!
なんですぐ戻って来なかったのよ?」
「あーもー、朝から元気だなお前は…
遠過ぎてガス欠なっただけだよ。
ところでザベっさんいる?」
「はい、こちらに」
俺がキョロキョロと見回すと、いつの間にかすぐ横に立っていた
驚かすなよ…
「実はザベっさんに受け取ってもらいたい物があるんだけど…
ちょっと手を出してくれる?」
「…?これでよろしいでしょうか」
ザベっさんは首を傾げながらも左手を差し出す
……うん、このサイズなら入るな
ポケットから例のブツを取り出す
「これはすごく大事な指輪なんだ。
だから…ザベっさんに持っていて欲しい」
俺は『理の指輪』を彼女の薬指へ嵌めた
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