頼むから俺に構わないでくれ

風兎

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朝の出来事*

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 「おや、貴方も早いですね」
「なんだ、シェインかよ。お前も鍛錬か?」
「ええ、こればかりは毎日欠かせませんからね」

 ぐっすり眠った次の早朝。身体を鍛えようとランニングに起きて来た俺が家の裏側に回ると、シェインとヴェーグの声がしたんだ。既に一汗かいたであろう2人は、朝の爽やかさも合間ってイケメン度が上がっている。良いよなあ、イケメンは。そう思いながら声をかけようとしたら、ヴェーグが俺の事を話し出した。

「それ、アラタに対する煩悩も打ち消すためだろう?」
「ふふ、余りに夢見がよすぎましてね。アラタが何度も私のものを可愛い穴で咥えてよがってくださるものでしたから。思わず夢の中で抱き潰してしまいました」
「へっ。そんなの俺の方のアラタが可愛かったね。俺のイチモツを口で咥えたアラタが、尻を振って「早く入れて」ってお願いしてくるんだぜ。アレは可愛すぎるぞ」
「ふむ、その姿もまた良いものですね。ですが、こちらも私のモノを抜こうとすると、涙目で「抜かないで……」ですよ」
「なんだよ、そっちも良いな。まあ、俺の方のアラタもイキっぱなしの可愛い声であんあん鳴いてくれてたがな」

 前・言・撤・回!
 爽やかさなんてあったもんじゃねえ!あいつらの頭ん中煩悩だらけじゃねえか!朝からなんつう会話をしているんだ!

 余りの会話に呆れてその場を立ち去ろうとした時、「なんじゃ?アラタなにしよるんじゃ?」とタイミング悪く爺さんが声をかけて来た。うっ、爺さんなんでこのタイミング……!

「アラタおはよう御座います」
「お!アラタ。おはよう!」

 そして見つかった俺。観念して2人を向くと、さっきまで卑猥な話をしていたとは思えない爽やかな笑顔を俺に向けている。

 コイツらのこの外面に騙されちゃいけねえな。

 俺はそう思いながら「はよ。爺さん……後2人共」と挨拶を返す。

「ん?なんだよアラタ。どうかしたか?」
「どうしました、アラタ?」

 雑に返事を返したのが気になったのかヴェーグは左から俺の肩を抱き、シェインは右から俺の腰に手をまわす。さりげなくボディタッチをしてくるあたり、コイツら慣れているよなぁ。その様子を見て爺さんは「ほっほっほ」って笑ってるし。

「シェイン、ヴェーグ。お前ら朝からなんて会話しているんだよ」
「おや?なにがです?貴方が可愛いと言う話だったんですが?」
「そうだな。まあ、実物の方がもっと良い匂いがするし、数段可愛いがな」

 睨むように言う俺に、とろける様な笑顔で答えるシェインと、爽やかな笑顔でサラッと口説いてくるヴェーグ。

 あ、こいつらこれが通常運転か。

 なんとなくここが異世界だと更に実感した俺。遠い目をしていた俺に「戯れているところをすまんが、アラタよ。森からコシアガリソウを持って来てくれんか?」と爺さん。

 どうやら爺さん昨日の馬車の移動で腰を痛めたみたいだな。腰の痛みで早くに起きてしまったらしい。どうせヴェーグ達が鍛錬しているだろうと予想した爺さんは2人に頼もうと起きて来たところに俺がいたって具合だ。

 腰痛いと確かに寝ていられねえしな。

 爺さんによると、コシアガリソウは煎じて飲むと腰痛に効くらしい。場所も魔物避け内にある様だから俺でも取って来れるみたいだし。

「良いよ、爺さん。で、特徴を教えてくれる?」
「アラタ。私がついて行きましょう。お教えいたしますよ」
「なら念の為、俺は護衛に付いて行こう」

 俺が草の特徴を爺さんに聞いていると、爺さんの返事より早く一緒に行く事を提案するシェインと、護衛を申し出てくれるヴェーグ。お、それは有り難いかな。

「サンキュー!シェイン、ヴェーグ」

 俺が2人の顔を見ながら笑顔で感謝すると、シェインは片手で目を覆い、上を見ながら「可愛いすぎる」と呟いているし。ヴェーグは「やっぱ実物の方が良いな」と口に手を当てながら横を向いている。2人共顔が赤くなっているのは見なかった事にしよう。「ほっほ。変なところは純情じゃわい」と言って家に戻る爺さんに、なんとなく同意する俺。

 まあともかく、3人で薬草を摘みに慣れた森の中に入って行ったんだ。その時は何回も素材採取に来ているからな、余裕だろと思ってたんだよなぁ。それが油断を呼んだんだけど……

 まだ早い時間だったから、朝もやがかかる森の中を歩いて移動していたんだ。朝露を浴びて葉が瑞々しく、木ノ実もより新鮮に映る。俺はご機嫌で素材採取がてら歩いていたら、シェインがコシアガリソウを見つけてくれたんだ。

 コシアガリソウは紫の線が2本入った野草。そこは群生地だったのかいっぱい生えていたんだ。小さな紫の花も付いているからちょっとした花畑だな。どうせ明日も生えてくるだろうからアイテムボックス収納をして一挙に刈り取ると、ヴェーグが「やっぱアイテムボックスって便利だよなぁ」って羨ましがっていた。

 俺がアイテムボックスに入った物を確認すると、木×16 コシアガリソウ×345 クアイの実×48とあったんだ。クアイの実ってなんだ?と思って一つだけ出したら梨の実にそっくりだったんだ。

 喉も乾いたし丁度良いな。

「アラタ‼︎待て!」とヴェーグが制止したのにも関わらず、齧り付いた俺。しゃくしゃくして梨のまんまじゃん、と思って大丈夫だとヴェーグに伝えようとした時、急にクラッと目眩がして頭がボーとして来たんだ。息は上がるし、なんだか身体が熱い……

 「アラタ!」
 「クアイの実を食べたんですか⁉︎」

 ふらふらと木に寄りかかる俺にシェインとヴェーグが心配して駆け寄って来てくれた。ヴェーグはふらふらする俺を抱き寄せ、シェインは足元に落ちたクアイの実が齧られている事から俺が食べた事を理解したらしい。ヴェーグの腕の中で熱が上がった様に息が荒くなった俺の様子を見て、「はあ、ちょっと目を離すとこれですか……」と少し呆れながらシェインが説明してくれたんだけど。

 「良いですか、アラタ。このクワイの実は、別名淫魔の実と言われるくらいに強力な媚薬の元になる実です。一口でも食べたら他人の魔力が含まれた体液を取り込まないと治りません。それも収まるまで他人の体液を取り続けなければいけない実なんですよ」

 シェインの言葉に「……なんだよ、それ……」と顔を赤らめ息を荒くする俺に、更に情報を加えるヴェーグ。

 「だからな、アラタ。接種できる体液は他人の唾液、汗、涙それに精液も含まれる。俺はお前にそれを喜んで提供しよう」
 「ああ、アラタ。私も勿論協力しましょう。貴方が選んで下さい」

 いつのまにか左右から抱き締められ、顔や髪にキスをされていた俺。普段ならそれすら拒絶する筈の俺の頭はパニックになっていてそれどころじゃなかった。

 は⁉︎唾液か汗か涙か精液だって?え?俺がそれ取り込まなきゃいけねえの?汗や涙は俺が舐めて取り込むんだろ⁉︎そんなの俺がコイツらを襲っている様なもんじゃん。しかも精液は論外!コイツらのを咥えるなんて無理無理無理!

 妥協点で唾液か……って事はコイツらとキスしなきゃいけないって事だよなぁ……

 悩んでいても熱が高いときの様に苦しくなるし、コイツらはあちこちキスしまくってくるし……俺の自業自得だしな。腹を括るか……

 「……シェイン、ヴェーグ……唾液ちょうだい……」

 恥ずかしくて下を向きながらお願いする俺の言葉に、
「任せろよ」
「喜んで」
 と返事をする2人。丁度顔がシェイン側にあった事もあり、俺の顎をクイっと上にあげ優しくキスをして来たシェイン。緊張して口を閉じている俺の唇を舐めて、口を開かせると深く口を合わせて舌を絡ませてくる。

 丁寧に下顎や上顎を舐めて絡ませてくるシェインのキスに、俺も応えながら唾液を貰う。それがなんと気持ちのいい事か。

 何度も角度を変えるシェインのキスにゾクゾク感じ始めて来た俺は「ん……はぁ……あっ……」と甘い声を出していたらしい。当然俺の息子もぱんぱんに張ってきて、股をどうやらヴェーグの足に擦りつけていたみたいだ。

 俺の耳やうなじをキスしていたヴェーグが、俺が腰を擦りつける様子に耳元で囁いて来た。

 「アラタ。お前を気持ち良くしていいか?」

 ヴェーグの言葉は甘く、更に俺を高めさせた。シェインとの深く官能的なキスで頭が働かず頷いた俺。ヴェーグはそんな俺の様子にふっと笑い「優しくしてやる」と服の上から俺の性器優しく撫でながら、下履きを脱がしていく。完全に脱がされポロッと出た俺の性器は既に昂り、先端から精液が溢れてきている。

 「エッロ……」とヴェーグの声が聞こえて来たと思ったら、急に快楽が襲って来た。思わず「んん⁉︎」と声を上げると「アラタ、私に集中して……」とシェインのキスが深まる。ヴェーグの口による愛撫とシェインのキスによって気持ち良すぎて息も絶え絶えになる俺。

 「シェインが上ならアラタの下の初めては俺が貰う」

 そんな俺の様子を楽しみながら、俺の性器を口で咥え話すヴェーグ。そんなヴェーグの熱い口腔に含まれた俺の性器は、ヴェーグによって上下に口で扱かれ先端を吸われたりされる事によって吐精してしまう。
 
 「あぁ!!」

 感高い声を上げ、イった俺を「良くできました」と顔中にキスを降らせるシェイン。ヴェーグは吐精を口に全て含み飲み込んだ。

 「アラタの精液は甘いな」

 そんな筈はない、と思いながらも快感の余韻に身を委ねる俺。そんな様子に「シェイン交代だ」とヴェーグが俺に深くキスをして来た。シェインとは違い貪る様にキスをするヴェーグ。俺は息も絶え絶えになりながらも、ヴェーグから差し出される唾液を必死に取り込む。

 キスをしながらシャツのボタンを外していくヴェーグは、空気に触れた俺の乳首を優しく摘んだり撫でたりしてくる。乳首なんて女じゃないし感じるわけないと思っていた俺が甘かった。片方の乳首をヴェーグは指で、シェインはもう片方を舌で舐めたり吸ったりしながら、片手で俺の陰経を扱いてくる。
 
 「……!はっ……あっ!………んっ、んぅ!」

 一度だしたにも関わらず快感がまた俺を喘がせる。

 「アラタ、好きだ」
 「愛してます、アラタ」

 キスの合間、愛撫の合間に思いを俺に伝えてくるヴェーグやシェインによって、また俺は快感の高みにつれていかれ2度目の吐精をした後記憶が途切れた。
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