30 / 37
30:淫らな魔性※
しおりを挟む
フランツ王子はオスヴァルトとの攻防戦の後、アヒムに世話係をつけることを約束させた。オスヴァルトはどうにも、王と彼に似た王子に弱いようだ。
世話係は中肉中背の平凡な男で、出身階級はわからない。ただ、アヒムを見る視線には覚えがある。彼もアヒムに狂っている一人なのだと、その目を見てわかった。
「アヒムさま、それは」
はじめてアヒムの白い体を見たときの動揺した瞳と欲情した表情はみんな一緒であり、世話係も同じだった。
「へいかが着けて行ったんだ。窮屈で死んでしまいそうだよ」
着替えの際に一糸纏わぬ姿を見せると、貞操帯に目がいった世話係にそう説明した。
「前も苦しいけれど、後ろが酷いんだ。僕の孔に棒をいれて塞いでいるんだ」
アヒムは世話係に背中をむけてシャツを着た。彼の視線はアヒムの臀部に釘付けになっていた。
そうして、アヒムの態度にどぎまぎしながら世話係は欲望をもて余していた。
「君はフリートヘルムさんを知っている?」
「え? ああ、はい。磁器生産の影の立役者ですよね」
世話係は話題が急に変わってドキリとした。自分の邪な視線に気づかれたのかと焦った。
「そう。工房の中で唯一僕を子ども扱いしてくれる大人の人。まるで叔父みたいな人。とてもお世話になった人なんだ」
優し気な慈愛に満ちた瞳をしながら語るアヒムをみて、世話係はふと思った。
「ですが、今年の冬に亡くなったと聞きましたが」
「そう。僕は死目に会えなかったし、お別れも言えなかった。まだ墓参りにも行けていないのに、彼が眠る場所すらわからないんだ」
着替えを済ませたアヒムはベッドサイドに座って悲しそうに微笑んだ。
世話係はそのか弱く憐憫な姿に心を動かされた。この人を笑顔にしたい。その憂いを晴らしてあげたいと強く思った。
「よければ私がお手伝いします」
世話係はアヒムの足元に跪いて、足の甲に口づけをした。
アヒムは真っ暗な瞳でそれを見下ろしていた。
「彼の骨壺は僕の磁器じゃないと」
アヒムはにっこりと嗤った。
隷属の代価にアヒムは世話係の欲望を満たし、アヒムは世話係を使役した。
一日に一度の、貞操帯を外すことが許された時間がある。ただ体を清めるための短い時間はまさに、世話係の欲望を満たすのにうってつけの時間だ。
「オスヴァルト卿に鍵をもらって開けてくれないかい?」
アヒムは世話係の男にそう言った。
世話係は顔を紅潮させながらもコクりと頷いた。
おぼつかない手つきで錠前を外し、大きな木桶に湯を満たして入浴の支度をした。
用をたしたアヒムは、世話係が用意した湯の張った人が一人入っても十分な大きさの桶の中にはいる。底は浅く、湯が満たされても座ったアヒムの腰までしか浸からない。
「ベン、洗ってくれないかい?」
アヒムは無防備に腕を広げると、世話係はその腕をとって、ボディタオルで撫でていく。
腕も、背中も、胸も、脚も洗っていくと、アヒムはクスクスとわらう。
「まだ残っているだろう?」
アヒムは脚を広げて、いつもなら貞操帯で隠れている部位をさらけだす。
世話係が生唾をごくりと飲み込む。
「綺麗にしてくれ」
世話係は泡をのせて、アヒムの少し伸びた下生えを剃り始めた。徐々に芯を持ち始めるアヒムのそれから目をそらしながら、傷をつけないように刃を動かしていく。
「アヒムさま、後ろを」
桶に手をおいて、臀部を世話係に見せつける体勢を取る。
剃り終わって剃刀をおく音がしたが、アヒムは体勢を変えない。
「中も確認してくれないかい? また、あれを着けないといかないから」
「わ、わかりました」
世話係は上ずった声をあげながら、アヒムの臀部に触れて、後孔をひらくように、肉を引っ張った。
貞操帯に付属している棒を常時入れているそこは、簡単に開いて中を見せてくれる。
「失礼します」
指が二本、ズンッと入ってアヒムの中をかきみだす。
「んんっ」
湯とオイルがアヒムの中に入りながら淫猥な音をたてている。
王が遠征に出てから、アヒムの孔は飢えていた。無機質なものではなく、温かなものを飲み込みたいと叫んでおり、世話係の指を逃がさないようにきつく絞める。
「ベン、君のソコがとても苦しそうだ」
アヒムは後ろをむいて世話係の股間を指し示した。
「可哀想に。おいで。ただし、外にはオスヴァルト卿がいるから静かにね」
アヒムの許しを得ると、世話係は慌ただしくズボンの前を開けて、その粗末なものをアヒムの中に挿し込んだ。
王と比べると粗末なものであるが、雄に飢えていた孔は喜んでそれを食いつくした。
「んんっ、……ふぁ、んんん」
声が漏れないように、口をおさえられながら、つたない動きにすらアヒムの体は悦んだ。
水がバシャバシャと跳ねて、肉の棒の呑み込みながらアヒムは恍惚に嗤った。
「アヒム殿、あまりこのようなことをされると困る」
オスヴァルトが相変わらず無愛想な顔をしてアヒムにそう言った。
アヒムは退屈そうにページを繰っていた手をとめて嗤った。
「バレていましたか。ですが、へいかが課したルールの元なんですから、ちょっとした息抜きとして目をつぶってくれるでしょう? じゃないと、フランツまで怒られる」
オスヴァルトは押し黙った。彼の弱味は王と王子なのだ。
彼はすでにフランツ王子や世話係との関係を知っていたが、黙認している。そうでなければ、今頃王が戻ってきて、誰かは血を流しているはずだ。
「陛下がすべて悪いんですから」
アヒムがにっこり微笑んでも、オスヴァルトには効果がない。それでいい。それがいい。その方が都合がいい。
その後、アヒムは忽然と姿を消した。
世話係は中肉中背の平凡な男で、出身階級はわからない。ただ、アヒムを見る視線には覚えがある。彼もアヒムに狂っている一人なのだと、その目を見てわかった。
「アヒムさま、それは」
はじめてアヒムの白い体を見たときの動揺した瞳と欲情した表情はみんな一緒であり、世話係も同じだった。
「へいかが着けて行ったんだ。窮屈で死んでしまいそうだよ」
着替えの際に一糸纏わぬ姿を見せると、貞操帯に目がいった世話係にそう説明した。
「前も苦しいけれど、後ろが酷いんだ。僕の孔に棒をいれて塞いでいるんだ」
アヒムは世話係に背中をむけてシャツを着た。彼の視線はアヒムの臀部に釘付けになっていた。
そうして、アヒムの態度にどぎまぎしながら世話係は欲望をもて余していた。
「君はフリートヘルムさんを知っている?」
「え? ああ、はい。磁器生産の影の立役者ですよね」
世話係は話題が急に変わってドキリとした。自分の邪な視線に気づかれたのかと焦った。
「そう。工房の中で唯一僕を子ども扱いしてくれる大人の人。まるで叔父みたいな人。とてもお世話になった人なんだ」
優し気な慈愛に満ちた瞳をしながら語るアヒムをみて、世話係はふと思った。
「ですが、今年の冬に亡くなったと聞きましたが」
「そう。僕は死目に会えなかったし、お別れも言えなかった。まだ墓参りにも行けていないのに、彼が眠る場所すらわからないんだ」
着替えを済ませたアヒムはベッドサイドに座って悲しそうに微笑んだ。
世話係はそのか弱く憐憫な姿に心を動かされた。この人を笑顔にしたい。その憂いを晴らしてあげたいと強く思った。
「よければ私がお手伝いします」
世話係はアヒムの足元に跪いて、足の甲に口づけをした。
アヒムは真っ暗な瞳でそれを見下ろしていた。
「彼の骨壺は僕の磁器じゃないと」
アヒムはにっこりと嗤った。
隷属の代価にアヒムは世話係の欲望を満たし、アヒムは世話係を使役した。
一日に一度の、貞操帯を外すことが許された時間がある。ただ体を清めるための短い時間はまさに、世話係の欲望を満たすのにうってつけの時間だ。
「オスヴァルト卿に鍵をもらって開けてくれないかい?」
アヒムは世話係の男にそう言った。
世話係は顔を紅潮させながらもコクりと頷いた。
おぼつかない手つきで錠前を外し、大きな木桶に湯を満たして入浴の支度をした。
用をたしたアヒムは、世話係が用意した湯の張った人が一人入っても十分な大きさの桶の中にはいる。底は浅く、湯が満たされても座ったアヒムの腰までしか浸からない。
「ベン、洗ってくれないかい?」
アヒムは無防備に腕を広げると、世話係はその腕をとって、ボディタオルで撫でていく。
腕も、背中も、胸も、脚も洗っていくと、アヒムはクスクスとわらう。
「まだ残っているだろう?」
アヒムは脚を広げて、いつもなら貞操帯で隠れている部位をさらけだす。
世話係が生唾をごくりと飲み込む。
「綺麗にしてくれ」
世話係は泡をのせて、アヒムの少し伸びた下生えを剃り始めた。徐々に芯を持ち始めるアヒムのそれから目をそらしながら、傷をつけないように刃を動かしていく。
「アヒムさま、後ろを」
桶に手をおいて、臀部を世話係に見せつける体勢を取る。
剃り終わって剃刀をおく音がしたが、アヒムは体勢を変えない。
「中も確認してくれないかい? また、あれを着けないといかないから」
「わ、わかりました」
世話係は上ずった声をあげながら、アヒムの臀部に触れて、後孔をひらくように、肉を引っ張った。
貞操帯に付属している棒を常時入れているそこは、簡単に開いて中を見せてくれる。
「失礼します」
指が二本、ズンッと入ってアヒムの中をかきみだす。
「んんっ」
湯とオイルがアヒムの中に入りながら淫猥な音をたてている。
王が遠征に出てから、アヒムの孔は飢えていた。無機質なものではなく、温かなものを飲み込みたいと叫んでおり、世話係の指を逃がさないようにきつく絞める。
「ベン、君のソコがとても苦しそうだ」
アヒムは後ろをむいて世話係の股間を指し示した。
「可哀想に。おいで。ただし、外にはオスヴァルト卿がいるから静かにね」
アヒムの許しを得ると、世話係は慌ただしくズボンの前を開けて、その粗末なものをアヒムの中に挿し込んだ。
王と比べると粗末なものであるが、雄に飢えていた孔は喜んでそれを食いつくした。
「んんっ、……ふぁ、んんん」
声が漏れないように、口をおさえられながら、つたない動きにすらアヒムの体は悦んだ。
水がバシャバシャと跳ねて、肉の棒の呑み込みながらアヒムは恍惚に嗤った。
「アヒム殿、あまりこのようなことをされると困る」
オスヴァルトが相変わらず無愛想な顔をしてアヒムにそう言った。
アヒムは退屈そうにページを繰っていた手をとめて嗤った。
「バレていましたか。ですが、へいかが課したルールの元なんですから、ちょっとした息抜きとして目をつぶってくれるでしょう? じゃないと、フランツまで怒られる」
オスヴァルトは押し黙った。彼の弱味は王と王子なのだ。
彼はすでにフランツ王子や世話係との関係を知っていたが、黙認している。そうでなければ、今頃王が戻ってきて、誰かは血を流しているはずだ。
「陛下がすべて悪いんですから」
アヒムがにっこり微笑んでも、オスヴァルトには効果がない。それでいい。それがいい。その方が都合がいい。
その後、アヒムは忽然と姿を消した。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)



淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる