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7:過去ー結婚
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クラウディアのルイ=アルフレッドに対する第一印象は少し無愛想で堅苦しそうな人であった。
というのも、初めて見た彼は喋りもしない絵の中にいたからだ。
「クラウディア、これが貴女の未来の夫となるルイ=アルフレッド王太子です」
母に手をとられて、まだ十にも満たない少女は無愛想な少年の絵を見上げたことを今でも覚えている。
国同士の同盟のため、交易のため、利益のため。クラウディアは婚約が決まってから嫁ぐ国に関する様々な教育をうけた。
そうして初潮をむかえ、教育が終了した数年後には母国を出て見知らぬ土地に降り立っていた。
「初めまして、クラウディア王女殿下」
熱烈な歓迎のもと輿入れをして、馬車をおりた先で待っていたのは肖像画よりも幾分か成長した男であった。
兄たちよりも幼い顔立ちで、歳は確か十七になった頃であろう。
「ごきげんうるわしゅう、アルフレッド王太子殿下」
明るいブルネットの髪に狼のようなアンバーの瞳は絵で見るよりも爛々としていた。
無愛想だと思っていた男は案外柔らかい人であった。
国王へ挨拶する道すがら、緊張をほぐすように話しかけてくれた。
(ああ、きっとこの人となら幸せな家庭を築けそうだ)
初めて会って、初めて言葉を交わしたが、確信のようなものを感じた。
王族の結婚など全てが政略結婚であり、恋愛感情などは伴っていない。だが、この人なら互いを尊重しあう朋友にはなれると思えた。
「お初にお目文字かかります。国王陛下ならびに王妃陛下にはご機嫌麗しく」
「なんと愛らしい王太子妃であろう。まるで天使のようだ。王太子と並ぶと美男美女でなんとも微笑ましいとは思わないか、王妃よ」
「ええ、そうですわね。お人形のような愛らしさですわ」
国王も王妃も好意的な態度であった。
言われて初めて、アルフレッドの顔に注目したが。
彼はかなり整った容姿をしており、すらりとした体躯にほどよくついた筋肉、涼しげな目に通った鼻は冷たげな雰囲気はあるが人の目を惹き付ける魅力がある。
「はやく孫の顔がみたいものね」
国王はかなり高齢であり、王妃は繰り返す出産で身体がかなり弱っていた。
世継ぎを求めるのはわかっており、同盟のためにも二人の子供ははやく必要なのだ。
「つとめてまいります」
「お二方のご期待にこたえるよう努力いたします」
そう返答をしたのにもかかわらず懐妊の兆しは見えなかった。
その間もアルフレッドは優しく寄り添ってくれた。
時にはクラウディアの母国の言葉を拙くも話し、「シャッツ」と呼んだ。それに応えるようにクラウディアはアルフレッドを「モン ソレイユ」と呼んだ。
互いに信頼と愛情を時間とともに形成していき、まわりの誰もが王太子夫妻は良縁だと感じていた。
そうして三年の時を経てやっとのおもいで妊娠した。
「ディア! よくやった。ありがとう」
「アル。私たちの子です。ここに私たちの子がいるのです」
まだ目立たない腹を触って二人して喜んだ。その時が幸せの最高潮だったのかもしれない。
というのも、初めて見た彼は喋りもしない絵の中にいたからだ。
「クラウディア、これが貴女の未来の夫となるルイ=アルフレッド王太子です」
母に手をとられて、まだ十にも満たない少女は無愛想な少年の絵を見上げたことを今でも覚えている。
国同士の同盟のため、交易のため、利益のため。クラウディアは婚約が決まってから嫁ぐ国に関する様々な教育をうけた。
そうして初潮をむかえ、教育が終了した数年後には母国を出て見知らぬ土地に降り立っていた。
「初めまして、クラウディア王女殿下」
熱烈な歓迎のもと輿入れをして、馬車をおりた先で待っていたのは肖像画よりも幾分か成長した男であった。
兄たちよりも幼い顔立ちで、歳は確か十七になった頃であろう。
「ごきげんうるわしゅう、アルフレッド王太子殿下」
明るいブルネットの髪に狼のようなアンバーの瞳は絵で見るよりも爛々としていた。
無愛想だと思っていた男は案外柔らかい人であった。
国王へ挨拶する道すがら、緊張をほぐすように話しかけてくれた。
(ああ、きっとこの人となら幸せな家庭を築けそうだ)
初めて会って、初めて言葉を交わしたが、確信のようなものを感じた。
王族の結婚など全てが政略結婚であり、恋愛感情などは伴っていない。だが、この人なら互いを尊重しあう朋友にはなれると思えた。
「お初にお目文字かかります。国王陛下ならびに王妃陛下にはご機嫌麗しく」
「なんと愛らしい王太子妃であろう。まるで天使のようだ。王太子と並ぶと美男美女でなんとも微笑ましいとは思わないか、王妃よ」
「ええ、そうですわね。お人形のような愛らしさですわ」
国王も王妃も好意的な態度であった。
言われて初めて、アルフレッドの顔に注目したが。
彼はかなり整った容姿をしており、すらりとした体躯にほどよくついた筋肉、涼しげな目に通った鼻は冷たげな雰囲気はあるが人の目を惹き付ける魅力がある。
「はやく孫の顔がみたいものね」
国王はかなり高齢であり、王妃は繰り返す出産で身体がかなり弱っていた。
世継ぎを求めるのはわかっており、同盟のためにも二人の子供ははやく必要なのだ。
「つとめてまいります」
「お二方のご期待にこたえるよう努力いたします」
そう返答をしたのにもかかわらず懐妊の兆しは見えなかった。
その間もアルフレッドは優しく寄り添ってくれた。
時にはクラウディアの母国の言葉を拙くも話し、「シャッツ」と呼んだ。それに応えるようにクラウディアはアルフレッドを「モン ソレイユ」と呼んだ。
互いに信頼と愛情を時間とともに形成していき、まわりの誰もが王太子夫妻は良縁だと感じていた。
そうして三年の時を経てやっとのおもいで妊娠した。
「ディア! よくやった。ありがとう」
「アル。私たちの子です。ここに私たちの子がいるのです」
まだ目立たない腹を触って二人して喜んだ。その時が幸せの最高潮だったのかもしれない。
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