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救援部隊②
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アイリスディーナ・クロノホルンにとって戦場は長い付き合いだった。腐れ縁と言われて否定できないぐらいには。だから他のレギオンだとしても連携の練度を観察すれば、すぐにでも分かるぐらいに。
ラプラスはデストロイヤーを真っ二つに切り裂いて、腕を回す。
「はい、終了」
それ故に目の前のピンク頭の二人の練度に驚いていた。たった二人でレギオン2つ分の活躍をしてみせたのだ。
レギオン二つ、つまり18人分のパワーを発揮していた。しかも戦闘終了後も疲れた様子はない。むしろ阿頼耶などは魔力で戦闘に最適な形に変化した衣装と戦術機をラプラスに見せに行くなど元気が有り余っている様子だ。
「凄いですね……お二人共」
少々、引きながら呟く。
「そもそも、この程度の密度じゃねぇ」
「ちょうどいい塩梅だよ。余裕を以って色々な機動や連携を試せるんだからな。阿頼耶ちゃんみたいにように、なんか覚醒して凄いパワーを持ってれば見せ場もないだろうけど」
「この特に意味のない場面での覚醒! でもなんか調子が良いから良いです!」
「そっか、よかったねーカワイイヨー」
「ふふ、これでラプラス様とよりハードなことも」
「そういうのは任務が終わってからにしてねー。じゃあ、新顔さんが来たので自己紹介お願いします」
阿頼耶とラプラスは体をくっつけながら言う。
水差しが回ってきたアイリスディーナは、綺麗なお辞儀をしながら言う。
「ご紹介に預かりました。わたくし、アイリスディーナ・クロノホルンと申します。レギオン『シュヴァルツマーケン』の行方不明の衛士の捜索のお手伝いに参りました。あまり顔馴染みのない衛士とは思いますが、よろしくお願いいたしますわ」
ラプラスは真昼の手を取って前へ出る。
「私のこのシールド戦術機と白い戦術機を使ってる方が異世界一ノ瀬真昼でコードサインはラプラス、こっちのこの頼りなさそうな感じの一ノ瀬真昼はこの世界の一ノ瀬真昼。白い戦術機がラプラス、量産型を使ってるのが一ノ瀬真昼と覚えてもらって結構ですよ」
「あ、はい! 一ノ瀬隊隊長の一ノ瀬真昼です。今回はお手伝いに来てくださってありがとうございます」
シノアが言う。
「確か『シュヴァルツマーケン』はここからは少し遠めの警戒地域担当だったはずよね」
「作戦行動の事後処理を行っていた際に衛士が行方不明となったと報せを聞きまして。わたくしだけ既に捜索している一ノ瀬隊に合流する形で先行させてもらいましたの」
そこでラプラスが手を挙げる。
「事後処理って、デストロイヤー出たの? 異世界型?」
「いえ、普通のタイプでした。なにか疑問でも?」
「いや、特に何も。事前に割り出した予測帰還ルートと継続候補地を共有する」
「ありがとうございます」
ラプラスはアイリスディーナの端末にデータを送信する。
(私の世界では見たことのない顔だ。たまたま出会わなかっただけ? それとも死亡していた? まぁ使えるならどちらでも良いかな)
真昼は二水に小声で問いかける。
「ねぇ、二水ちゃん、そのアイリスディーナさんって凄い衛士なの?」
「横浜衛士訓練校の衛士は凄いんですけどその中でも特に凄いです!アールヴヘイムに匹敵するレギオンに幼稚舎から司令塔となるべく育てられた生え抜きのエリートで適正数値は98!! 衛士・オブ・衛士です」
「あー、スキラー数値とか懐かしい。私も横浜衛士訓練校に入る時測ったなぁ。もう最近の世界だともう全人類総力戦だったからそういうのあんまり気にしなかったんだよね。衛士と防衛隊の混成が普通だったから。スキラー数値低い衛士に重装備させて強化衛士の自己回復に物言わせて前線に出して装甲打撃部隊の肉壁役とかさせてた」
「ヒェッ」
「それは、なんとも見たくない光景ですわね。それでそろそろ休憩は終わりで良いのではなくて?」
風間はそう告げると、ラプラスはシューティングモードの戦術機をやや乱暴に斉射させた。ロックオンもせずに、舐めるように射線を移動させる。
それらはまるで魔法のように、森から現れたステルスデストロイヤーの頭部の芯に吸い込まれていった。
「じゃ、私と阿頼耶ちゃんが前衛で左右やるから、中央お願いしますね、真昼ちゃん」
「は、はい! ラプラスさん!」
「頑張らないと食っちまいますわよ」
「貴方ガチでラプラスさん食ったから笑えないんですけど」
阿頼耶の冗談に風間が少し真面目に突っ込む。
「移動、開始」
陣形を整えて、全員一気に飛び出した。
現れるデストロイヤーをなぎ倒しながら、ラプラスは視線の端に一ノ瀬隊を捉える。良い連携だ。基礎能力が低いだけで、連携下手なわけでもないらしい。
それにアイリスディーナも即席編成による連携もSSSレギオンのメンバーだけあって、一ノ瀬隊を中心に据えつつも的確に支援をしている。愛花がややアイリスディーナの援護が過剰な気もするが、特に問題はないので黙って進む。
一ノ瀬隊は流石に余裕が出てきたのか雑談を初めている。
「風間さんって昔からの知り合いなんですか?」
「知り合いというか、様々な状況において公然のライバル扱いされてますわね」
「横浜衛士訓練校の至宝と言われる風間さんですが、それが一つとは限りませんから。あ、あと愛花さん。連戦で消耗しているからと気遣って頂いてますが私は大丈夫ですよ」
「……そのようですね。差し出がましい真似をしました」
ラプラスは愛花の変化を敏感に感じ取る。
(愛花ちゃんって確か、祖国と兄をファンバオに消されて祖国奪還のために幼稚舎から努力したけど風間ちゃんとかその他諸々で敗北して、一ノ瀬隊合流時は絶望してたよね。私の世界だと強化衛士手術とオーバードウェポンで宿敵ファンバオを破壊して希望を取り戻したけど、この世界の今の愛花ちゃんってもしかしてメンタルやばい?)
明らかに愛花の動きが悪いのは目に見えていた。その理由がわかるのはたぶん、すべてを知っているラプラスのみだろう。仲の良い葉風あたりは動きが悪いのには気付くだろうが、彼女のわだかまりを解決させるようには思えない。
「んー、んー、んー」
「どうされました、ラプラス様」
「ちょーっと背中が怖くなってきた」
悩むラプラスに阿頼耶が問いかける。返答と、得意の近接戦闘をしかけたのは同時だった。フェイントでステルスデストロイヤーの攻撃を誘発させて回避し、交差気味にブレードモードで胴体を切り裂く。
着地点に、周囲に居たミドル級が集ってくる。それを視認すると同時に、着地の衝撃を体の運動能力に変えていた。
伸縮する筋肉をあますことなく推力に変えて、すり抜けるようにデストロイヤーの間を抜けていく。
一閃、二刺突、三斬。
鍛えられたユニコーン戦術機による数撃がミドル級とスモール級を深く傷つけた。着地と同時に放たれた一柳隊の一斉射が、標的を空振りしたスモール級の群れに突き刺さっていく。
それをフォローするのはアイリスディーナ・クロノホルンだ。ラプラス阿頼耶一ノ瀬隊が撃ち漏らした敵の群れに対し、位置的に危険な個体から順に魔力の弾丸を叩き込んでいく。できるだけ弾を残すように。残弾を気にしながらの中距離からの射撃ではあるが、その的を外すことはなかった。
「――――反応も良し、照準にも問題はなし。戦闘度に精度が上がってるね」
ラプラスが呟く。
「そうなんですか?」
「そうなんですか、って阿頼耶ちゃん……ちょっとは考えやうよ。まあ、感覚9、理論1だろう阿頼耶ちゃんには些細な問題かもしれないけど」
その会話に食いついてきたのはアイリスディーナだった。
「感覚9、理論1というのは?」
「私達の世界で使われていた衛士を大まかに区分けする為の用語です。文字通りどっちを先に鍛えるか判別することで衛士の成長効率を上げることができます」
「なるほど、レギオンの方針ではなく個人技量を高めるための目安ですか」
「そういう、私達の世界の戦闘データを蓄積し、強い衛士育成や、過去の大規模戦闘でのデータ、状況ごとの最適な作戦を纏めたラプラスレポートというのがあるんですが、いります?」
「ぜひ!」
「あー、それじゃあ一旦休憩しますか。データ量も多いので。って団体さんの到着か。阿頼耶ちゃん、私についてきて」
「ああ! この私についてこれて当たり前みたいな雑な扱い! たまりません!!」
なんでもないように言いながら突進していくのはギガント級とラージ級の群れだ。やや敵の密度の高いそこは、シノアや梅の衛士でも必死の領域である。ラプラスと阿頼耶ははその場所に無造作に踏み入るように、体を走らせた。
「右から来ます!」
「了解、背面から横一列」
「よっと」
その声と共にラプラスはギガント級から放たれた一撃を回避する。見てからではぎりぎり回避できないぐらいの距離だったが、難なく袖にして過ぎると、着地した。高出力弾頭の発射体勢に入るが、阻むものはいない。着地した周囲には敵がいなかったからだ。
敵の群れの中に生まれている空隙の中心に当たり前のように在った。そして絶好の場所だと、至近距離から威力の高い高出力砲撃を叩き込んでいく。その一部には、ラージ級を貫通して後ろにいるギガント級に命中するものもあった。
「貫通射撃」
「どんな技術ですかそれ」
「魔力を集めてドン」
「ラージ級を貫通してギガント級にダメージを与える威力って……ラプラス様は流石ですね!」
「阿頼耶ちゃんは……射撃より斬撃かな。魔力を刀身に集中させて振り抜くいてみて」
「えっと、こう、ですか、ねッ!!」
ズドン!! と魔力の斬撃が飛び出して、目の前の敵を事も無げに切り裂いて巨大な爆炎を撒き散らした。
「え、阿頼耶ちゃんは斬撃なのに魔力爆発するの? なんで? こわ」
「え、やらせたのラプラス様ですよね!? 引かないでください!」
くしくも見晴らしの良い巨大な空白地帯ができたので、そこの中心で休憩することになった。
「さて、愛花ちゃんのメンタルケアしますか」
ラプラスはデストロイヤーを真っ二つに切り裂いて、腕を回す。
「はい、終了」
それ故に目の前のピンク頭の二人の練度に驚いていた。たった二人でレギオン2つ分の活躍をしてみせたのだ。
レギオン二つ、つまり18人分のパワーを発揮していた。しかも戦闘終了後も疲れた様子はない。むしろ阿頼耶などは魔力で戦闘に最適な形に変化した衣装と戦術機をラプラスに見せに行くなど元気が有り余っている様子だ。
「凄いですね……お二人共」
少々、引きながら呟く。
「そもそも、この程度の密度じゃねぇ」
「ちょうどいい塩梅だよ。余裕を以って色々な機動や連携を試せるんだからな。阿頼耶ちゃんみたいにように、なんか覚醒して凄いパワーを持ってれば見せ場もないだろうけど」
「この特に意味のない場面での覚醒! でもなんか調子が良いから良いです!」
「そっか、よかったねーカワイイヨー」
「ふふ、これでラプラス様とよりハードなことも」
「そういうのは任務が終わってからにしてねー。じゃあ、新顔さんが来たので自己紹介お願いします」
阿頼耶とラプラスは体をくっつけながら言う。
水差しが回ってきたアイリスディーナは、綺麗なお辞儀をしながら言う。
「ご紹介に預かりました。わたくし、アイリスディーナ・クロノホルンと申します。レギオン『シュヴァルツマーケン』の行方不明の衛士の捜索のお手伝いに参りました。あまり顔馴染みのない衛士とは思いますが、よろしくお願いいたしますわ」
ラプラスは真昼の手を取って前へ出る。
「私のこのシールド戦術機と白い戦術機を使ってる方が異世界一ノ瀬真昼でコードサインはラプラス、こっちのこの頼りなさそうな感じの一ノ瀬真昼はこの世界の一ノ瀬真昼。白い戦術機がラプラス、量産型を使ってるのが一ノ瀬真昼と覚えてもらって結構ですよ」
「あ、はい! 一ノ瀬隊隊長の一ノ瀬真昼です。今回はお手伝いに来てくださってありがとうございます」
シノアが言う。
「確か『シュヴァルツマーケン』はここからは少し遠めの警戒地域担当だったはずよね」
「作戦行動の事後処理を行っていた際に衛士が行方不明となったと報せを聞きまして。わたくしだけ既に捜索している一ノ瀬隊に合流する形で先行させてもらいましたの」
そこでラプラスが手を挙げる。
「事後処理って、デストロイヤー出たの? 異世界型?」
「いえ、普通のタイプでした。なにか疑問でも?」
「いや、特に何も。事前に割り出した予測帰還ルートと継続候補地を共有する」
「ありがとうございます」
ラプラスはアイリスディーナの端末にデータを送信する。
(私の世界では見たことのない顔だ。たまたま出会わなかっただけ? それとも死亡していた? まぁ使えるならどちらでも良いかな)
真昼は二水に小声で問いかける。
「ねぇ、二水ちゃん、そのアイリスディーナさんって凄い衛士なの?」
「横浜衛士訓練校の衛士は凄いんですけどその中でも特に凄いです!アールヴヘイムに匹敵するレギオンに幼稚舎から司令塔となるべく育てられた生え抜きのエリートで適正数値は98!! 衛士・オブ・衛士です」
「あー、スキラー数値とか懐かしい。私も横浜衛士訓練校に入る時測ったなぁ。もう最近の世界だともう全人類総力戦だったからそういうのあんまり気にしなかったんだよね。衛士と防衛隊の混成が普通だったから。スキラー数値低い衛士に重装備させて強化衛士の自己回復に物言わせて前線に出して装甲打撃部隊の肉壁役とかさせてた」
「ヒェッ」
「それは、なんとも見たくない光景ですわね。それでそろそろ休憩は終わりで良いのではなくて?」
風間はそう告げると、ラプラスはシューティングモードの戦術機をやや乱暴に斉射させた。ロックオンもせずに、舐めるように射線を移動させる。
それらはまるで魔法のように、森から現れたステルスデストロイヤーの頭部の芯に吸い込まれていった。
「じゃ、私と阿頼耶ちゃんが前衛で左右やるから、中央お願いしますね、真昼ちゃん」
「は、はい! ラプラスさん!」
「頑張らないと食っちまいますわよ」
「貴方ガチでラプラスさん食ったから笑えないんですけど」
阿頼耶の冗談に風間が少し真面目に突っ込む。
「移動、開始」
陣形を整えて、全員一気に飛び出した。
現れるデストロイヤーをなぎ倒しながら、ラプラスは視線の端に一ノ瀬隊を捉える。良い連携だ。基礎能力が低いだけで、連携下手なわけでもないらしい。
それにアイリスディーナも即席編成による連携もSSSレギオンのメンバーだけあって、一ノ瀬隊を中心に据えつつも的確に支援をしている。愛花がややアイリスディーナの援護が過剰な気もするが、特に問題はないので黙って進む。
一ノ瀬隊は流石に余裕が出てきたのか雑談を初めている。
「風間さんって昔からの知り合いなんですか?」
「知り合いというか、様々な状況において公然のライバル扱いされてますわね」
「横浜衛士訓練校の至宝と言われる風間さんですが、それが一つとは限りませんから。あ、あと愛花さん。連戦で消耗しているからと気遣って頂いてますが私は大丈夫ですよ」
「……そのようですね。差し出がましい真似をしました」
ラプラスは愛花の変化を敏感に感じ取る。
(愛花ちゃんって確か、祖国と兄をファンバオに消されて祖国奪還のために幼稚舎から努力したけど風間ちゃんとかその他諸々で敗北して、一ノ瀬隊合流時は絶望してたよね。私の世界だと強化衛士手術とオーバードウェポンで宿敵ファンバオを破壊して希望を取り戻したけど、この世界の今の愛花ちゃんってもしかしてメンタルやばい?)
明らかに愛花の動きが悪いのは目に見えていた。その理由がわかるのはたぶん、すべてを知っているラプラスのみだろう。仲の良い葉風あたりは動きが悪いのには気付くだろうが、彼女のわだかまりを解決させるようには思えない。
「んー、んー、んー」
「どうされました、ラプラス様」
「ちょーっと背中が怖くなってきた」
悩むラプラスに阿頼耶が問いかける。返答と、得意の近接戦闘をしかけたのは同時だった。フェイントでステルスデストロイヤーの攻撃を誘発させて回避し、交差気味にブレードモードで胴体を切り裂く。
着地点に、周囲に居たミドル級が集ってくる。それを視認すると同時に、着地の衝撃を体の運動能力に変えていた。
伸縮する筋肉をあますことなく推力に変えて、すり抜けるようにデストロイヤーの間を抜けていく。
一閃、二刺突、三斬。
鍛えられたユニコーン戦術機による数撃がミドル級とスモール級を深く傷つけた。着地と同時に放たれた一柳隊の一斉射が、標的を空振りしたスモール級の群れに突き刺さっていく。
それをフォローするのはアイリスディーナ・クロノホルンだ。ラプラス阿頼耶一ノ瀬隊が撃ち漏らした敵の群れに対し、位置的に危険な個体から順に魔力の弾丸を叩き込んでいく。できるだけ弾を残すように。残弾を気にしながらの中距離からの射撃ではあるが、その的を外すことはなかった。
「――――反応も良し、照準にも問題はなし。戦闘度に精度が上がってるね」
ラプラスが呟く。
「そうなんですか?」
「そうなんですか、って阿頼耶ちゃん……ちょっとは考えやうよ。まあ、感覚9、理論1だろう阿頼耶ちゃんには些細な問題かもしれないけど」
その会話に食いついてきたのはアイリスディーナだった。
「感覚9、理論1というのは?」
「私達の世界で使われていた衛士を大まかに区分けする為の用語です。文字通りどっちを先に鍛えるか判別することで衛士の成長効率を上げることができます」
「なるほど、レギオンの方針ではなく個人技量を高めるための目安ですか」
「そういう、私達の世界の戦闘データを蓄積し、強い衛士育成や、過去の大規模戦闘でのデータ、状況ごとの最適な作戦を纏めたラプラスレポートというのがあるんですが、いります?」
「ぜひ!」
「あー、それじゃあ一旦休憩しますか。データ量も多いので。って団体さんの到着か。阿頼耶ちゃん、私についてきて」
「ああ! この私についてこれて当たり前みたいな雑な扱い! たまりません!!」
なんでもないように言いながら突進していくのはギガント級とラージ級の群れだ。やや敵の密度の高いそこは、シノアや梅の衛士でも必死の領域である。ラプラスと阿頼耶ははその場所に無造作に踏み入るように、体を走らせた。
「右から来ます!」
「了解、背面から横一列」
「よっと」
その声と共にラプラスはギガント級から放たれた一撃を回避する。見てからではぎりぎり回避できないぐらいの距離だったが、難なく袖にして過ぎると、着地した。高出力弾頭の発射体勢に入るが、阻むものはいない。着地した周囲には敵がいなかったからだ。
敵の群れの中に生まれている空隙の中心に当たり前のように在った。そして絶好の場所だと、至近距離から威力の高い高出力砲撃を叩き込んでいく。その一部には、ラージ級を貫通して後ろにいるギガント級に命中するものもあった。
「貫通射撃」
「どんな技術ですかそれ」
「魔力を集めてドン」
「ラージ級を貫通してギガント級にダメージを与える威力って……ラプラス様は流石ですね!」
「阿頼耶ちゃんは……射撃より斬撃かな。魔力を刀身に集中させて振り抜くいてみて」
「えっと、こう、ですか、ねッ!!」
ズドン!! と魔力の斬撃が飛び出して、目の前の敵を事も無げに切り裂いて巨大な爆炎を撒き散らした。
「え、阿頼耶ちゃんは斬撃なのに魔力爆発するの? なんで? こわ」
「え、やらせたのラプラス様ですよね!? 引かないでください!」
くしくも見晴らしの良い巨大な空白地帯ができたので、そこの中心で休憩することになった。
「さて、愛花ちゃんのメンタルケアしますか」
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