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異世界での選択肢②
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異世界型についての対応策として、ラプラス、特務02、特務03がそれぞれの訓練校を巡って一週間の教導を施すことに加えて、魔力を使わない通常兵器ならびに防衛隊の強化を行うことになった。
また特務04こと異世界の衣奈を筆頭とした異世界の住民の捜索も平行して行われることになった。
G.E.H.E.N.Aに関連する技術……もっといえば人造衛士や衛士爆弾など非人道的な技術は伏せられることになった。
また戦術機の技術は全ての企業に公開され、一部の企業が独占して利益を得るという事態も防いでいた。これも異世界由来であり、異世界では企業連合によってすべての企業の技術が統合されていたので、どこかの会社が不利益を被ることもない。
しかし第4世代戦術機は、強化衛士前提の部分があったので、この世界では量産されるのは先になるだろう。
「と、いうわけで、横浜衛士訓練校二年・異世界型デストロイヤー特別対策指導員として横浜衛士訓練校全体の指導を任された一ノ瀬真昼ことコールサインはラプラスと」
「その助手を務める斎藤阿頼耶よ。ラプラス様に色目使ったら潰すから」
「阿頼耶ちゃん最初から飛ばしていかないで」
ラプラスはそう言って、衛士訓練校の生徒達に挨拶をした。
「座学から入ろうか。まずは異世界型デストロイヤーについて」
異世界型デストロイヤー・スモール級
デストロイヤー群に於ける約6割を占める多足歩行種で、攻撃力や防御力は低いもののや対人探知能力にも優れる戦力の中核をなす種。
黄色のカマキリのような両腕と、膨れた背中がある。
頑強で鋭い二対の前腕を最大の武器としている。前肢はモース硬度15以上、例えるならダイヤモンド以上の硬度を持つ。俊敏であり、定常円旋回能力も高い。
異世界型デストロイヤー・ミディアム級
赤い穴の空いたデストロイヤー。防御結界を粉砕する強さを持つため、被弾した、あるいは多数のミディアム級に取りつかれて動けなくなった衛士もろとも「磨り潰される」。そのため「最も多くの衛士を殺したデストロイヤー」と言われている。
最大速度約80㎞/hに達する機動力の高さと極めて高い対人探知能力、そして数十から数百以上の群体で行動するという特徴から、近接戦闘は可能な限り回避することが推奨されている。
・防御力は低く、36㎜砲が有効。歩兵の重機関銃でも対処可能。
異世界型デストロイヤー・ラージ級
黄色の宇宙服のような体に、カプセルのような顔がついている。巨大化したため敏捷性は低下したが、照射されるレーザーの単純射程距離は1000km以上と、天候による減衰を期待できないほど出力が高まり、高度500mで低空飛行する標的に対しても約100㎞以上の有効射程距離を持つ。
異世界型デストロイヤー・ギガント級
黒い鎧と巨大な腕を持った人形の個体。
動作は比較的緩慢であり、対人探知能力も高くはない。しかし、攻撃力、防御力、耐久力いずれも高い。
打撃は高速列車の一撃にも勝るとも劣らないうえ、先端が鋭くなっているため殴れると衛士といえど串刺しとなる。
異世界型デストロイヤー・アルトラ級
人形の白い塔のような姿。
手は巨大で水かきのようなものがついている。
「ここまでは基礎知識。問題はこのデストロイヤーは数を成して攻めてくることにある。基本的な大規模侵攻を阻止する防衛戦。その段階は、4つに分けられていた。
第一段階は、地雷や機雷といった設置型爆弾で勢いを殺し。
第二段階は、海上艦艇による砲撃と、地上からの支援砲撃と、航空爆撃で少しでも敵を削る。
第三段階は、機甲部隊と戦闘ヘリによる攻撃でスモール級やミディアム級を狙い撃つ。
第四段階は、混戦になると予想される戦場へ、衛士を投入してラージ級およびギガント級を撃破する。この際、ラージ級によるレーザー攻撃が予想される場合は、囮を使いつつ少数精鋭の衛士が群れの中に突撃、ラージ級を撃破後に離脱後、支援攻撃という流れになる」
静まり返る講堂。
異世界デストロイヤーの異形さに言葉も出ないようだった。
「さて、ここからこの世界での戦術だが、基本的なことは変わらない。防衛軍の火力支援の後に衛士を投入、敵を撃滅する。しかし異世界型デストロイヤーはこちらの世界と違って強く硬く多い。そこで3レギオン1チームとして運用する。一度の戦闘で最大27人の衛士で敵を迎え撃つ。この形式上、外征はほぼ不可能となるが、数を減らして闇雲に戦力を減らすことは避けたい。他訓練校にも同様の進言して自身の拠点を守る体制を取ってもらう」
以上だ、その言葉を持って会議はお開きになった。詳細なデータがそれぞれの端末に送られ、ラプラスの世界の戦いのデータを閲覧できるようになっていた。
あとは基本的に自由だ。
自主訓練に勤しむもの、カフェテラスでお菓子を食べるもの、戦術について議論する者、様々だ。
「お疲れ様です、ラプラス様」
「阿頼耶ちゃん、あ、ケーキだ」
「良ければどうです?」
「ありがとう、頂くよ」
阿頼耶からケーキを受け取り、食べる。ケーキの甘い匂いと食感が、本当に味がするように感じられてラプラスは久々に懐かしい気持ちになった。
「ん、緊急連絡?」
『20時過ぎ、逗子近辺において横須賀方面から鎌倉方面へ物資搬送中の貨物列車に対してヒュージの群れによる強襲が発生。移動の同乗していた衛士が囮になって列車は鎌倉方面に脱出。ヒュージをひきつけた衛士・伊東閑は行方不明。一ノ瀬真昼および一ノ瀬隊はこれの救出ならびに捜索活動を提案』
「死んでるでしょ、これ」
デストロイヤーの大群に追いかけられて数時間でも持てば良い方だ。わざわざ捜索に行って被害を増やすわけにも行かない。
「阿頼耶ちゃん、この世界ってデストロイヤーの大群に終われ場合、生き残れるタイムリミットはどのくらいだと考える?」
「異世界型デストロイヤーでないのなら3日といったところでしょうか? 頭の良い衛士ならもっと行けると思います」
「3日か、異世界型デストロイヤーの出現はないから許可しても……よし、明日の朝、四時に仲間を助けに行くよ」
「えぇ!? はい、わかりました」
また特務04こと異世界の衣奈を筆頭とした異世界の住民の捜索も平行して行われることになった。
G.E.H.E.N.Aに関連する技術……もっといえば人造衛士や衛士爆弾など非人道的な技術は伏せられることになった。
また戦術機の技術は全ての企業に公開され、一部の企業が独占して利益を得るという事態も防いでいた。これも異世界由来であり、異世界では企業連合によってすべての企業の技術が統合されていたので、どこかの会社が不利益を被ることもない。
しかし第4世代戦術機は、強化衛士前提の部分があったので、この世界では量産されるのは先になるだろう。
「と、いうわけで、横浜衛士訓練校二年・異世界型デストロイヤー特別対策指導員として横浜衛士訓練校全体の指導を任された一ノ瀬真昼ことコールサインはラプラスと」
「その助手を務める斎藤阿頼耶よ。ラプラス様に色目使ったら潰すから」
「阿頼耶ちゃん最初から飛ばしていかないで」
ラプラスはそう言って、衛士訓練校の生徒達に挨拶をした。
「座学から入ろうか。まずは異世界型デストロイヤーについて」
異世界型デストロイヤー・スモール級
デストロイヤー群に於ける約6割を占める多足歩行種で、攻撃力や防御力は低いもののや対人探知能力にも優れる戦力の中核をなす種。
黄色のカマキリのような両腕と、膨れた背中がある。
頑強で鋭い二対の前腕を最大の武器としている。前肢はモース硬度15以上、例えるならダイヤモンド以上の硬度を持つ。俊敏であり、定常円旋回能力も高い。
異世界型デストロイヤー・ミディアム級
赤い穴の空いたデストロイヤー。防御結界を粉砕する強さを持つため、被弾した、あるいは多数のミディアム級に取りつかれて動けなくなった衛士もろとも「磨り潰される」。そのため「最も多くの衛士を殺したデストロイヤー」と言われている。
最大速度約80㎞/hに達する機動力の高さと極めて高い対人探知能力、そして数十から数百以上の群体で行動するという特徴から、近接戦闘は可能な限り回避することが推奨されている。
・防御力は低く、36㎜砲が有効。歩兵の重機関銃でも対処可能。
異世界型デストロイヤー・ラージ級
黄色の宇宙服のような体に、カプセルのような顔がついている。巨大化したため敏捷性は低下したが、照射されるレーザーの単純射程距離は1000km以上と、天候による減衰を期待できないほど出力が高まり、高度500mで低空飛行する標的に対しても約100㎞以上の有効射程距離を持つ。
異世界型デストロイヤー・ギガント級
黒い鎧と巨大な腕を持った人形の個体。
動作は比較的緩慢であり、対人探知能力も高くはない。しかし、攻撃力、防御力、耐久力いずれも高い。
打撃は高速列車の一撃にも勝るとも劣らないうえ、先端が鋭くなっているため殴れると衛士といえど串刺しとなる。
異世界型デストロイヤー・アルトラ級
人形の白い塔のような姿。
手は巨大で水かきのようなものがついている。
「ここまでは基礎知識。問題はこのデストロイヤーは数を成して攻めてくることにある。基本的な大規模侵攻を阻止する防衛戦。その段階は、4つに分けられていた。
第一段階は、地雷や機雷といった設置型爆弾で勢いを殺し。
第二段階は、海上艦艇による砲撃と、地上からの支援砲撃と、航空爆撃で少しでも敵を削る。
第三段階は、機甲部隊と戦闘ヘリによる攻撃でスモール級やミディアム級を狙い撃つ。
第四段階は、混戦になると予想される戦場へ、衛士を投入してラージ級およびギガント級を撃破する。この際、ラージ級によるレーザー攻撃が予想される場合は、囮を使いつつ少数精鋭の衛士が群れの中に突撃、ラージ級を撃破後に離脱後、支援攻撃という流れになる」
静まり返る講堂。
異世界デストロイヤーの異形さに言葉も出ないようだった。
「さて、ここからこの世界での戦術だが、基本的なことは変わらない。防衛軍の火力支援の後に衛士を投入、敵を撃滅する。しかし異世界型デストロイヤーはこちらの世界と違って強く硬く多い。そこで3レギオン1チームとして運用する。一度の戦闘で最大27人の衛士で敵を迎え撃つ。この形式上、外征はほぼ不可能となるが、数を減らして闇雲に戦力を減らすことは避けたい。他訓練校にも同様の進言して自身の拠点を守る体制を取ってもらう」
以上だ、その言葉を持って会議はお開きになった。詳細なデータがそれぞれの端末に送られ、ラプラスの世界の戦いのデータを閲覧できるようになっていた。
あとは基本的に自由だ。
自主訓練に勤しむもの、カフェテラスでお菓子を食べるもの、戦術について議論する者、様々だ。
「お疲れ様です、ラプラス様」
「阿頼耶ちゃん、あ、ケーキだ」
「良ければどうです?」
「ありがとう、頂くよ」
阿頼耶からケーキを受け取り、食べる。ケーキの甘い匂いと食感が、本当に味がするように感じられてラプラスは久々に懐かしい気持ちになった。
「ん、緊急連絡?」
『20時過ぎ、逗子近辺において横須賀方面から鎌倉方面へ物資搬送中の貨物列車に対してヒュージの群れによる強襲が発生。移動の同乗していた衛士が囮になって列車は鎌倉方面に脱出。ヒュージをひきつけた衛士・伊東閑は行方不明。一ノ瀬真昼および一ノ瀬隊はこれの救出ならびに捜索活動を提案』
「死んでるでしょ、これ」
デストロイヤーの大群に追いかけられて数時間でも持てば良い方だ。わざわざ捜索に行って被害を増やすわけにも行かない。
「阿頼耶ちゃん、この世界ってデストロイヤーの大群に終われ場合、生き残れるタイムリミットはどのくらいだと考える?」
「異世界型デストロイヤーでないのなら3日といったところでしょうか? 頭の良い衛士ならもっと行けると思います」
「3日か、異世界型デストロイヤーの出現はないから許可しても……よし、明日の朝、四時に仲間を助けに行くよ」
「えぇ!? はい、わかりました」
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