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104話 最終話

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地響きとともに姿を現した地悟空の下半身には大蛇の姿。

「我は地底の王、地悟空だ。お前達さえいなくなればこの世界は我のもの。全員消し去ってくれるわ」

「地獄殺法・獄撃尾」

地悟空は大きなしっぽを振り回して、みんなを吹き飛ばした。

「ウワッ!なんてパワーだ!!」

俺が地悟空のパワーに圧倒されている時、テウスは魔力を最大限高めていた。

「今度はこっちの番」

「星辰魔法・超究極奥義・ダブルドラゴンメテオ」

空から降り注ぐ数多の流星は赤と青の龍星になって地悟空に降り注いだ。

「効かぬわっ!!」

地悟空は腕を振り回してダブルドラゴンメテオを振り払う。

「ならばこれを受けてみるがいい!」

「北辰剣・龍の型・天王大帝剣」

マリアの剣は龍の斬撃となって地悟空に襲いかかったが、地悟空は尻尾でかき消した。

「無駄だ!」

「地獄殺法・獄爪撃」

地悟空はマリア目掛けて腕を振り下ろし引っ掻いてきた。

「危ない!!」

「獅子の舞・獅子旋風剣」

白き光の刃が地悟空の腕に重い一撃を喰らわし、間一髪のところでマリアに当たる事はなかった。

「無駄だ、無駄だ、無駄だ!!」

「地獄殺法・獄蓮華」

地悟空は辺り一面に地獄の花を咲かせた。地獄の花はフワフワと空中を漂っている。

「一体何をするつもりだ!」

「地獄殺法・煉獄殺」

獄蓮華の花は激しく燃え上がり爆発していき、みんな吹き飛ばされ満身創痍の状態に陥った。

「これでまだ生きているとはしぶといな!次でトドメだ!!」

「そうはさせない!!」

トリスは傷だらけになりながらも立ち上がり、構えた。

「この技を使えば俺はもうニンゲンではなくなるだろう。テウス、アルファ、マリアの事は頼んだぞ!」

「トリス、何をするつもりだ!!」

「風水拳・人門・龍人変化」

俺は龍の姿になった。

「人門は裏鬼門、新たな門は開かれる」

「風水拳・裏鬼門・龍鬼人変化」

俺は龍と鬼が交わる姿になった。

「この姿が龍の本当の姿。鬼を伝えるものは魂、龍の魂は龍玉。龍の王とは龍と鬼が交わる時、現れる王の龍にして応龍。それは黄龍の事だ!」

俺は黄金の光を発し始める。

「風水拳・最終奥義・黄龍拳」

黄金色の光を発する俺は地悟空の体を突き破った。

「ば、バカな!我が敗れるとは・・・」

地悟空の意識がなくなりかけた時、大蛇は地悟空から分離して本当の姿をあらわにした。

「今だ!」

「風水拳・四門・輪廻天晴拳」

トリスは地悟空の身体にそっと触れると地悟空の身体は眩しい光に覆われて消滅。

すると本当の姿をあらわにした大蛇は身体を起こし始めた。

「獣にして獣にあらず、虫にして虫にあらずの醜い私は神に見捨てられた者。私のこの姿を見て生きているのは誰一人としていない。私は蛇鬼の特殊個体『イワナーガ』。全てのものは石となり朽ち果ててしまえ」

「イワナーガよ、もう争いはやめよう。お前の事は俺が愛で包み込んでやる」

トリスはそっとギューとイワナーガを抱きしめた。

「はなせ!何をするつもりだ!!」

イワナーガは暴れて解こうとするがトリスは動じる事なく抱きしめ続けた。

「イワナーガよ、この俺の温もりを感じる事が出来るか?」

「はなせ!はなせ!!はなせ!!!」

イワナーガは暴れ続けた。

「マリア、俺ごとイワナーガと一緒に斬ってくれ!そうすればイワナーガの魂も救われ、世界も救われる」

「そんな事出来ないわ!」

マリアは涙を流しながら拒んだ。

「イワナーガは悲しみを抱えた存在だ。イワナーガだけ倒しても何も変わらない。また新たな悲しき存在が生まれるだけだ。この因果を変えるのは俺にしか出来ない事だ」

「そ、そんな・・・」

「お腹の子を大事に育ててくれ。今までありがとうマリア」

俺はイワナーガを抱きしめたまま、アイテム収納から真の賢者の石『マルチナ・ストーン』を取り出した。

「これで世界は新たな秩序を取り戻す」

マルチナ・ストーンは黄金色に輝き始めた。

「マリア、後の事は頼んだぞ」

「わかったわ」

「星の型・7つ星・七天大星剣」

イワナーガの体はトリスの体共々左右真っ二つに切り裂かれた。

「この私が死ぬだと・・・」

イワナーガの体はトリスの体と共に消滅した。

「トリス・・・・・愛してるわ」

長きにわたる戦いは終わりを迎え、世界は新たな秩序に変わり、平和な世の中になった。

~~~
時は流れ。

テウスは世界を救った英雄を祭るためといって神社をあちこちに建てるようになった。

神社には牛と獅子をかたどる狛犬が置かれ、鳳凰を表す2本の灯籠。手を洗う所には龍が置かれ、社には三位一体のサルが置かれるようになった。

「トリス兄ちゃん、あの世でも元気にしてるのかな・・・僕は頑張っているよ・・・神の住む社・・・ネ(しめすへん)に申(サル)で神様・・・神様はサルを示す・・・精神世界で生きるトリス兄ちゃん、いつでもこっちに遊びに来てもいいんだからね・・・」

テウスは一粒の涙を流していた。


~~~

「オギャー、オギャー、オギャー」

「マリア、元気な赤ん坊よ。名前を決めないといけないね」

「あなたの名前はキリス。神の子キリス」

「キリス・・・素敵な名前ね」


~~~

「アルファよ、これから先の未来、月の時代において風が吹く時、世界が乱れるだろう・・・その時はまた救世主を助ける役目をお願いじゃ・・・ワシはそろそろ眠りにつくとしよう・・・」

「じいちゃん、後の事は任せてゆっくり眠って・・・」


~~~
キリスが生まれてから2000年後の未来。

「ねえねえ、知ってる?」

「何?」

「明治維新で漢字はいろいろ変わったんだって。それでね、間っていう文字は昔は閒という文字だったらしいよ」

「そうなんだ!」

「月の門を開ける人で人閒」

「月の門を開けるニンゲンねぇ」


~~~

あなたには満月の夜、月の上に立つ龍は見えますか・・・あなたにももうじきその時が来るかもしれませんね・・・



~ 完 ~



★★★★★★★★★


最後までお付き合いいただきありがとうございました。

どんな感想でも、そのコメントは創作活動の励みになります。よろしくお願いします。




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感想 3

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みんなの感想(3件)

瑠璃垣玲緒
2022.12.09 瑠璃垣玲緒

誤字脱字報告

31話
国王の間に通さると
→通されると

時々難しい表現(説明)があるけど、
話しそのものは面白いので楽しみです

鳥山正人
2022.12.09 鳥山正人

脱字報告ありがとうございます。

修正いたしました。

引き続きお楽しみください。

解除
ひっぽちゃん

63話まで楽しく読ませていただきました。
本当はもう少し話が進んで、切りが良いところで感想を書くつもりでしたが、勢いで単話の感想を先に書いてしまったので、全体の感想を書かせていただきます。

誰もが持っているはずのスキルを一つしかもらえなかった主人公が、20年以上努力して、つかんだチート。
かなり急にチートが発動したけど、努力しても無駄と思いながら、堅実にコツコツとレベルあげを行ったからこそだと思いますし、そんな主人公は尊敬に値します。
まだまだ、強い敵が現れると思いますが、頑張って欲しいです。

短い期間に大量投稿、嬉しく読ませていただいていますが、無理せず、途中で絶筆などせず、着実にラストまでお願いいたします。
期待しています。

鳥山正人
2022.12.08 鳥山正人

ご感想ありがとうございます。

引き続きお楽しみください。

解除
ひっぽちゃん

47話のリンゴ娘のくだり、思わずクスッとしてしまいました。
彩香、王林、ジョナゴールド、とき。
今年りんご娘を卒業した4人の名前を使うとは。

鳥山正人
2022.12.08 鳥山正人

リンゴ娘のくだりは、リンゴの種類をいろいろ検索していた時、偶然リンゴ娘のメンバーの種類になりました。

ちなみにリンゴのトキは王林とふじのかけ合わせで出来た品種です。

解除

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