49 / 88
49話
しおりを挟む
高級な宿屋はすごかった。フカフカのベッドは寝心地が良く、ちょっと仮眠のつもりでゆっくりしていたら寝坊した。
ヤバイ、やってしまった。
バタバタと慌てながらボクは急いで龍理人タキアさんの元へ向かった。
ふっー、ギリギリ大丈夫かな・・・
予定時間になんとか間に合ったが、アラタさんは先に着いていた。
「遅くなりました」
「大丈夫ですよ。本日はごゆっくりお過ごしください」
女将さんに案内されて席に座って、アラタさんと少し話をしていると一品目の料理が出てきた。一品目の料理はいつものように超フワフワの卵焼き。
お店にバタバタして来た事もあって落ち着こうと思いながら卵焼きに箸を伸ばす。
一口食べると口の中で溶けるように滑らかな食感。
何度食べても何回も食べたいと思うほど丁寧な仕事ぶりがこの一品だけでわかる。
そんな料理が次々と出てくる。
「お二人は明日ドラゴン討伐に行くということなので、今日は特別な料理をご用意しました」
きたーーーーー
「これからドラゴンの肉を目の前で仕上げいたしますね」
普通ドラゴンの肉は固くて食べにくいため、細切れにしてハンバーグにして食べる。
そんなドラゴンの肉を目の前で仕上げするって何をするんだろう・・・
ドンっという音とともにタキアさんはドラゴンの生肉をまな板に乗せる。
えっ、生肉・・・
そして取り出した魔王の柳葉包丁。
ここで使うのか・・・
ちらりとアラタさんを見ると「えっ」と小さく呟いて驚いている。
サプライズ成功だな。そしてそのおかげでなんかすごい料理を食べれそうだな。
タキアさんは魔王の柳葉包丁を使い、ドラゴンの生肉に丁寧に何度も何度も隠し包丁を入れながら、薄切りにしていく。
「お待たせいたしました。ドラゴン肉の刺し身になります」
ドラゴン肉は固すぎて噛み切れないため、叩き潰してミンチにしてハンバーグにする料理以外は聞いた事がなかった。
初めての料理を食べれる。なんて幸せな事なんだろうか・・・
ドラゴン肉の刺し身を1枚すくい上げて口に運ぶ。
隠し包丁を入れているおかげで固い肉は適度なコリコリとした食感となり、噛むたびにドラゴン肉の旨みが出てくる。
「美味い」
「ありがとうございます。この料理を出来たのはホクトさんのおかげです。おかげで新たなドラゴン肉の調理法を見つける事が出来ました」
「こちらこそ新しい料理を食べれて幸せです」
「そんな事を言ってもらえるのは料理人として幸せな事です。魔王の柳葉包丁ありがとうございました」
タキアさんはボクに魔王の柳葉包丁を渡してきた。
「そしてホクトさんにはお願いがあるのですが少しお話し聞いていただけますか」
タキアさんがボクにお願い・・・
「まだ少し先の話ですが、最高の龍理人を決める大会があります。今まで私はこの大会には参加しなかったのですが今回の大会はホクトさんのお力があれば、龍理人のトップ5しか名乗れない五龍になれるかもしれないと思っています」
料理人の最高峰、龍理人。
その龍理人の中で最高を表す称号、五龍。
トップオブトップ、黄龍。
固いドラゴン肉を豆腐のように切り刻む最高の剣術龍理人、白龍。
叩く事によって固いドラゴン肉をふんわりとした肉に変える最高の打撃龍理人、黒龍。
圧倒的な超高火力でドラゴン肉の旨みを一気に閉じ込める最高の魔術龍理人、赤龍。
医食同源、ドラゴン肉で欠損した肉体を再生出来る最高の回復龍理人、青龍。
タキアさんが五龍を目指す。それにボクの力が必要。必要とされるのであればボクはいく。
「ボクで良かったら力をお貸しします」
「ありがとうございます。それでは本日はありがとうございました」
タキアさんの料理を食べて明日への活力をもらえた。
いよいよ明日は烈火ドラゴンとの勝負だ。
ヤバイ、やってしまった。
バタバタと慌てながらボクは急いで龍理人タキアさんの元へ向かった。
ふっー、ギリギリ大丈夫かな・・・
予定時間になんとか間に合ったが、アラタさんは先に着いていた。
「遅くなりました」
「大丈夫ですよ。本日はごゆっくりお過ごしください」
女将さんに案内されて席に座って、アラタさんと少し話をしていると一品目の料理が出てきた。一品目の料理はいつものように超フワフワの卵焼き。
お店にバタバタして来た事もあって落ち着こうと思いながら卵焼きに箸を伸ばす。
一口食べると口の中で溶けるように滑らかな食感。
何度食べても何回も食べたいと思うほど丁寧な仕事ぶりがこの一品だけでわかる。
そんな料理が次々と出てくる。
「お二人は明日ドラゴン討伐に行くということなので、今日は特別な料理をご用意しました」
きたーーーーー
「これからドラゴンの肉を目の前で仕上げいたしますね」
普通ドラゴンの肉は固くて食べにくいため、細切れにしてハンバーグにして食べる。
そんなドラゴンの肉を目の前で仕上げするって何をするんだろう・・・
ドンっという音とともにタキアさんはドラゴンの生肉をまな板に乗せる。
えっ、生肉・・・
そして取り出した魔王の柳葉包丁。
ここで使うのか・・・
ちらりとアラタさんを見ると「えっ」と小さく呟いて驚いている。
サプライズ成功だな。そしてそのおかげでなんかすごい料理を食べれそうだな。
タキアさんは魔王の柳葉包丁を使い、ドラゴンの生肉に丁寧に何度も何度も隠し包丁を入れながら、薄切りにしていく。
「お待たせいたしました。ドラゴン肉の刺し身になります」
ドラゴン肉は固すぎて噛み切れないため、叩き潰してミンチにしてハンバーグにする料理以外は聞いた事がなかった。
初めての料理を食べれる。なんて幸せな事なんだろうか・・・
ドラゴン肉の刺し身を1枚すくい上げて口に運ぶ。
隠し包丁を入れているおかげで固い肉は適度なコリコリとした食感となり、噛むたびにドラゴン肉の旨みが出てくる。
「美味い」
「ありがとうございます。この料理を出来たのはホクトさんのおかげです。おかげで新たなドラゴン肉の調理法を見つける事が出来ました」
「こちらこそ新しい料理を食べれて幸せです」
「そんな事を言ってもらえるのは料理人として幸せな事です。魔王の柳葉包丁ありがとうございました」
タキアさんはボクに魔王の柳葉包丁を渡してきた。
「そしてホクトさんにはお願いがあるのですが少しお話し聞いていただけますか」
タキアさんがボクにお願い・・・
「まだ少し先の話ですが、最高の龍理人を決める大会があります。今まで私はこの大会には参加しなかったのですが今回の大会はホクトさんのお力があれば、龍理人のトップ5しか名乗れない五龍になれるかもしれないと思っています」
料理人の最高峰、龍理人。
その龍理人の中で最高を表す称号、五龍。
トップオブトップ、黄龍。
固いドラゴン肉を豆腐のように切り刻む最高の剣術龍理人、白龍。
叩く事によって固いドラゴン肉をふんわりとした肉に変える最高の打撃龍理人、黒龍。
圧倒的な超高火力でドラゴン肉の旨みを一気に閉じ込める最高の魔術龍理人、赤龍。
医食同源、ドラゴン肉で欠損した肉体を再生出来る最高の回復龍理人、青龍。
タキアさんが五龍を目指す。それにボクの力が必要。必要とされるのであればボクはいく。
「ボクで良かったら力をお貸しします」
「ありがとうございます。それでは本日はありがとうございました」
タキアさんの料理を食べて明日への活力をもらえた。
いよいよ明日は烈火ドラゴンとの勝負だ。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位
あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!
リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。
聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。
「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」
裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。
「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」
あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった!
、、、ただし責任は取っていただきますわよ?
◆◇◆◇◆◇
誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。
100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。
更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。
また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。
更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる