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32話

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あれから1時間は戦っているのだろうか。

3分戦い1分休むを繰り返しながら戦っているが、相手も完全にガードをしているため決定打になるような攻撃を与えられていない。

お互い疲れを見せる事なく戦い続ける。

カンッ

審判が胸のヒエイ石を叩きゴングを鳴らす。

1分の休憩だ。ボクはこの1分の休みに呼吸を整えて、ブルームーンハニーの目薬を差す。

3分の間フルで鑑定眼を使い続けているため、すぐに目が疲れてくるがその度に回復して戦いを続ける。

そろそろ1分間の休憩が終わりを迎える時、左目が熱くなってきた。

いくらブルームーンハニーの目薬で疲れをとってもそろそろ限界なのか・・・ここで負けるわけにはいかない!

カンッ

再び戦いのゴングが鳴り響く。

鑑定眼・開眼で常にボス猿のイヒヒヒの筋肉の一つ一つの動きをしっかりと見る事によって相手の動きを読む。

左のジャブからの右フック、からの左フック、そして右アッパー。

全てをガードをする。

こちらも左右連打の反撃のシールドバッシュ。

しかしそれは全てガードされる。

ウッ

だんだんと左目が熱くなってくる。

まだまだボクはやれる。

それからさらに1時間が経過した。

カンッ

休憩のゴングだ。

ブルームーンハニーの目薬を差すと目の疲れは取れるが左目の熱さはどんどん激しくなっている。

もうここまでか・・・

終わりの見えない戦いに心が折れかける。

イヤ、諦めたらそこで試合は終了だ!!

その時、何か不思議な感覚に襲われる。レベルアップの前に訪れる感覚に似た感覚だがどこか違う感じ。

カンッ

戦いのゴングが鳴り響く。

ボス猿のイヒヒヒも何か感じとったのだろうか、さっきより攻撃が激しくなっている。

左フック、右フックの連打はやがて無限の8の字を描くように激しい連打になる。

今までで1番の激しい強さの連打に腕が持っていかれそうになり、だんだんボクのガードも崩れてくる。

ヤバイよ、ヤバイよ

その時、左目の熱さは最高潮を迎える。

あるシーンが見えてきた。ボクとボス猿のイヒヒヒが戦っているシーンだ。

8の字を描く連打でボクのガードが崩れた時にボス猿のイヒヒヒがフィニッシュブローの右ストレートを放つ。

これは一体・・・

そして激しい連打でボクのガードもイヒヒヒの左フックで完全に崩される。

右ストレートのフィニッシュブローがくる!!

「ホクト流回避術・龍天の無盾」

崩れた体勢ながらもボクは右ストレートを当たるか当たらないかのギリギリのところで躱して反撃の一撃を放つ。

その一撃は浅く当たったがボス猿のイヒヒヒをダウンさせるだけの威力はあったみたいだ。

ボス猿のイヒヒヒは必死に起き上がろうとしているが
立てないでいる。

審判がボクに近寄り右手を上げる。どうやらボクの勝ちのようだ。

悔しそうに立ち上がったボス猿のイヒヒヒは握手を求めてきたので握手をする。

握手した事によってボクの目の前には胸にある大きな大きなヒエイ石が目に入ってくる。

これがヒヒイロの鐘・・・

そして負けたボス猿のイヒヒヒは胸のヒエイ石を取り出した。

長き戦いが終わった事もあり、ドキドキしてきた。

と思っているとボス猿は取り出したヒエイ石を地面に置いて力強く叩き出した。

カーン、カーン、カーン

ちょっと、ちょっとそんなに強く叩いたら壊れるじゃん・・・

カーン、カーン、カーン

大きな大きなヒエイ石は綺麗な音色を響かせる。

綺麗な音色だ・・・もしやこれがヒヒイロの鐘・・・

そして叩かれた大きな大きなヒエイ石は形を変えて、親指ほどの大きさになりピラミッドを二つ組み合わせたような形、正八面体となった。

これは・・・Dの石・・・ドラゴンストーンだ!!!
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