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19話
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タキアさんが奥の厨房に行くとラオさんが鍛治勇者のゼロさんに話しかけた。
「本日はお越しくださりありがとうございます」
「さすがのオレでも龍理人の料理が食べられるのであれば、忙しくて来るぞ」
「こんなに美味しい料理であれば誰でも来ますよね。だからゆっくりと話できるようにゼロさんを呼ばさせていただきました。さていきなり本題に入りますが、マサカリカツイダベアの爪の加工をお願いしていた件ですがよろしいでしょうか?」
「あぁ、問題ない。聞いたところによると単騎討伐だったそうだな。これからはアラタさんにマサカリカツイダベアの討伐を頼めるのであれば、オレとしても楽になるからむしろやらせてくれっていう感じだ」
「ありがとうございます。ついでと言ってはなんですが、左手の小さな爪の方から短剣も作ってもらえないでしょうか?」
「ん?まぁ別に構わないが・・・普通は小さい方は斧の厚みのある刀身を生かして出刃包丁にするんだがな」
「短剣とは言いましたが出刃包丁でいいですよ。使う人はここにいるホクトさんですから」
・・・えっ、ボクの事呼んだ?弱肉強食おにぎりに夢中でほとんど話聞いてなかったよ・・・おにぎり美味しい。
「先遣調査員でマサカリカツイダベアの短剣とはずいぶんコイツの肩を持つんだな。初めて会った時もそうだったがなんでコイツの事をそんなに買っているんだ?」
「それはホクトさんが勇者だからですよ。ただそれだけです。アラタさんが単騎討伐出来たのもホクトさんのマーキングのおかげですし」
「・・・そうか、思い出した。ハズレ勇者、二刀流の盾の鑑定士はオマエだったのか」
おにぎり美味しい・・・ってまた呼ばれたみたいだな。
「えっ、あっ、はい」
「・・・そうか・・・マサカリカツイダベアにマーキングするという事はそれなりの実力があるんだな。もしよければ今のスキルレベルを教えてくれないか?」
な、なんなんだろういきなり・・・
「えっ、えーーと、盾のスキルレベルが4で二刀流のスキルレベルは2、鑑定士のスキルレベルも2です」
「ハァ?そのスキルレベルでどうやってマサカリカツイダベアとやり合っているんだ?」
もう、なんなの?おにぎりゆっくり食べさせてよ
「盾を両腕に装備していると、二刀流スキルが発動して防御力が2倍になるから、そのおかげでやり合えているだけです」
「ん?そうかそうか。二刀流スキルは盾術スキルを持っていれば盾でもいけるんだな。それなら早く二刀流スキルを3に上げる事だな。3になれば劇的に変わるぞ。そうなればドラゴン相手でもやり合えるはずだ」
ド、ドラゴン・・・このボクがドラゴンを相手にする・・・
「二刀流は最高レベルの5まで上げると龍絶技・二頭龍になる。そこまでいくとまた新たな一面を見せる事になる。同じ二刀流スキルを持つ者同士これから仲良くやっていこうぜ」
ど、どうしたんだろう、急にこんな事言いだすなんて。
「二刀流スキルを単独で持っているやつなんて誰もいない。だからこのスキルについて共感できるやつが少ないんだ」
あっ、これは心の叫びってやつだな。
「今後ともよろしくお願いします」
奥の厨房からタキアさんが次の料理を持ってきた。
「お待たせしました。ちょっと話が聞こえたのですが、マサカリカツイダベアの出刃包丁を作るそうですね。私も一本欲しいのですがなんとかなりませんかね?」
待ってましたと言わんばかりにラオさんが口を開く。
「そのくらいなら大丈夫ですよ。ここの料金サービスしてくれるならね」
ニコッとアラタさんの方を向いて微笑むラオさん。対照的に苦笑いしているアラタさん。
「本来なら1人1000万ですが、今日だけ特別に1人100万でいいですよ。食材も本来なら違法スレスレの感じでタダでいただいておりますので、今日だけはこのくらいの料金で大丈夫です」
その言葉を聞いてめちゃくちゃ笑顔になるアラタさんだった。
っていうか超高額って聞いていたけど、ここまで高いんだね・・・
そして次に運ばれてきた料理はオオイシ鳥の焼き鳥だった。
でも普通の焼き鳥とは違いひと口ひと口で味付けが違う丁寧な仕事。
いっぺんに食べても全ての味が調和されて無限に食べれる奥行きのある味わい。
出される料理をゆっくりと味わいながら幸せなひと時を過ごしていたが、終わりは近づいてくる。
最後のデザートが出てきた。
デザートはドラゴンパッションの実を入れたアイスクリーム。
爽やかな味が口いっぱいに広がるとともに今日食べた全ての料理の記憶がよみがえってくる。
料理が切り替わる度に口直しにドラゴンパッションの木から作った龍の情熱水を飲んでいたからだ。
口の中はスッキリとした状態で今日食べた料理の記憶が幸せの時間を反すうさせる・・・おにぎり美味しい・・・
「今日はごちそうさまでした。また近いうちに来させていただきます」
ラオさんが締めの挨拶をする。
「前に来たのは15年ほど前だったからね。まあ気長に待っていますよ。本日はありがとうございました」
15年前といえばボクの両親が亡くなったあたりだな。あの時にラオさんにとっても何かあったのだろうか・・・
「それではまた」
アラタさんとゼロさんと別れて、ボクとラオさんはギルド職員が住む宿舎に戻っていった。
「本日はお越しくださりありがとうございます」
「さすがのオレでも龍理人の料理が食べられるのであれば、忙しくて来るぞ」
「こんなに美味しい料理であれば誰でも来ますよね。だからゆっくりと話できるようにゼロさんを呼ばさせていただきました。さていきなり本題に入りますが、マサカリカツイダベアの爪の加工をお願いしていた件ですがよろしいでしょうか?」
「あぁ、問題ない。聞いたところによると単騎討伐だったそうだな。これからはアラタさんにマサカリカツイダベアの討伐を頼めるのであれば、オレとしても楽になるからむしろやらせてくれっていう感じだ」
「ありがとうございます。ついでと言ってはなんですが、左手の小さな爪の方から短剣も作ってもらえないでしょうか?」
「ん?まぁ別に構わないが・・・普通は小さい方は斧の厚みのある刀身を生かして出刃包丁にするんだがな」
「短剣とは言いましたが出刃包丁でいいですよ。使う人はここにいるホクトさんですから」
・・・えっ、ボクの事呼んだ?弱肉強食おにぎりに夢中でほとんど話聞いてなかったよ・・・おにぎり美味しい。
「先遣調査員でマサカリカツイダベアの短剣とはずいぶんコイツの肩を持つんだな。初めて会った時もそうだったがなんでコイツの事をそんなに買っているんだ?」
「それはホクトさんが勇者だからですよ。ただそれだけです。アラタさんが単騎討伐出来たのもホクトさんのマーキングのおかげですし」
「・・・そうか、思い出した。ハズレ勇者、二刀流の盾の鑑定士はオマエだったのか」
おにぎり美味しい・・・ってまた呼ばれたみたいだな。
「えっ、あっ、はい」
「・・・そうか・・・マサカリカツイダベアにマーキングするという事はそれなりの実力があるんだな。もしよければ今のスキルレベルを教えてくれないか?」
な、なんなんだろういきなり・・・
「えっ、えーーと、盾のスキルレベルが4で二刀流のスキルレベルは2、鑑定士のスキルレベルも2です」
「ハァ?そのスキルレベルでどうやってマサカリカツイダベアとやり合っているんだ?」
もう、なんなの?おにぎりゆっくり食べさせてよ
「盾を両腕に装備していると、二刀流スキルが発動して防御力が2倍になるから、そのおかげでやり合えているだけです」
「ん?そうかそうか。二刀流スキルは盾術スキルを持っていれば盾でもいけるんだな。それなら早く二刀流スキルを3に上げる事だな。3になれば劇的に変わるぞ。そうなればドラゴン相手でもやり合えるはずだ」
ド、ドラゴン・・・このボクがドラゴンを相手にする・・・
「二刀流は最高レベルの5まで上げると龍絶技・二頭龍になる。そこまでいくとまた新たな一面を見せる事になる。同じ二刀流スキルを持つ者同士これから仲良くやっていこうぜ」
ど、どうしたんだろう、急にこんな事言いだすなんて。
「二刀流スキルを単独で持っているやつなんて誰もいない。だからこのスキルについて共感できるやつが少ないんだ」
あっ、これは心の叫びってやつだな。
「今後ともよろしくお願いします」
奥の厨房からタキアさんが次の料理を持ってきた。
「お待たせしました。ちょっと話が聞こえたのですが、マサカリカツイダベアの出刃包丁を作るそうですね。私も一本欲しいのですがなんとかなりませんかね?」
待ってましたと言わんばかりにラオさんが口を開く。
「そのくらいなら大丈夫ですよ。ここの料金サービスしてくれるならね」
ニコッとアラタさんの方を向いて微笑むラオさん。対照的に苦笑いしているアラタさん。
「本来なら1人1000万ですが、今日だけ特別に1人100万でいいですよ。食材も本来なら違法スレスレの感じでタダでいただいておりますので、今日だけはこのくらいの料金で大丈夫です」
その言葉を聞いてめちゃくちゃ笑顔になるアラタさんだった。
っていうか超高額って聞いていたけど、ここまで高いんだね・・・
そして次に運ばれてきた料理はオオイシ鳥の焼き鳥だった。
でも普通の焼き鳥とは違いひと口ひと口で味付けが違う丁寧な仕事。
いっぺんに食べても全ての味が調和されて無限に食べれる奥行きのある味わい。
出される料理をゆっくりと味わいながら幸せなひと時を過ごしていたが、終わりは近づいてくる。
最後のデザートが出てきた。
デザートはドラゴンパッションの実を入れたアイスクリーム。
爽やかな味が口いっぱいに広がるとともに今日食べた全ての料理の記憶がよみがえってくる。
料理が切り替わる度に口直しにドラゴンパッションの木から作った龍の情熱水を飲んでいたからだ。
口の中はスッキリとした状態で今日食べた料理の記憶が幸せの時間を反すうさせる・・・おにぎり美味しい・・・
「今日はごちそうさまでした。また近いうちに来させていただきます」
ラオさんが締めの挨拶をする。
「前に来たのは15年ほど前だったからね。まあ気長に待っていますよ。本日はありがとうございました」
15年前といえばボクの両親が亡くなったあたりだな。あの時にラオさんにとっても何かあったのだろうか・・・
「それではまた」
アラタさんとゼロさんと別れて、ボクとラオさんはギルド職員が住む宿舎に戻っていった。
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