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第6章 聖なる子ども
80話
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私の名前は亀梨マリナ。魔法使いクランでは2番手と言われるアマゾネスポワールのリーダーを務めている。
昨日の太陽の塔攻略の時にアイナに言われた一言で、私が甘い考えをしていた事に気付かされた。
~~~
「ねぇ、マリナ。ハヤトくんのあの感じだと、きっとマリナに告白しようとしてるよね?」
「う、うん。私もそう思ってる」
「ハヤトくんがマリナの事を選んだのなら、私はそれに関しては何も言わないわ。でもね…」
「何?」
「マリナは最近ハヤトくんに甘え過ぎてるところあるんじゃないの?」
「どういう事?」
「私達はハヤトくんのおかげで今トップを走る事が出来てるのはわかってるよね?」
「うん」
「このトップっていうのはリュウイチ様やコジロウさんよりも上って事。でも私達の実力は全然でしょ?実力的には2番手でもハヤトくんのおかげでトップに立てている事を忘れて、実力でトップに立つ努力をしなくなっているような気がするわ」
~~~
あの時、私はアイナに言われて、ハッとした。たしかにハヤトくんに好意を持たれている事をわかった上でハヤトくんに甘えていた所もあったと思う。
だから太陽の塔の攻略の時に頑張ろうと思ったけど、空回りして終わり。結果を見ると、ナルミより後の実質最下位で太陽の塔の攻略を終えた。
次こそはと思って、不思議の国でも頑張ろうとしたけど空回り。ハヤトくんに良いところを見せる事が出来なかった。
だからなのかな。昨日の帰り際、私の方を見る事なくハヤトくんは帰ってしまった。
もしかして嫌われちゃったのかな………
「ねぇ、今日ハヤトくん来るの遅くない?」
「そうですね。いつもならもうとっくに来ていてもおかしくない時間ですね」
「そうだね……」
「そういえばさ、なんであの時ハヤトくんは先に今際の国に行こうと思ってるって言ったんだろ?」
「そう言われるとそうですね。レミさんを見返す事に夢中になっていて、私もそこまで頭が回っていませんでした」
「ねぇ……もしかして今日ハヤトくんがここに来ないのって、私達のせいなのかな?」
「ハヤトさんの段取りを無視したあげく、レミさん達に負けた私達にムカついたって事ですか?」
「そうそう。レミにも言われた通り、多分チヅルと一緒だったらレミ達に負ける事はなかったのに、私達が無理を言ってハヤトくんを連れ出したせいで、段取りも悪くなったし、レミ達の勝負にも負けてしまった」
「ハヤトさんはそんな人じゃないと思いますけど……」
「っていうかメリーさ、昨日ハヤトくんに対して結構ひどい事言ってたよ」
「えっ、私がですか?」
「ポンコツで男らしくないって言ってたよ」
「あっ………あっ、でもあれはあれですよ。ほら、その………」
「ガツガツしたオレ様系の人が男らしいっていうならハヤトさんは男らしいとは言いませんよね。でもみなさんはそういうオレ様系の人は嫌いですよね?」
チヅルも話に入ってきた。
「リュウイチ様やコジロウさんくらい強い人ならいいんだけど、だいたいは私達より弱いくせにイキがってるから嫌いなんだよね」
「その点、ハヤトさんはガツガツしていなくてトップを走る実力があったから、みなさんはハヤトさんに好意を持っていた」
みんな顔を見合わせて返事。
「「「……うん」」」
「じゃあハヤトさんが戻ってきたら、みなさんできちんと謝らないといけないですね」
「うん、そうだね」
「そうしよう」
「そうですね」
「じゃあ反省会はこんな感じでよろしいでしょうか?」
「うん。っていうかチヅル、前と全然変わったね」
「えっ、私ですか?」
「うん。前は段取り悪くて、実力はあったけど、何やらせてもダメって感じだった」
「たしかにそうですね。そのせいで私は仲間達と別れる事にもなりました。でもリュウイチ様のおかげで私はここまで変わる事が出来ました」
「リュウイチって本当すごいよね」
「はい。私も段取りが良くなったとはいえ、リュウイチ様と比べるとまだまだ足元にも及びません」
「リュウイチのあれは特別な才能みたいなもんだから、比べない方がいいわよ」
「でもリュウイチ様はハヤトさんも同じモノを持っているから、生産職のチヅルはハヤトさんと一緒の方が勉強になるって言ってました」
「へー、そうなんだ」
「だから私はこのクランに入る事に決めたんです。ですが、肝心のハヤトさんの段取りの仕方をまだ見る事が出来ていないんですよね」
「なんか私達のせいでゴメンね」
「あっ、いえ、大丈夫です。これからみんなで頑張って行きましょう」
「そうだね」
こうして反省会は終わり、私はアマゾネスポワールのクランハウスに移動。クランメンバーを招集し、会議を始める。
「これからみんなは太陽の塔をそれぞれで攻略していくと思うが、無理はしないようにね。アミがいなくなった事で幹部の席は今空いてるからといって、クランメンバーで争わないようにね」
「「「はい、わかりました」」」
それから今後の方針なども話し合い、会議は終了。
幹部だったアミがいなくなった事で私の負担もだいぶ増えてきた。大手クランと違い、次の幹部はまだ決まっていない。
「フー、誰かいい人いないかな?このままだと倒れちゃいそうだわ。それに………」
それに早くハヤトくんに会いたいな。早く会って、私の気持ちもちゃんと伝えたい。
昨日の太陽の塔攻略の時にアイナに言われた一言で、私が甘い考えをしていた事に気付かされた。
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「ねぇ、マリナ。ハヤトくんのあの感じだと、きっとマリナに告白しようとしてるよね?」
「う、うん。私もそう思ってる」
「ハヤトくんがマリナの事を選んだのなら、私はそれに関しては何も言わないわ。でもね…」
「何?」
「マリナは最近ハヤトくんに甘え過ぎてるところあるんじゃないの?」
「どういう事?」
「私達はハヤトくんのおかげで今トップを走る事が出来てるのはわかってるよね?」
「うん」
「このトップっていうのはリュウイチ様やコジロウさんよりも上って事。でも私達の実力は全然でしょ?実力的には2番手でもハヤトくんのおかげでトップに立てている事を忘れて、実力でトップに立つ努力をしなくなっているような気がするわ」
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あの時、私はアイナに言われて、ハッとした。たしかにハヤトくんに好意を持たれている事をわかった上でハヤトくんに甘えていた所もあったと思う。
だから太陽の塔の攻略の時に頑張ろうと思ったけど、空回りして終わり。結果を見ると、ナルミより後の実質最下位で太陽の塔の攻略を終えた。
次こそはと思って、不思議の国でも頑張ろうとしたけど空回り。ハヤトくんに良いところを見せる事が出来なかった。
だからなのかな。昨日の帰り際、私の方を見る事なくハヤトくんは帰ってしまった。
もしかして嫌われちゃったのかな………
「ねぇ、今日ハヤトくん来るの遅くない?」
「そうですね。いつもならもうとっくに来ていてもおかしくない時間ですね」
「そうだね……」
「そういえばさ、なんであの時ハヤトくんは先に今際の国に行こうと思ってるって言ったんだろ?」
「そう言われるとそうですね。レミさんを見返す事に夢中になっていて、私もそこまで頭が回っていませんでした」
「ねぇ……もしかして今日ハヤトくんがここに来ないのって、私達のせいなのかな?」
「ハヤトさんの段取りを無視したあげく、レミさん達に負けた私達にムカついたって事ですか?」
「そうそう。レミにも言われた通り、多分チヅルと一緒だったらレミ達に負ける事はなかったのに、私達が無理を言ってハヤトくんを連れ出したせいで、段取りも悪くなったし、レミ達の勝負にも負けてしまった」
「ハヤトさんはそんな人じゃないと思いますけど……」
「っていうかメリーさ、昨日ハヤトくんに対して結構ひどい事言ってたよ」
「えっ、私がですか?」
「ポンコツで男らしくないって言ってたよ」
「あっ………あっ、でもあれはあれですよ。ほら、その………」
「ガツガツしたオレ様系の人が男らしいっていうならハヤトさんは男らしいとは言いませんよね。でもみなさんはそういうオレ様系の人は嫌いですよね?」
チヅルも話に入ってきた。
「リュウイチ様やコジロウさんくらい強い人ならいいんだけど、だいたいは私達より弱いくせにイキがってるから嫌いなんだよね」
「その点、ハヤトさんはガツガツしていなくてトップを走る実力があったから、みなさんはハヤトさんに好意を持っていた」
みんな顔を見合わせて返事。
「「「……うん」」」
「じゃあハヤトさんが戻ってきたら、みなさんできちんと謝らないといけないですね」
「うん、そうだね」
「そうしよう」
「そうですね」
「じゃあ反省会はこんな感じでよろしいでしょうか?」
「うん。っていうかチヅル、前と全然変わったね」
「えっ、私ですか?」
「うん。前は段取り悪くて、実力はあったけど、何やらせてもダメって感じだった」
「たしかにそうですね。そのせいで私は仲間達と別れる事にもなりました。でもリュウイチ様のおかげで私はここまで変わる事が出来ました」
「リュウイチって本当すごいよね」
「はい。私も段取りが良くなったとはいえ、リュウイチ様と比べるとまだまだ足元にも及びません」
「リュウイチのあれは特別な才能みたいなもんだから、比べない方がいいわよ」
「でもリュウイチ様はハヤトさんも同じモノを持っているから、生産職のチヅルはハヤトさんと一緒の方が勉強になるって言ってました」
「へー、そうなんだ」
「だから私はこのクランに入る事に決めたんです。ですが、肝心のハヤトさんの段取りの仕方をまだ見る事が出来ていないんですよね」
「なんか私達のせいでゴメンね」
「あっ、いえ、大丈夫です。これからみんなで頑張って行きましょう」
「そうだね」
こうして反省会は終わり、私はアマゾネスポワールのクランハウスに移動。クランメンバーを招集し、会議を始める。
「これからみんなは太陽の塔をそれぞれで攻略していくと思うが、無理はしないようにね。アミがいなくなった事で幹部の席は今空いてるからといって、クランメンバーで争わないようにね」
「「「はい、わかりました」」」
それから今後の方針なども話し合い、会議は終了。
幹部だったアミがいなくなった事で私の負担もだいぶ増えてきた。大手クランと違い、次の幹部はまだ決まっていない。
「フー、誰かいい人いないかな?このままだと倒れちゃいそうだわ。それに………」
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