上 下
67 / 82
第5章 太陽と月の力

67話 太陽の塔攻略準備4日目

しおりを挟む
今日はカリナさんの防具の素材採取がメインとなっていく。まずは朝のルーティンから。

大量生産用の畑の確認。不死のリンゴと王のリンゴを採取。次は夢幻水晶(青白金鉱石)からブループラチナメタルを10個採取。

朝のルーティンを終わり、南の王国の鳥エリアに移動。

「あれ、カリナさんがいないな。今日はボクの方が早かったんだな」

と思っていたらすでにカリナさんはツキヤミガラスと戦闘中。邪魔にならない距離まで近づいて観察しているとカリナさんもこちらに気付き、会釈程度でそのまま戦闘を継続。

「いろいろ考えて多少は動き方も変わっているけど、本質的な事を理解していない感じだな」

時刻はまだ朝。昼くらいまでは自分の防具の事を考えるとするか。

ボクは軽装スキルを持っているから重鎧、軽鎧、魔装を装備出来る。

ボクは純生産職だから戦闘に参加する事はない。そのため防具力の高い重鎧は必要のない気もするが、ボクの鈍臭さを考えると死ににくい重鎧がいいような気もする。

軽鎧は重鎧よりも防御力は劣るが、荷物を沢山持てるというメリットがある。太陽の塔は最大で50人まで一気に入る事が出来るため、ボクはサポート要員としてマリナさんやカゲトラさん達と一緒に入る。その事を考えるとポーションや遠距離攻撃に必要な矢を沢山持てる軽鎧がいいような気がする。

魔装は軽鎧よりも防具力は劣るし、荷物も軽鎧よりは持てない。生産職の人が魔装を選ぶメリットとしてはポーションの回復量が増える事。軽鎧で持てる分以上の回復量があるので、サポート要員として太陽の塔攻略の事を考えると魔装もありなのかもしれない。

んー、どうしようかな…………

「すみませんハヤトさん、ちょっといいでしょうか?」

考え事に夢中になっていたら、もうすぐお昼。

「なんでしょうか?」

「自分でも色々考えてみて、やってはいるのですが上手くいきそうな気がしないです」

「わかりました。ここ最近、カリナさんは急激に強くなったと思います。そのため、今までやってきた事をやらなくなってしまった事があります」

「やらなくなった事ですか……えっ、暗黒魔法を使っての攻撃という事ですか?だってツキヤミガラスは暗黒属性ですよ」

「それはカリナさんの先入観ですよね。元々カラスは太陽の使いとされ、神聖な動物です。色々考えてやるのだとしたら、時には意味のなさそうな事もやらないといけないですよ。迷った時は基本に立ち返ってやる事です」

「……わかりました。基本に立ち返って私の出来る事を全て出し切ってきたいと思います」

「カリナさんなら出来るはずです。頑張ってください」

「はい」

カリナさんは再びツキヤミガラスに向かっていった。

基本に立ち返るか……ボクが1番出来ていなかったな。太陽の塔攻略で1番大事な基本的な事、それは死なない事。ボクが作らないといけない自分の防具は重鎧だったんだな。

「あっ、あの、ハヤトさん」

「あっ、はい、なんでしょうか?」

「ハヤトさんのアドバイスのおかげでツキヤミガラスを倒す事が出来ました」

カリナさんの足元にはツキヤミガラスが倒れている。ボクが考え事してる間に倒したんだな。

「お疲れ様でした。ボクもカリナさんのおかげで基本に立ち返える事が出来ました。ありがとうございました」

「いえ、私は何もしていません」

「あっ、そろそろ採取権がフリーになるので採取始めますね」

「はい、お願いします」

「一点集中スキル・オン」
「剥ぎ取り採取作業・開始」

ツキヤミガラスの身体に点が輝く。ボクはアダマンタイトのナイフを点に差し込み、ツキヤミガラスの羽毛を採取。

「ん?何か違和感があるな」

ツキヤミガラスの身体には輝く点は見えないが手の感触的には何かまだありそうな感覚。

「どうしました?」

「ちょっと待ってくださいね」

ボクは再びツキヤミガラスの身体に触るとやっぱり違和感を感じる。ボクは目を閉じて身体の隅々まで触れるとクチバシの辺りに違和感を感じた。

「ここだ……とりあえずここにナイフを差し込んでみるか」

ツキヤミガラスのクチバシという素材はない。だがクチバシに違和感を感じる。ボクは違和感を感じた場所にナイフを差し込んだ。

『インビジブルムーンファングを採取しました』

「何か素材を採取出来ました」

「何かってなんですか?」

「ちょっと待ってくださいね。今調べます」

ボクはスマホを取り出し、情報屋からインビジブルムーンファングについて尋ねてみた。

『(1万リンの情報)カラスという漢字は2種類ある。烏という漢字は目が見えないくらい黒い事から鳥の目がない烏の漢字になった。もう1つの漢字はガー、ガーと鳴く事から牙の漢字が付く鴉の漢字になった。インビジブルムーンファングはツキヤミガラスの見えない牙』

『(10万リンの情報)インビジブルムーンファングを素材に使った武器は月の銀狼、フェンリルにダメージを与える事が出来る』

「どうやら結構ヤバそうな素材です」

「それならもっと素材採取しますか?」

「んー、今日はもう遅くなったのでまた後にしましょう」

「わかりました」

「今日はお疲れ様でした。カリナさんも疲れたと思いますので、今日はゆっくり休んでください。明日の10時から会議をしたいと思いますのでカゲトラさんにも連絡お願いします」

「わかりました。お疲れ様でした」

ボクはカリナさんと別れてマイハウスに移動。

「よし、カリナさんの防具と自分の防具を作るか」

始めにカリナさんの防具生産に取り掛かる。先程手に入れたツキヤミガラスの羽毛と金白金鉱石を9つ使い、月闇ゴールドアーマーの完成。

次に自分の防具生産に取り掛かる。重鎧は素材を15個使う。ボクはブループラチナメタルを15個使い、ブループラチナアーマーの完成。

「よし、これで準備完了。みんなにメッセージを送るか」

『武器や防具の準備が出来ましたので、明日の10時にクランハウスに集合お願いします』

ボクはクランメンバーにメッセージを一斉送信。

『『『了解』』』

「よし、これでオッケーだ」

今のところは段取り通りに上手くいってるな。日程的にはまだ余裕があるけど、どうしようかな……

「とりあえず今日はもう寝るかー」

ボクは超フカフカのベッドに横になり、眠りについた。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
この作品は 旧題:金運に恵まれたが人運に恵まれなかった俺は、現実逃避するためにフルダイブVRゲームの世界に逃げ込んだ の内容を一部変更し修正加筆したものになります。  宝くじにより大金を手に入れた主人公だったが、それを皮切りに周囲の人間関係が悪化し、色々あった結果、現実の生活に見切りを付け、溜まっていた鬱憤をVRゲームの世界で好き勝手やって晴らすことを決めた。  そして、課金したりかわいいテイムモンスターといちゃいちゃしたり、なんて事をしている内にダンジョンを手に入れたりする主人公の物語。  ※ 異世界転移や転生、ログアウト不可物の話ではありません ※  ※修正前から主人公の性別が変わっているので注意。  ※男主人公バージョンはカクヨムにあります

運極ちゃんの珍道中!〜APの意味がわからなかったのでとりあえず運に極振りしました〜

斑鳩 鳰
ファンタジー
今話題のVRMMOゲーム"Another World Online"通称AWO。リアルをとことん追求した設計に、壮大なグラフィック。多種多様なスキルで戦闘方法は無限大。 ひょんなことからAWOの第二陣としてプレイすることになった女子高生天草大空は、チュートリアルの段階で、AP振り分けの意味が分からず困ってしまう。 「この中じゃあ、運が一番大切だよね。」 とりあえず運に極振りした大空は、既に有名人になってしまった双子の弟や幼馴染の誘いを断り、ソロプレーヤーとしてほのぼのAWOの世界を回ることにした。 それからレベルが上がってもAPを運に振り続ける大空のもとに個性の強い仲間ができて... どこか抜けている少女が道端で出会った仲間たちと旅をするほのぼの逆ハーコメディー 一次小説処女作です。ツッコミどころ満載のあまあま設定です。 作者はぐつぐつに煮たお豆腐よりもやわやわなメンタルなのでお手柔らかにお願いします。

沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜

雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。 剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。 このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。 これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は 「このゲームをやれば沢山寝れる!!」 と言いこのゲームを始める。 ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。 「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」 何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は 「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」 武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!! ..........寝ながら。

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り

星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!? ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 注意事項 ※主人公リアルチート 暴力・流血表現 VRMMO 一応ファンタジー もふもふにご注意ください。

モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件

こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。 だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。 好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。 これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。 ※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ

処理中です...