上 下
39 / 90
第2章 愛を取り戻せ

39話 第2章終わり

しおりを挟む
城門の中に入ると、姿を見せた大きな宮殿。

月影の白兎に案内されて中庭を通り、大きな扉の前。扉の前にはトランプの形をした兵士が2体。絵柄はハートのマークで数字は2。

月影の白兎に気付いたトランプの兵士は扉を開ける。扉の中に入ると、見えてきたのは大広間。

大広間の正面奥には扉が見える。月影の白兎は真っ直ぐ正面奥に進むので、ボク達もそのまま真っ直ぐ付いていく。

奥の扉を開けると、通路のような小部屋。その奥にはまた扉。扉の前にトランプの兵士が2体、数字は4。

通路のような小部屋は横幅2メートル、奥行き10メートル。

「この奥にはハートのクイーンがおられます。少しお待ちください」

月影の白兎は扉の中に入り、ボク達は小部屋で待機。

「お待たせいたしました」

トランプの兵士が扉を開けると、正面には玉座に座った女王の姿。ハートのクイーンは赤のドレスにハートの王冠。

女王の脇には月影の白兎。中に入るとトランプの兵士達もズラリと並んで待っている。

「スペードのクイーンの世界の者達よ。ここまで来てもらったのには訳がある」

女王の話を聞くと、不思議の国の世界に生きる者達は死なない身体。そんな世界に1匹の化け物が迷い込んできた。化け物の名前はジャバウォック。

化け物を倒そうとしても死のない世界では殺す事は出来ずに世界を荒らされるばかりで手の打ちようがなかった。

だから化け物を殺す事が出来るスペードのクイーンの世界の人達の協力が必要だったとの事。

「そういう事で白兎には迷惑をかける事になった」

「いえいえ、私は不思議の国の導き手でございます。私はただ彼らを導いただけです」

「見習い級の君達がジャバウォックを倒せるとは思ってはいない。だけどこの国の事も知っていて欲しかったのだ。力をつけた時、またこの国に来てジャバウォックを殺して欲しい。よろしくお願いします」

ハートのクイーンは玉座から降りて、ボク達の前で頭を下げる。

「わ、わかりました」

「白兎、後の事は頼んだぞ」

「かしこまりました」

ボク達は王の間から通路のような小部屋に戻る。

「それじゃあスペードのクイーンの世界に戻るよ」

月影の白兎は手のひらサイズの小さな木を具現化。通路のような小部屋に置くと、小さな木はみるみる内に大きくなり、木の根元には人が通れるサイズの穴がある。

白兎が中に入るので、ボク達も中に入る。

一瞬の暗転。そしてムービーが始まった。

見えてきた景色。それはマリナさんとアイナさんがハートのクイーンと月影の白兎に話かけられている姿。脇には一応ボクの姿も見える。

そのシーンが終わると今度はアテナ像の前。アテナ像のすぐ近くに月影の白兎とマリナさんとアイナさん。少し後ろにボクの姿。

月影の白兎がアテナの頭蓋骨を捧げるとアテナの骨は海賊旗でよく見る頭蓋骨と2本の骨からさらに姿を変えて、人の姿になった女神アテナ。

「肉体は復活する事が出来た。だがまだ力が足りない。時を操る事が出来る金色に輝く青い目が必要だ」

ここでムービーが終わり、暗転。見えてきたのはウサギの丘の木の近く。

[金色は時を操る力。金色に輝く青い目を持つ死獣、金白虎の力が必要です]

第3章の時は金なりってそういう事か。

「ちっ、先を越されてしまったか」

突然後ろの方から声が聞こえてきたので、振り返るとコジロウさんと亀白シロウさんの姿。

「ファーストクリア者になる事は出来なかったが、我々が遅れを取るわけにはいかない」

2人は木の根元の穴に不死のリンゴを投げ入れて、穴の中に飛び込んだ。

「コジロウより先にクリアする事が出来て良かったわ。ハヤトくん、本当にありがとうね。ハヤトくんがいなかったら絶対に勝つ事なんて出来なかったよ」

「っていうか私はコジロウさんより先にクリアして良かったのかな?」

「コジロウは上には上がいるって思うタイプだから、そんなの気にしないタイプよ。安心していいわ」

「それなら良かった」

「あのー、ちょっといいかな?」

話かけてきたのは月影の白兎。

「クラブの見習い級の君には伝えておく事があるんだ」

何だろ?

「不死のリンゴは死獣、不死の猪豚の大好物でもあるんだ。不死のリンゴを捧げれば、君は新たな力、アイテム合成の力を手にする事が出来るよ」

ハイブリッドの語源でもある猪豚からアイテム合成の力を授かる。これからアイテム合成も出来るようになると、アイテム変化とアイテム合成の2つの情報も整理しないといけなくなる。

アイテム合成は第3章を進めるために必要なスキルでもあるはずだ。

アイナさんやメリーさんの武器もまだちゃんと作っていない状況の中で新章がスタート。

でもよくよく考えるとボクのクランにダイヤのマークの人はいないから第3章はあまり関係ない。でもクラブのマークのボクはやる事があるはず。

次の第4章を見据えながら、自分の事、メリーさんの事、そしてマリナさんやアイナさんの事も考えながら、段取り良く行動していかないときっと第4章で遅れをとる事になる。

もっともっと段取り良く行動していかないといけないな。

「第2章も終わった事ですし、今後の事の話したいのでクランハウスに戻りましょう」

「あのー、ちょっといいかな?」

話かけてきたのは月影の白兎。まだ居たんだ。

「君達のマイハウスの裏庭にある木を不死の木に変えたから、今度からはその木の根元の穴から不思議の国に来る事が出来るよ」

「わ、わかりました」

っていうか裏庭って何?マイハウスにそんなのあったっけ?

[マイハウスの裏庭が開放されました]

あっ、システムメッセージだ。

「それじゃあ僕はこれで失礼するね」

月影の白兎は木の根元の穴に入り、いなくなった。

「それじゃあボク達もクランハウスに戻りましょう」

ボク達はウサギの丘エリアに抜け出て、クランハウスに戻った。










しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。 「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」 と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

ある国立学院内の生徒指導室にて

よもぎ
ファンタジー
とある王国にある国立学院、その指導室に呼び出しを受けた生徒が数人。男女それぞれの指導担当が「指導」するお話。 生徒指導の担当目線で話が進みます。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

処理中です...