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第1章 アテナ復活

19話 アダマンデスソード

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ボクは今、北の王国エリアにあるネズミエリアに来ている。ここに来た理由は『死の虹』という素材を採取するため。

~~~

ネズミエリアに来る少し前に時を遡る。

「現時点でリュウイチさんのために作れる最高の武器はアダマンデスソードだな」

今の手持ちの素材だけでいったら作れる最高の武器はゴールドスリーソード。

アダマンタイトは磁石のダイヤモンドとも言われている素材。ダイヤモンドは金剛石とも言う。

ゴールドプラチナメタルとアダマンタイトを使って作るソード。金、白金、金剛石の3つの金を使った武器、それがゴールドスリーソード。

この武器に溶岩真珠を使って錬金効果を付ける。これが今、ボクの手持ちで出来る最高。

溶岩真珠を錬金に使えば火属性効果を付与出来る。

でもリュウイチさんは暗黒騎士だから火属性付与はあまり効果がない。

それよりもクロロ豚真珠を錬金に使って暗黒属性を付与した方がいい。

って事を考えると、さらに属性付与を高める『死の虹』を素材に使った方がさらによくなる。それにゴールドスリーソードよりアダマンデスソードの方が1ランク上の武器。ここで多少無理をしてでも作っておきたい武器だ。

死の虹は普通に採取しようとしても採取出来ない素材。

ネズミエリアの死獣、七福の虹鼠。その死獣がいるエリアに生えている虹の木。この虹の木の近くに落ちてるのが『死の虹』。

死の虹は悪魔の力の影響によって、虹の木から枯れ落ちた枝で、悪魔の力を宿す枝。

クロロ豚真珠は悪魔の力を打ち払う効果があり、粉末状にしたモノを死の虹に振りかけると悪魔の力が消え去り、素材として使えるようになる。

クロロ豚真珠は錬金にも使う。錬金で使う際にも粉末状のモノを使うので、錬金用の分も一緒に粉末状にする。

「よし、作業開始だ。の前にやる事がある」

アダマンタイトを焼成炉の自動焼成機能を使い、インゴットにする。自動焼成機能は一度に30個分出来るので、今ある全てのアダマンタイトを焼成炉に投入。

「よし、作業開始だ」

錬金作業は未知の世界。

錬金術による能力付加は素材の品質によって大きく効果が変わる。

そして錬金術による能力付加は丁寧な仕事が求められる。

クロロ豚真珠をミスリルのハンマーで粉末よりさらに細かい微粉状態まで砕く必要がある。

錬金効果を付与する場合、クロロ豚真珠を微粉末状態にまでしたら魔力水と合わせる。その液体とアダマンデスソードをしばらく浸けておくと錬金術による能力付加が出来る。

「よし、錬金作業の手順確認完了」
「一点集中スキル・オン」
「錬金作業・開始」

カンッ、カンッ、カンッ

ミスリルのハンマーを持ち、クロロ豚真珠を砕いていく。

カンッ、カンッ、カンッ

~~~
「このくらいだとどうなってるかな」

クロロ豚真珠の粉末、99%の最高品質。

「このくらいだとまだ粉末なんだな。思ってたより時間のかかる作業だ」

再びミスリルのハンマーを持って叩き始める。

~~~
ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ

粉末より細かくなると叩くというよりはすり潰す感じになる。

「そろそろいいかな」

クロロ豚真珠の微粉末、95%の最高品質。

「錬金作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」

「よし、これで準備は出来た。品質が下がってしまったのは途中で作業が雑になってしまったからかもしれない。次はもっと注意してやらないといけないな」

死の虹の採取準備完了。ボクは移動アイテムの白ワシの羽毛を使い、ネズミエリアに移動。

虹の木があるのは死獣がいるエリア。オープンベータ版の時は一度も足を踏み入れる事がなかったエリア。

死獣エリアに人がいるわけがない。そんな先入観があってエリアに足を踏み入れる。

「あっ、誰か死獣と戦ってる」

死獣、七福の虹鼠。7日ネズミとも言われるこのネズミの最大の特徴は7日で大人になり、大人になると2メートルを越える身体なる。

12死獣の中では最弱とも言われているが、オープンベータ版の時でも倒せた人はいないと言われているボス。それが七福の虹鼠。

そのボスと戦っている人は黒い鎧に身を包み、剣と盾を持って1人で戦っている。このゲームにおいて知らぬ人はいないとされる人。黒崎リュウイチさんだ。

こんなところで戦っている姿を見るとは思ってもみなかった。これがトップオブトップと言われる人の戦い方。

軽やかに躱して反撃。躱すと見せかけて盾で受け止めて剣でカウンター。その戦いは1人で戦っているのにパーティーで戦っているように見える。

1人で2人分の活躍を見せると聞いてはいたが、実際見ると3人分、イヤ、4人分の働きをしているようにも見える。

その姿に見惚れている間に死獣、七福の虹鼠を倒してしまった。

「すごかったな。ってこんなゆっくりしてる時間はないんだった」

ボクはエリアに入ってすぐの場所にある虹の木の前に移動。虹の木はカラフルな木だが、周りに落ちている枝は枯れ果ててドス黒いオーラが見える。

「これが死の虹か。でもこれにクロロ豚真珠の微粉末を振りかけると悪魔の力が消え去る」

ボクはアイテム袋からクロロ豚真珠の微粉末が入ったチャック付きポリ袋を取り出し、死の虹に振りかける。ドス黒かったオーラは死の虹から消え去った。

「これで採取出来るんだな」

この採取にスキルは必要ない。ボクは死の虹を拾い始めると視線が向けられている事に気付いた。

その視線の方に目を向けると、黒崎リュウイチさんが遠くからこっちを見ている。

「あー、ボクも視線に気づいたって事は、さっき見てたボクの視線にも気付いているよね」

話しかけるには遠い距離。リュウイチさんとは明日きちんと対面する事になっている。死の虹の採取も終わり、あとは帰るだけ。ボクは軽く会釈をしてボスエリアを抜け出した。

ボスエリアを抜けるとすぐにマイハウスに移動。

マイハウスに入ると、タイミングよくアダマンタイトの自動焼成も終わったところ。焼成炉からアダマンタイトを取り出し、インゴットの型に流す。

これで炉が空いた。空いた炉に採取したばかりの死の虹を投入。

「一点集中スキル・オン」
「鋳造作業・開始」

百火カマドの枝の時は炭化させるために酸素を供給しないようにした。今回は灰にするために普通に燃焼。

ボクは炉の温度計と時計を見ながら、魔力を流し込んでゆっくりと温度を上げていく。

すると温度計と時計に輝く点が見える。

温度計は185度、時計は40分。

次は……

温度計は525度、時計は80分。

次は…と思っていると輝く点は見えてこなかった。

「鋳造作業・終了」

死の虹の灰、99%の最高品質。

「炭化するのには時間がかかるが、灰にするならすぐ終わる。このまま次の作業に取り掛かるぞ」

「成形作業・開始」

アダマンタイトのインゴットを作業台の上に置き、死の虹の灰をふりかけてる。そしてアダマンタイトのインゴットに魔力を通して、コネコネしてよく混ぜ合わせる。

「こんなもんかな」

死の虹の灰をよく混ぜ合わせたアダマンタイトのインゴットに魔力を通して剣の型に流し込む。

「成形作業・終了」

アダマンデスソード、99%の最高品質。

「このまま錬金作業に取り掛かる」
「錬金作業・開始」

神の錬金鍋にミスリルのインゴットを入れて、神品質の魔力水を製作。その魔力水をボールに移しクロロ豚真珠の微粉末を入れてよくかき混ぜる。

出来上がった液体を剣の型に入れて、そこにアダマンデスソードを入れて1時間ほど浸けておく。

「錬金作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」

「長かったアダマンデスソードの製作と錬金作業が終わった。さて、どんな能力が付いたかな」

液体の入った剣の型からアダマンデスソードを取り出し、詳細確認。

アダマンデスソード
近距離攻撃力3000
MP+2000
神聖属性攻撃500
暗黒属性攻撃500
最高品質、攻撃力アップ1.5倍

錬金効果
神聖属性攻撃1000
暗黒属性攻撃1000
限界突破30%

「まさか……限界突破の能力が付くなんて思ってなかった」

このゲームのスキルや魔法は100%の割合から威力や範囲を設定する。

今回の錬金による限界突破の付与で130%になるという事。

暗黒騎士のリュウイチさんがこの武器を使ったら、一体どうなるんだろう。

「死の虹の灰作りが思ったよりも早く終わったから、錬金付与の内容に気に入らなかったら何回かやってみてもいいかなって思ってたが、1発で最高のモノが出来た」

明日も忙しい日になりそうだから、今日は早めに寝て、ゆっくり寝るとしよう。

ボクは超フカフカのベッドに入り、爆睡した。




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