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第1章 アテナ復活
16話 神の錬金鍋
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これからやるのは神の錬金鍋の製作。
普通の錬金鍋は金を使い、鍋の型に金を流し込んで完成。ゴールドプラチナメタルを使った神の錬金鍋の作り方はそれとは違う。
ゴールドプラチナメタルを0.0001ミリの厚さまで薄くした物を何回も折り曲げて厚くしていく方式で作っていく。
最終的な厚さは0.4ミリ。12回折り曲げる工程を繰り返す事によって、高い熱伝導率と高い強度がある神の錬金鍋が作れる。
「よし、神の錬金鍋を作る手順の確認はできた。作業開始だ」
「一点集中スキル・オン」
「成形作業・開始」
ゴールドプラチナメタルのインゴットに魔力を流し、インゴットを0.0001ミリの厚さに薄く伸ばしていき、折り曲げる。
0.0001ミリはすぐに破いてしまいそうになるくらいの薄さ。慎重に慎重に集中しながら作業を進めていく。
…………
「ようやく折り曲げる作業が終わった」
気づくと折り曲げる作業だけで3時間たっていた。
そこにあるのは何層にもなった厚さ0.4ミリのゴールドプラチナメタルの板。
「これを鍋の型に合わせて、形を整えて完成だ」
板状になったゴールドプラチナメタルを鍋の型に合わせ、丸みを丁寧につけていく。
強度があるといっても0.4ミリの厚さ。
力を加え過ぎると破けて穴があく。そうなると鍋としては使い物にならなくなる。
ボクはゆっくりと丸みとつけていく。
…………
「完成だ!!!」
「成形作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
品質はどうなった。
ゴールドプラチナの錬金鍋、90%の最高品質。
「よかった。元々のゴールドプラチナメタルのインゴットが90%だったから少しの失敗で高品質になる。そうなると神の錬金鍋とは呼べない品質になってしまう。危ないところだったな」
神の錬金鍋は完成した。だがこれはまだ錬金術を極める上での第一歩にしか過ぎない。
本当の錬金術とはこれからだ。
元々、錬金術は鉛などの大量に取れる安い金属を金などの貴金属に変えようとしたのが始まり。
この世の物質、鉛や金を始めとする金属はもちろん、水素や酸素も陽子と中性子の数の組み合わせで出来ている。
現代の錬金術は陽子と中性子の数を操る事によって元素変換をして鉛を金に変えている。
このゲームではこの現代錬金術を元にした仕様で錬金術生産を行っている。
錬金術で1番有名なアイテム、賢者の石。賢者の石は元素変換してくれるキーアイテム。
このゲーム『スペードのクイーン』での元素変換してくれる賢者の石は『アテナの骨』と呼ばれるアイテム。アテナの骨はメインストーリー、第1章・アテナ復活のキーアイテムでもある。
女神アテナの別名、パラスアテナ。その名前から取ってつけられた元素、パラジウム。
パラジウムと酸化カルシウムがナノレベルの薄さで何層にも重なって出来ているのがアテナの骨。
酸化系の金属のパラジウムとアルカリ系の金属の酸化カルシウム。どちらも水素を吸収する性質がある。
普通の水素は陽子1個の水素。元素変換する時は重水素と言われる陽子1個と中性子1個の水素が使われる。
水素を吸収する対になる金属が水素の陽子を奪い合おうとした時に、中性子が物質と融合して元素変換が起こる。
だからこのゲームでは神の錬金鍋に『神品質の魔力水』と『アテナの骨』と『元素変換したいアイテム』の3つを入れるとアイテムが変わるという仕様になっている。
神品質の魔力水は神の錬金鍋に最高品質のミスリル鉱石を入れると出来上がる。
錬金術を極めるにはまだまだ先は長く険しい道のりだけど、生産職を極めたいボクはアテナの骨を初めて作った人になりたい。
~~~
「神の錬金鍋が出来たから、早速使ってみるか」
神の錬金鍋で初めて作るモノはMPポーション。鍋で青薬草を煮込めばMPポーションが出来上がる。
「まずは青薬草をマーケットから購入してこよう」
スマホを取り出し、マーケットを検索。青薬草も薬草と採取方法は同じなので、最高品質の青薬草はたくさん出回っていた。1個の薬草があれば10個のポーションが作れるので、10個の青薬草を購入。
ついでに移動アイテムもマーケットに出ているかチェック。移動アイテムはホワイトイーグルの羽を成形加工すれば出来上がる消耗品アイテム。開始早々だから値段的にはまだちょっと高めだが、こちらも10個購入。
MPポーション作りの準備は整った。
「一点集中スキル・オン」
「錬金作業・開始」
神の錬金鍋に最高品質のミスリルインゴットを入れて、水を入れる。錬金鍋に入れるのは切削加工したミスリル鉱石かミスリルインゴットを入れると魔力水になる。
『神品質の魔力水が出来ました』
神の錬金鍋からミスリルインゴットを取り出し、コンロに神の錬金鍋をセットして、火にかける。煮立ったら青薬草を投入。
しばらくすると綺麗な青色になってくるから、そこで火を止めてMPポーションの完成だ。
「錬金作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「品質はどうだ」
2級MPポーション、99%の最高品質。
「よし、ランクアップした上に品質は最高品質、完璧だ」
普通の錬金鍋と普通品質の魔力水だと無印のポーションが出来上がる。
青龍の洞窟から流れ出る龍泉水と言われる消耗品アイテムを使えば、普通品質の2級ポーションが作れる。
今回作れたのは最高品質の2級ポーション。最高品質の2級ポーションはオーバー回復するポーション。最大MP以上に回復するポーションなのだ。
「よし、上手くいったから残りの分も一気に作り上げるぞ」
錬金鍋には最大で10個分の薬草が入るので一度に最大で100個のポーションが作れる。
ボクは再び青薬草を煮込んで、計100個の最高品質の2級ポーションを製作。
「アイナさんのおかげでここまで順調にきたんだ。神の錬金鍋も作れた報告がてらにこのポーションをプレゼントだ」
ボクはスマホを操作して、アイナさんにメッセージ付きで100個の最高品質の2級ポーションをアイテム譲渡。
『無事に神の錬金鍋も完成させる事が出来ました。試しで作ったポーションをボクは使わないので、よかったら使ってください』
「これでよし。もう眠気も限界だ。でもまだやる事がある。明日の段取り確認だ」
段取りが悪いと、先に作っておくべきだったブループラチナの温度計を後回しにするといった失敗をする。こういった段取りの悪さが何回も続くと作業に遅れが生じてくる。そういう事がイヤなので工程確認や段取り確認はしっかりとやるのだ。
明日行うのは生産3種の神器の1つ、アダマンタイトのナイフの製作。
アダマンタイトは磁石のダイヤモンドとも言われ、ダイヤモンドとネオリウムとの化合物。
アダマンタイトは火山の最奥で採取出来る鉱石。
アダマンタイトもゴールドプラチナメタルと同じで今まで誰も採取する事が出来ていない鉱石。
ゴールドプラチナメタルの時と違ってアダマンタイトの採取場所には誰もいない。
火山の奥には強力なモンスターしかいなくて誰も近寄れないからという理由と採取するには普通のハンマーとポンチでは採取出来ないからという理由。
アダマンタイトはかなり硬い鉱石だけど、欠点もある。それは衝撃に弱い事。普通のハンマーとポンチで叩くとあっという間にクズ品質。
だからアダマンタイト採取専用のゴムのハンマーとポンチが必要。
それがクロロブタジエンのゴムのハンマーとポンチ。
「ん?クロロブタ……あっ、やってしまった」
アテナの骨を作るために何が必要なのかちゃんと確認して、段取りも考えてた。段取りが悪いと二度手間になる。
クロロブタジエンのゴムのハンマーとポンチの事はちゃんと確認していたが、豚がカタカナ表記のブタだったから見落としていた。
やってしまったのは仕方ない。明日は朝イチでクロロ豚エリアに行こう。
「これで段取り確認はオッケーだ。っていうかもう限界だーーー」
ボクは超フカフカのベッドに行くと、秒で爆睡。
ゲーム3日目も終わり、4日目が始まる。
普通の錬金鍋は金を使い、鍋の型に金を流し込んで完成。ゴールドプラチナメタルを使った神の錬金鍋の作り方はそれとは違う。
ゴールドプラチナメタルを0.0001ミリの厚さまで薄くした物を何回も折り曲げて厚くしていく方式で作っていく。
最終的な厚さは0.4ミリ。12回折り曲げる工程を繰り返す事によって、高い熱伝導率と高い強度がある神の錬金鍋が作れる。
「よし、神の錬金鍋を作る手順の確認はできた。作業開始だ」
「一点集中スキル・オン」
「成形作業・開始」
ゴールドプラチナメタルのインゴットに魔力を流し、インゴットを0.0001ミリの厚さに薄く伸ばしていき、折り曲げる。
0.0001ミリはすぐに破いてしまいそうになるくらいの薄さ。慎重に慎重に集中しながら作業を進めていく。
…………
「ようやく折り曲げる作業が終わった」
気づくと折り曲げる作業だけで3時間たっていた。
そこにあるのは何層にもなった厚さ0.4ミリのゴールドプラチナメタルの板。
「これを鍋の型に合わせて、形を整えて完成だ」
板状になったゴールドプラチナメタルを鍋の型に合わせ、丸みを丁寧につけていく。
強度があるといっても0.4ミリの厚さ。
力を加え過ぎると破けて穴があく。そうなると鍋としては使い物にならなくなる。
ボクはゆっくりと丸みとつけていく。
…………
「完成だ!!!」
「成形作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
品質はどうなった。
ゴールドプラチナの錬金鍋、90%の最高品質。
「よかった。元々のゴールドプラチナメタルのインゴットが90%だったから少しの失敗で高品質になる。そうなると神の錬金鍋とは呼べない品質になってしまう。危ないところだったな」
神の錬金鍋は完成した。だがこれはまだ錬金術を極める上での第一歩にしか過ぎない。
本当の錬金術とはこれからだ。
元々、錬金術は鉛などの大量に取れる安い金属を金などの貴金属に変えようとしたのが始まり。
この世の物質、鉛や金を始めとする金属はもちろん、水素や酸素も陽子と中性子の数の組み合わせで出来ている。
現代の錬金術は陽子と中性子の数を操る事によって元素変換をして鉛を金に変えている。
このゲームではこの現代錬金術を元にした仕様で錬金術生産を行っている。
錬金術で1番有名なアイテム、賢者の石。賢者の石は元素変換してくれるキーアイテム。
このゲーム『スペードのクイーン』での元素変換してくれる賢者の石は『アテナの骨』と呼ばれるアイテム。アテナの骨はメインストーリー、第1章・アテナ復活のキーアイテムでもある。
女神アテナの別名、パラスアテナ。その名前から取ってつけられた元素、パラジウム。
パラジウムと酸化カルシウムがナノレベルの薄さで何層にも重なって出来ているのがアテナの骨。
酸化系の金属のパラジウムとアルカリ系の金属の酸化カルシウム。どちらも水素を吸収する性質がある。
普通の水素は陽子1個の水素。元素変換する時は重水素と言われる陽子1個と中性子1個の水素が使われる。
水素を吸収する対になる金属が水素の陽子を奪い合おうとした時に、中性子が物質と融合して元素変換が起こる。
だからこのゲームでは神の錬金鍋に『神品質の魔力水』と『アテナの骨』と『元素変換したいアイテム』の3つを入れるとアイテムが変わるという仕様になっている。
神品質の魔力水は神の錬金鍋に最高品質のミスリル鉱石を入れると出来上がる。
錬金術を極めるにはまだまだ先は長く険しい道のりだけど、生産職を極めたいボクはアテナの骨を初めて作った人になりたい。
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「神の錬金鍋が出来たから、早速使ってみるか」
神の錬金鍋で初めて作るモノはMPポーション。鍋で青薬草を煮込めばMPポーションが出来上がる。
「まずは青薬草をマーケットから購入してこよう」
スマホを取り出し、マーケットを検索。青薬草も薬草と採取方法は同じなので、最高品質の青薬草はたくさん出回っていた。1個の薬草があれば10個のポーションが作れるので、10個の青薬草を購入。
ついでに移動アイテムもマーケットに出ているかチェック。移動アイテムはホワイトイーグルの羽を成形加工すれば出来上がる消耗品アイテム。開始早々だから値段的にはまだちょっと高めだが、こちらも10個購入。
MPポーション作りの準備は整った。
「一点集中スキル・オン」
「錬金作業・開始」
神の錬金鍋に最高品質のミスリルインゴットを入れて、水を入れる。錬金鍋に入れるのは切削加工したミスリル鉱石かミスリルインゴットを入れると魔力水になる。
『神品質の魔力水が出来ました』
神の錬金鍋からミスリルインゴットを取り出し、コンロに神の錬金鍋をセットして、火にかける。煮立ったら青薬草を投入。
しばらくすると綺麗な青色になってくるから、そこで火を止めてMPポーションの完成だ。
「錬金作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「品質はどうだ」
2級MPポーション、99%の最高品質。
「よし、ランクアップした上に品質は最高品質、完璧だ」
普通の錬金鍋と普通品質の魔力水だと無印のポーションが出来上がる。
青龍の洞窟から流れ出る龍泉水と言われる消耗品アイテムを使えば、普通品質の2級ポーションが作れる。
今回作れたのは最高品質の2級ポーション。最高品質の2級ポーションはオーバー回復するポーション。最大MP以上に回復するポーションなのだ。
「よし、上手くいったから残りの分も一気に作り上げるぞ」
錬金鍋には最大で10個分の薬草が入るので一度に最大で100個のポーションが作れる。
ボクは再び青薬草を煮込んで、計100個の最高品質の2級ポーションを製作。
「アイナさんのおかげでここまで順調にきたんだ。神の錬金鍋も作れた報告がてらにこのポーションをプレゼントだ」
ボクはスマホを操作して、アイナさんにメッセージ付きで100個の最高品質の2級ポーションをアイテム譲渡。
『無事に神の錬金鍋も完成させる事が出来ました。試しで作ったポーションをボクは使わないので、よかったら使ってください』
「これでよし。もう眠気も限界だ。でもまだやる事がある。明日の段取り確認だ」
段取りが悪いと、先に作っておくべきだったブループラチナの温度計を後回しにするといった失敗をする。こういった段取りの悪さが何回も続くと作業に遅れが生じてくる。そういう事がイヤなので工程確認や段取り確認はしっかりとやるのだ。
明日行うのは生産3種の神器の1つ、アダマンタイトのナイフの製作。
アダマンタイトは磁石のダイヤモンドとも言われ、ダイヤモンドとネオリウムとの化合物。
アダマンタイトは火山の最奥で採取出来る鉱石。
アダマンタイトもゴールドプラチナメタルと同じで今まで誰も採取する事が出来ていない鉱石。
ゴールドプラチナメタルの時と違ってアダマンタイトの採取場所には誰もいない。
火山の奥には強力なモンスターしかいなくて誰も近寄れないからという理由と採取するには普通のハンマーとポンチでは採取出来ないからという理由。
アダマンタイトはかなり硬い鉱石だけど、欠点もある。それは衝撃に弱い事。普通のハンマーとポンチで叩くとあっという間にクズ品質。
だからアダマンタイト採取専用のゴムのハンマーとポンチが必要。
それがクロロブタジエンのゴムのハンマーとポンチ。
「ん?クロロブタ……あっ、やってしまった」
アテナの骨を作るために何が必要なのかちゃんと確認して、段取りも考えてた。段取りが悪いと二度手間になる。
クロロブタジエンのゴムのハンマーとポンチの事はちゃんと確認していたが、豚がカタカナ表記のブタだったから見落としていた。
やってしまったのは仕方ない。明日は朝イチでクロロ豚エリアに行こう。
「これで段取り確認はオッケーだ。っていうかもう限界だーーー」
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