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第1章 アテナ復活
13話 銀のハンマーとポンチ
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ボクとアイナさんは東の王国を出て、ウサギの丘を通り、オオカミ平原へ到着。ウサギの丘の方から来たから、目の前にあるエリアはサーベルウルフがいるエリア。
ボクがこれから東の王国で行う事。まずは銀のハンマーとポンチを作る事。その銀のハンマーとポンチを使って最高品質のミスリル鉱石を採取。
最高品質のミスリル鉱石と最高品質のサーベルウルフの牙で作れるのが生産3種の神器の1つのミスリルのハンマーとポンチ。
銀鉱石はこのオオカミ平原でも採取出来るので、ボクが銀を採取している間にアイナさんにサーベルウルフを討伐してもらう予定。
「それじゃあよろしくお願いします」
「えー、私ハヤトくんが作業しているところ見たいな」
えっ、なんで?
「だってハヤトくんってオーラゼロなのにすごい事バンバンやってるんでしょ。ちゃんと自分の目でそのすごい事をやる姿を見たいなって思ってさ」
オーラゼロだとボクの事を落としてから上げる。この手口はヤバい。
「わ、わかりました」
まだここはサーベルウルフエリアに入る前のエリア。そのエリアの端まで行くと銀を採取出来る場所がある。ボクとアイナさんはそこに到着。ボクはハンマーとポンチをアイテム袋から取り出し、シルバーに光り輝く場所を叩く。
カンッ、カンッ、カンッ
『銀鉱石を採取しました』
「えっ、これだけ?」
「この後は切削加工作業というのがあるんですが、それも見ますか?」
「見たい、見たい」
「わかりました」
見られてるとなんだか緊張するな。緊張して手元が狂わないといいんだけど。余計な事考えてないで集中、集中。
「一点集中スキル・オン」
「切削加工作業・開始」
銀鉱石から点が見えてきた。余計に付いている石を取るための点だ。ボクはその点にポンチを当ててハンマーで叩いていく。
カンッ、カンッ、カンッ
「切削加工作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「品質はどうだ」
銀鉱石、95%の最高品質。
「よし、最高品質だ」
「すごいね。ちゃんとハヤトくんも出来る男の顔してた」
作業に集中してて、すっかりアイナさんが隣にいる事を忘れてた。あらためて褒められるのはすごい嬉しい気分になる。
「この後は鍛冶場に戻ってからの作業になります」
「わかったわ、じゃあ次は私の番ね。私だってちゃんと出来るところをハヤトくんに見せて上げるわ」
ボクとアイナさんはサーベルウルフのいるエリアに移動。さすがに2日目にもなると昨日より多くの人がいて、普通にサーベルウルフを倒している人もいる。
「アイドルは目立ってなんぼ。派手にいくわよ」
「あっ、牙には傷付けないように討伐お願いします」
「えー、魔法だとそういうの地味だし面倒くさいんだよね」
「なんかごめんなさい」
「まぁいいよ、仕方ない。じゃあ戦闘モードに入るから、ハヤトくんは下がってて」
「はい」
戦闘モードに入ると途端に変わるアイナさんの雰囲気。
「瞑想スキル・オン」
「一点集中スキル・オン」
「魔法スキル・威力範囲指定・至近距離、一点集中」
「水魔法・ウォーターガン・セット」
魔法の溜めモードに入ったアイナさん。その手にはボクが作った不死の青白金の杖。
戦闘モードに入った事に気付いたサーベルウルフはアイナさんに襲いかかってきた。
魔法攻撃は中距離から攻撃出来る。でもアイナさんはギリギリまでサーベルウルフを引きつけてヒラリと躱す。
「発動」
サーベルウルフの首元にゼロ距離からの魔法攻撃。そのままバタンと倒れるサーベルウルフ。これならきっとボクの渡した杖がなくてもサーベルウルフは簡単に倒せるはず。
「戦闘モード・オフ」
「はい、おしまい。こんな感じでよかったかしら」
サーベルウルフの首元に一撃。サーベルウルフの牙も毛皮も傷一つない。
「バッチリです。これから採取作業に入ります」
「一点集中スキル・オン」
「剥ぎ取り採取作業・開始」
サーベルウルフの死体からは無数の輝く点と並んだ輝く点。
頭の方にあるいくつかの点は牙の採取の点。身体の方にある並んだ点は毛皮の採取の点。というよりその並んで見える点の姿は点というより線。
まずは剥ぎ取り採取しやすいように頭と胴体を切り離す。サーベルウルフの首の所に解体用のナイフを差し込み首を切断。
牙の採取はオープンベータ版の時でもほとんどやった事のない作業。なので先に毛皮の採取から始める。
身体から見えるほとんど線になっている輝く点に沿ってナイフを差し込み毛皮を切り離す。
「よし、サーベルウルフの毛皮をゲットだぜ。品質はどうだ?」
サーベルウルフの毛皮、95%の最高品質。
「最高品質で採取出来たのは、アイナさんが傷一つ付ける事なく倒したおかげだな」
サーベルウルフの肉はあまり美味しくないため、肉は取らない。
次はサーベルウルフの牙の採取。牙の採取はあまりやった事のない作業。特に丁寧な作業を心がけてやろう。
牙の近くにある輝く点にナイフを差し込んでいき、皮を剥いで頭蓋骨を取り出す。
「次は牙の取り外しだが、ナイフでいけるのか?」
輝く点にナイフを差し込んでも簡単に採取できる感じがしない。
どうする?
このまま強引に力を込めてナイフを差し込めば採取出来るとは思うが、品質が落ちるような気もする。アイナさんがせっかく傷一つ付ける事なく倒してくれたサーベルウルフだ。
どうする?
「この方法は聞いた事はないけど、試しにハンマーとポンチでやってみるか」
切削加工作業をやる感じでポンチを輝く点に当ててハンマーで叩くと牙が綺麗に離れた。
「剥ぎ取り採取作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「この感触なら最高品質で出来たはずだ」
サーベルウルフの牙、95%の最高品質。
「よし、やったぞ。モンスターの剥ぎ取り採取でハンマーとポンチを使うって聞いた事なかったが、このやり方で成功したみたいだな」
パチパチパチパチ
アイナさんが拍手してくれている。なんだか照れるなぁ。
「銀鉱石の時もすごいと思ったけど、剥ぎ取り採取作業はもっと凄かった。お世辞抜きで本当に凄いよ」
「あ、ありがとうございます。この後は鍛冶場での作業になります。そちらもご覧になりますか?」
「あっ、それは遠慮しておく。だってハヤトくんのマイハウスでやるんでしょ?さすがにアイドルが2人きりでマイハウスに行くのはNGでしょ」
鍛冶場でもっとカッコいい姿を見せる事が出来るとちょっとだけ期待していたボク。そうそう上手くいかないよね。
「わ、わかりました。銀鉱石の鋳造は時間かかるので、また連絡しますね」
「はーい、じゃあ私はもう少しここで戦って行くね」
「わかりました。それでは失礼します」
ボクはスマホを取り出し、マイハウスに戻る。これからやるのは銀のハンマーとポンチ作り。
「よし、作業をする前にまずは工程確認からだ」
これから作るのは銀のハンマーとポンチ。
始めに銀鉱石を鋳造して、銀インゴットを作る。
ハンマーの持ち手の部分は鍛冶場に無限にある無名の木を使う。
インゴットの状態にすれば成形作業で形を変える事が出来るので、ハンマーとポンチの型を使って成形する。
「作業工程の確認完了」
「一点集中スキル・オン」
「鋳造作業・開始」
銀鉱石を溶かすために鍛冶場の焼成炉に入れて、魔力操作で温度管理と時間管理をしていく。
銀の鋳造は結構神経を使う作業。銀に不純物が付かないように魔力でコーティングして真空状態を維持しながら作業しなければならない。
温度の上げ方にも注意が必要。
始めに常温の25度から200度くらいまでは30分くらいかけて上げる。
200度まで温まったら1時間かけて500度まで上げる。
500度から960度まで2時間かけて温度を上げて、その温度をキープしながらインゴットの型に流し込む。
でもこれはあくまでも基本的な銀の鋳造の作業方法。
「鋳造作業での点はどのように見えるんだろ」
ボクは炉の温度計と時計を見ながら、魔力を流し込んでゆっくりと温度を上げていく。
温度計や時計はデジタル数字で表示されている。その上に輝く点が見え、次に上げる温度や時間が指し示されている。
温度計は185度、時計は40分。
現在の温度は常温の25度、そこから1分間に4度上げる。
もしかしてこの温度カーブで温めていくのがいいのか?
185度まで上げると、温度計と時計に新たな輝く点が見える。
温度計は525度、時計は68分。
今度は1分間に5度上げる。
次はこの感じで温度を上げていけばいいんだな。
525度まで上げると、温度計と時計に新たな輝く点が見える。
温度計は965度、時計は110分。
今度は1分間に4度上げる。
これが銀の鋳造における最適の温度カーブなのか。
965度まで上げると、温度計と時計に新たに輝く点が見える事はなかった。
「これで終わりだな」
「鋳造作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
焼成炉から溶けた銀を取り出し、インゴットの型に流し込む。ゲームだからインゴットの型に入れるとすぐに固まり、冷却時間は不要。
現実世界でこんな事すれば現場猫案件になってしまう。良い子のみんなはちゃんとリアルとゲームの区別をしないといけないよ。
「品質はどうだ」
銀のインゴット、95%の最高品質。
「よし、第1工程は終了だ」
次は銀のインゴットをハンマーの型とポンチの型に合わせて成形して、完成。
「次の工程確認はオッケーだ」
「一点集中スキル・オン」
「成形作業・開始」
鍛冶場にあるハンマーの型とポンチの型を作業台に持ってくる。銀のインゴットを魔力操作で変形させてハンマーの型とポンチの型の形に合わせる。銀のポンチはこれで完成。最後に出来上がった銀のハンマーの頭に木を差し込んで、銀のハンマーも完成。
「成形作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「品質はどうだ」
銀のハンマーとポンチ、95%の最高品質。
「よし、これでミスリル鉱石採取の準備完了。アイナさんにメッセージを送信だ」
とその前に時間を確認。昨日みたいな失敗を犯さないのが出来る男。アイナさんと別れたのがお昼時。それから銀の鋳造で約4時間、成形作業で1時間。という事はもう少しすれば夕食時でもあるな。
最高品質のミスリル鉱石を採取した後はアイナさんとの夕食。そしてその後は……って妄想する前にメッセージ送信だ。
『銀のハンマーとポンチの製作終わりました。ミスリル鉱石の採取行きましょう』
『オッケー。もう少しで夕食食べ終わるからちょっと待ってて』
……よし、ミスリル採取も頑張るぞ。
ボクがこれから東の王国で行う事。まずは銀のハンマーとポンチを作る事。その銀のハンマーとポンチを使って最高品質のミスリル鉱石を採取。
最高品質のミスリル鉱石と最高品質のサーベルウルフの牙で作れるのが生産3種の神器の1つのミスリルのハンマーとポンチ。
銀鉱石はこのオオカミ平原でも採取出来るので、ボクが銀を採取している間にアイナさんにサーベルウルフを討伐してもらう予定。
「それじゃあよろしくお願いします」
「えー、私ハヤトくんが作業しているところ見たいな」
えっ、なんで?
「だってハヤトくんってオーラゼロなのにすごい事バンバンやってるんでしょ。ちゃんと自分の目でそのすごい事をやる姿を見たいなって思ってさ」
オーラゼロだとボクの事を落としてから上げる。この手口はヤバい。
「わ、わかりました」
まだここはサーベルウルフエリアに入る前のエリア。そのエリアの端まで行くと銀を採取出来る場所がある。ボクとアイナさんはそこに到着。ボクはハンマーとポンチをアイテム袋から取り出し、シルバーに光り輝く場所を叩く。
カンッ、カンッ、カンッ
『銀鉱石を採取しました』
「えっ、これだけ?」
「この後は切削加工作業というのがあるんですが、それも見ますか?」
「見たい、見たい」
「わかりました」
見られてるとなんだか緊張するな。緊張して手元が狂わないといいんだけど。余計な事考えてないで集中、集中。
「一点集中スキル・オン」
「切削加工作業・開始」
銀鉱石から点が見えてきた。余計に付いている石を取るための点だ。ボクはその点にポンチを当ててハンマーで叩いていく。
カンッ、カンッ、カンッ
「切削加工作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「品質はどうだ」
銀鉱石、95%の最高品質。
「よし、最高品質だ」
「すごいね。ちゃんとハヤトくんも出来る男の顔してた」
作業に集中してて、すっかりアイナさんが隣にいる事を忘れてた。あらためて褒められるのはすごい嬉しい気分になる。
「この後は鍛冶場に戻ってからの作業になります」
「わかったわ、じゃあ次は私の番ね。私だってちゃんと出来るところをハヤトくんに見せて上げるわ」
ボクとアイナさんはサーベルウルフのいるエリアに移動。さすがに2日目にもなると昨日より多くの人がいて、普通にサーベルウルフを倒している人もいる。
「アイドルは目立ってなんぼ。派手にいくわよ」
「あっ、牙には傷付けないように討伐お願いします」
「えー、魔法だとそういうの地味だし面倒くさいんだよね」
「なんかごめんなさい」
「まぁいいよ、仕方ない。じゃあ戦闘モードに入るから、ハヤトくんは下がってて」
「はい」
戦闘モードに入ると途端に変わるアイナさんの雰囲気。
「瞑想スキル・オン」
「一点集中スキル・オン」
「魔法スキル・威力範囲指定・至近距離、一点集中」
「水魔法・ウォーターガン・セット」
魔法の溜めモードに入ったアイナさん。その手にはボクが作った不死の青白金の杖。
戦闘モードに入った事に気付いたサーベルウルフはアイナさんに襲いかかってきた。
魔法攻撃は中距離から攻撃出来る。でもアイナさんはギリギリまでサーベルウルフを引きつけてヒラリと躱す。
「発動」
サーベルウルフの首元にゼロ距離からの魔法攻撃。そのままバタンと倒れるサーベルウルフ。これならきっとボクの渡した杖がなくてもサーベルウルフは簡単に倒せるはず。
「戦闘モード・オフ」
「はい、おしまい。こんな感じでよかったかしら」
サーベルウルフの首元に一撃。サーベルウルフの牙も毛皮も傷一つない。
「バッチリです。これから採取作業に入ります」
「一点集中スキル・オン」
「剥ぎ取り採取作業・開始」
サーベルウルフの死体からは無数の輝く点と並んだ輝く点。
頭の方にあるいくつかの点は牙の採取の点。身体の方にある並んだ点は毛皮の採取の点。というよりその並んで見える点の姿は点というより線。
まずは剥ぎ取り採取しやすいように頭と胴体を切り離す。サーベルウルフの首の所に解体用のナイフを差し込み首を切断。
牙の採取はオープンベータ版の時でもほとんどやった事のない作業。なので先に毛皮の採取から始める。
身体から見えるほとんど線になっている輝く点に沿ってナイフを差し込み毛皮を切り離す。
「よし、サーベルウルフの毛皮をゲットだぜ。品質はどうだ?」
サーベルウルフの毛皮、95%の最高品質。
「最高品質で採取出来たのは、アイナさんが傷一つ付ける事なく倒したおかげだな」
サーベルウルフの肉はあまり美味しくないため、肉は取らない。
次はサーベルウルフの牙の採取。牙の採取はあまりやった事のない作業。特に丁寧な作業を心がけてやろう。
牙の近くにある輝く点にナイフを差し込んでいき、皮を剥いで頭蓋骨を取り出す。
「次は牙の取り外しだが、ナイフでいけるのか?」
輝く点にナイフを差し込んでも簡単に採取できる感じがしない。
どうする?
このまま強引に力を込めてナイフを差し込めば採取出来るとは思うが、品質が落ちるような気もする。アイナさんがせっかく傷一つ付ける事なく倒してくれたサーベルウルフだ。
どうする?
「この方法は聞いた事はないけど、試しにハンマーとポンチでやってみるか」
切削加工作業をやる感じでポンチを輝く点に当ててハンマーで叩くと牙が綺麗に離れた。
「剥ぎ取り採取作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「この感触なら最高品質で出来たはずだ」
サーベルウルフの牙、95%の最高品質。
「よし、やったぞ。モンスターの剥ぎ取り採取でハンマーとポンチを使うって聞いた事なかったが、このやり方で成功したみたいだな」
パチパチパチパチ
アイナさんが拍手してくれている。なんだか照れるなぁ。
「銀鉱石の時もすごいと思ったけど、剥ぎ取り採取作業はもっと凄かった。お世辞抜きで本当に凄いよ」
「あ、ありがとうございます。この後は鍛冶場での作業になります。そちらもご覧になりますか?」
「あっ、それは遠慮しておく。だってハヤトくんのマイハウスでやるんでしょ?さすがにアイドルが2人きりでマイハウスに行くのはNGでしょ」
鍛冶場でもっとカッコいい姿を見せる事が出来るとちょっとだけ期待していたボク。そうそう上手くいかないよね。
「わ、わかりました。銀鉱石の鋳造は時間かかるので、また連絡しますね」
「はーい、じゃあ私はもう少しここで戦って行くね」
「わかりました。それでは失礼します」
ボクはスマホを取り出し、マイハウスに戻る。これからやるのは銀のハンマーとポンチ作り。
「よし、作業をする前にまずは工程確認からだ」
これから作るのは銀のハンマーとポンチ。
始めに銀鉱石を鋳造して、銀インゴットを作る。
ハンマーの持ち手の部分は鍛冶場に無限にある無名の木を使う。
インゴットの状態にすれば成形作業で形を変える事が出来るので、ハンマーとポンチの型を使って成形する。
「作業工程の確認完了」
「一点集中スキル・オン」
「鋳造作業・開始」
銀鉱石を溶かすために鍛冶場の焼成炉に入れて、魔力操作で温度管理と時間管理をしていく。
銀の鋳造は結構神経を使う作業。銀に不純物が付かないように魔力でコーティングして真空状態を維持しながら作業しなければならない。
温度の上げ方にも注意が必要。
始めに常温の25度から200度くらいまでは30分くらいかけて上げる。
200度まで温まったら1時間かけて500度まで上げる。
500度から960度まで2時間かけて温度を上げて、その温度をキープしながらインゴットの型に流し込む。
でもこれはあくまでも基本的な銀の鋳造の作業方法。
「鋳造作業での点はどのように見えるんだろ」
ボクは炉の温度計と時計を見ながら、魔力を流し込んでゆっくりと温度を上げていく。
温度計や時計はデジタル数字で表示されている。その上に輝く点が見え、次に上げる温度や時間が指し示されている。
温度計は185度、時計は40分。
現在の温度は常温の25度、そこから1分間に4度上げる。
もしかしてこの温度カーブで温めていくのがいいのか?
185度まで上げると、温度計と時計に新たな輝く点が見える。
温度計は525度、時計は68分。
今度は1分間に5度上げる。
次はこの感じで温度を上げていけばいいんだな。
525度まで上げると、温度計と時計に新たな輝く点が見える。
温度計は965度、時計は110分。
今度は1分間に4度上げる。
これが銀の鋳造における最適の温度カーブなのか。
965度まで上げると、温度計と時計に新たに輝く点が見える事はなかった。
「これで終わりだな」
「鋳造作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
焼成炉から溶けた銀を取り出し、インゴットの型に流し込む。ゲームだからインゴットの型に入れるとすぐに固まり、冷却時間は不要。
現実世界でこんな事すれば現場猫案件になってしまう。良い子のみんなはちゃんとリアルとゲームの区別をしないといけないよ。
「品質はどうだ」
銀のインゴット、95%の最高品質。
「よし、第1工程は終了だ」
次は銀のインゴットをハンマーの型とポンチの型に合わせて成形して、完成。
「次の工程確認はオッケーだ」
「一点集中スキル・オン」
「成形作業・開始」
鍛冶場にあるハンマーの型とポンチの型を作業台に持ってくる。銀のインゴットを魔力操作で変形させてハンマーの型とポンチの型の形に合わせる。銀のポンチはこれで完成。最後に出来上がった銀のハンマーの頭に木を差し込んで、銀のハンマーも完成。
「成形作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「品質はどうだ」
銀のハンマーとポンチ、95%の最高品質。
「よし、これでミスリル鉱石採取の準備完了。アイナさんにメッセージを送信だ」
とその前に時間を確認。昨日みたいな失敗を犯さないのが出来る男。アイナさんと別れたのがお昼時。それから銀の鋳造で約4時間、成形作業で1時間。という事はもう少しすれば夕食時でもあるな。
最高品質のミスリル鉱石を採取した後はアイナさんとの夕食。そしてその後は……って妄想する前にメッセージ送信だ。
『銀のハンマーとポンチの製作終わりました。ミスリル鉱石の採取行きましょう』
『オッケー。もう少しで夕食食べ終わるからちょっと待ってて』
……よし、ミスリル採取も頑張るぞ。
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