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第1章 アテナ復活
3話 東の王国へ
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再び採取した薬草は99%の最高品質。鉄鉱石は50%の普通品質。
それから鍛冶と錬金をすませてきて50%の普通品質のショートソードと99%の最高品質のポーションが準備出来た。
それらのアイテムをアテナ像の前に捧げると声が聞こえてきた。
「貴方は純生産職として頑張るのですね。こんなにも高品質なモノを捧げてくれる貴方にはこのアイテムを差し上げます。どうか悪魔の手からこの世界を救ってください」
『熟練生産者の指輪を手に入れました』
「それでは始まりの街に転移させますね」
一瞬の暗転。そして広がる街並みは始まりの街の景色。
「ウソ、マジで!ここで熟練生産者の指輪が手に入るなんて思っても見なかったよ」
熟練生産者の指輪。敵がノンアクティブになる。生産スキル1種につき50%。
生産スキルを持っていない人がこのアイテムを装備しても効果はない。2種類の生産スキルを持って初めて完全ノンアクティブになる仕様。
「このアイテムがあれば確実に行けるぞ」
熟練生産者の指輪は東の王国で手に入るアイテム。普通であればゲーム開始直後は始まりの街で武器防具を揃えると共にレベルを上げてから東の王国へ行き、そこで手に入るアイテム。
このアイテムがあれば非戦闘時は敵に邪魔される事はなくなるため、生産者にとっては必須アイテム。
このアイテムがあれば確実に誰よりも先にストーリーを進める事が出来る。
このゲームのメインストーリー。第1章はアテナ復活。アテナの骨と言われるアイテムを製作すれば第2章が始まる。
アテナの骨を製作するためには、始めに4つの青を集める必要がある。東の王国で手に入るブループラチナメタル。西の王国で手に入るブルーアイズホワイトタイガーの目。南の王国で手に入る青の石版、サファイアタブレット。北の王国で入る青海月水晶。
オープンベータ版の時は大手クランのホワイトスネークとホワイトタートルが互いに邪魔した結果、第1章からストーリーが進まなかった。
この状況に対して運営会社にクレームも入ったのだが、運営会社からは正式リリースの際に対処しますとのアナウンスがあった程度でオープンベータ版の時は何かするという事はなかった。そして具体的に何をするのか回答が何もないまま今に至る。
だからみんな不安を抱えたままスタートダッシュで東の王国に行って、大手クランの邪魔が入る前に何とかするという結論に至った人が多い。
逆に言うと真っ先に東の王国でブループラチナメタルを採取出来た人がこのゲームの鍵を握る事になる。もちろんボクもそれを狙っている。
今までのボクはボッチのモブキャラ。彼女がいた事がなければ友達もいない。目立つ事もなく、ただ空気のようにいる存在。
そんな自分を変えたいと思い、このゲームを始めたが、ゲームの中でもその立ち位置は変わる事はなかった。
だけど今、ようやくチャンスが巡ってきた。このチャンスを逃すつもりはない。ボクは始まりの街に入る事なく東の王国へ。
東の王国へ行くにはオオカミ平原を通り抜け、ウサギの丘を通り越して行く必要がある。
ウサギの丘は通り抜ける分にはアクティブモンスターと遭遇する事はない。だがオオカミ平原は違う。
オオカミ平原は基本的にアクティブモンスターしかいない。しかも脚も速いので逃げ切る事も困難。だから普通は始まりの街でレベルを上げて、装備もしっかりと整えて準備する必要がある。
大手クランの人達はスタートダッシュを決めるためにレベルを上げる事もなく、装備を整える事もなく、人海戦術でオオカミ平原のモンスターから逃げて逃げて逃げまくって、誰か1人でもウサギの丘に行き、東の王国へ辿り着く方法を取る。
「思っていたよりも人が多いなぁ」
オオカミ平原の入り口まで来ると、多くの人達は急ぎ足で奥へ奥へと向かって行く。
すぐにウルフにやられる人。ウルフを躱してもハイウルフに捕まりやられる人。見えている部分だけでも多くの人が初期装備のままで死んでいく。さらに奥に行けば1番の難所とも言われるサーベルウルフがいる。ここを通り抜ければウサギの丘に辿り着く。
「イヤ、人が多ければ多いほど、ボクの存在はバレるリスクが少なくなるんだ。ボクもこの流れに乗って一気に行くぞ!」
意気込んでみたものの、鈍臭いボクが真っ直ぐウルフ達を無視して奥に進めば、悪目立ちしてしまう。
「人の後ろをなんとなく付いていって、ウルフ達を躱してるように見せかけながら進もう」
ボクは辺りをウロウロと見渡しながら、襲われる事とはないとわかっているウルフ達を警戒してるフリをしながら、先に進む。
「ふー、なんとかウルフエリアは超えた。だけどこっからが大変だ」
ハイウルフがいるエリアはウルフがいるエリアとは違い、ハイウルフにやられて死んでいる人が沢山。
「さっきみたいな行動を取ると今度は逆に悪目立ちしそうだな。でも急いで行かないとスタートダッシュに失敗するかもしれない。ここは何も考えずに真っ直ぐ進んで行くしかない。っていうかほとんどの人がそうしてる」
ボクは襲われる事がないとわかりながら、辺りを見渡す事なく、ハイウルフエリアを駆け抜ける。
「っていうかよくよく考えたら、他の人も周りを見渡しながら行ける余裕がある人なんていないよね。っていうかあれなんだ?」
大勢の初期装備の人達が1匹のサーベルウルフを取り囲み攻撃をしている。
「人海戦術でサーベルウルフを倒そうとしてるって事かぁ。これがホワイトスネークのやり方なんだな」
大手クランのホワイトスネーク。金(リアルマネー)にものを言わせて大勢の人を雇いゲームをやっているクラン。
サーベルウルフの皮で作れる銀狼のマントはモンスターに狙われにくくなる効果がある。
ホワイトスネークは誰よりも早く確実に東の王国へ行く方法を選択したみたいだ。でも残念だったな。まさか熟練生産者の指輪を持っているボクがここにいる事は想定の範囲外だろう。
ここまで来ると人はほぼいない。いたとしてもソロでサーベルウルフ達の群れに襲われて死んで行く人達だけ。
「ここまで来たらもう何したって悪目立ちするから駆け抜けるだけだ。うぉーーーー」
ボクは知らない間に大声を出しながら走り出していた。そして気付くとサーベルウルフエリアを超えていた。
「ようやくここまで来たな」
サーベルウルフエリアを超えた先にあるのはウサギの丘とオオカミ平原のボスエリア。オオカミ平原のボスは死獣・月の銀狼・フェンリル。
このゲームには12死獣と言われるボスがいて、フェンリルもその1匹。多くの人がフェンリルに挑むも倒せた人は誰もいない。
メインストーリーを進めていくと第4章・死獣の力というストーリーが始まるのでその時に倒せるのではという見解が多くある。
ちなみにだがメインストーリーは第1章・アテナ復活、第2章・愛を取り戻せ、第3章・時は金なり、第4章・死獣の力、という事がわかっていて、それぞれの章でそのトランプのマークに対応する人達が活躍する事が公式アナウンスとして出ている。
「って今はボスの事なんかどうでもいい。ウサギの丘に行って東の王国に辿り着くのが先だ。急ごう」
ウサギの丘を超え、ボクは東の王国に辿り着いた。
~~~
「ようやくサーベルウルフを倒せたぞ。っていうかさっきのヤツらは一体なんだったんだ」
「そんなもん知らねーよ。っていうかアイツらの事は誰にも言うんじゃねーぞ。蛇白レミに知られたら俺らが殺されるぞ」
「お、おう」
それから鍛冶と錬金をすませてきて50%の普通品質のショートソードと99%の最高品質のポーションが準備出来た。
それらのアイテムをアテナ像の前に捧げると声が聞こえてきた。
「貴方は純生産職として頑張るのですね。こんなにも高品質なモノを捧げてくれる貴方にはこのアイテムを差し上げます。どうか悪魔の手からこの世界を救ってください」
『熟練生産者の指輪を手に入れました』
「それでは始まりの街に転移させますね」
一瞬の暗転。そして広がる街並みは始まりの街の景色。
「ウソ、マジで!ここで熟練生産者の指輪が手に入るなんて思っても見なかったよ」
熟練生産者の指輪。敵がノンアクティブになる。生産スキル1種につき50%。
生産スキルを持っていない人がこのアイテムを装備しても効果はない。2種類の生産スキルを持って初めて完全ノンアクティブになる仕様。
「このアイテムがあれば確実に行けるぞ」
熟練生産者の指輪は東の王国で手に入るアイテム。普通であればゲーム開始直後は始まりの街で武器防具を揃えると共にレベルを上げてから東の王国へ行き、そこで手に入るアイテム。
このアイテムがあれば非戦闘時は敵に邪魔される事はなくなるため、生産者にとっては必須アイテム。
このアイテムがあれば確実に誰よりも先にストーリーを進める事が出来る。
このゲームのメインストーリー。第1章はアテナ復活。アテナの骨と言われるアイテムを製作すれば第2章が始まる。
アテナの骨を製作するためには、始めに4つの青を集める必要がある。東の王国で手に入るブループラチナメタル。西の王国で手に入るブルーアイズホワイトタイガーの目。南の王国で手に入る青の石版、サファイアタブレット。北の王国で入る青海月水晶。
オープンベータ版の時は大手クランのホワイトスネークとホワイトタートルが互いに邪魔した結果、第1章からストーリーが進まなかった。
この状況に対して運営会社にクレームも入ったのだが、運営会社からは正式リリースの際に対処しますとのアナウンスがあった程度でオープンベータ版の時は何かするという事はなかった。そして具体的に何をするのか回答が何もないまま今に至る。
だからみんな不安を抱えたままスタートダッシュで東の王国に行って、大手クランの邪魔が入る前に何とかするという結論に至った人が多い。
逆に言うと真っ先に東の王国でブループラチナメタルを採取出来た人がこのゲームの鍵を握る事になる。もちろんボクもそれを狙っている。
今までのボクはボッチのモブキャラ。彼女がいた事がなければ友達もいない。目立つ事もなく、ただ空気のようにいる存在。
そんな自分を変えたいと思い、このゲームを始めたが、ゲームの中でもその立ち位置は変わる事はなかった。
だけど今、ようやくチャンスが巡ってきた。このチャンスを逃すつもりはない。ボクは始まりの街に入る事なく東の王国へ。
東の王国へ行くにはオオカミ平原を通り抜け、ウサギの丘を通り越して行く必要がある。
ウサギの丘は通り抜ける分にはアクティブモンスターと遭遇する事はない。だがオオカミ平原は違う。
オオカミ平原は基本的にアクティブモンスターしかいない。しかも脚も速いので逃げ切る事も困難。だから普通は始まりの街でレベルを上げて、装備もしっかりと整えて準備する必要がある。
大手クランの人達はスタートダッシュを決めるためにレベルを上げる事もなく、装備を整える事もなく、人海戦術でオオカミ平原のモンスターから逃げて逃げて逃げまくって、誰か1人でもウサギの丘に行き、東の王国へ辿り着く方法を取る。
「思っていたよりも人が多いなぁ」
オオカミ平原の入り口まで来ると、多くの人達は急ぎ足で奥へ奥へと向かって行く。
すぐにウルフにやられる人。ウルフを躱してもハイウルフに捕まりやられる人。見えている部分だけでも多くの人が初期装備のままで死んでいく。さらに奥に行けば1番の難所とも言われるサーベルウルフがいる。ここを通り抜ければウサギの丘に辿り着く。
「イヤ、人が多ければ多いほど、ボクの存在はバレるリスクが少なくなるんだ。ボクもこの流れに乗って一気に行くぞ!」
意気込んでみたものの、鈍臭いボクが真っ直ぐウルフ達を無視して奥に進めば、悪目立ちしてしまう。
「人の後ろをなんとなく付いていって、ウルフ達を躱してるように見せかけながら進もう」
ボクは辺りをウロウロと見渡しながら、襲われる事とはないとわかっているウルフ達を警戒してるフリをしながら、先に進む。
「ふー、なんとかウルフエリアは超えた。だけどこっからが大変だ」
ハイウルフがいるエリアはウルフがいるエリアとは違い、ハイウルフにやられて死んでいる人が沢山。
「さっきみたいな行動を取ると今度は逆に悪目立ちしそうだな。でも急いで行かないとスタートダッシュに失敗するかもしれない。ここは何も考えずに真っ直ぐ進んで行くしかない。っていうかほとんどの人がそうしてる」
ボクは襲われる事がないとわかりながら、辺りを見渡す事なく、ハイウルフエリアを駆け抜ける。
「っていうかよくよく考えたら、他の人も周りを見渡しながら行ける余裕がある人なんていないよね。っていうかあれなんだ?」
大勢の初期装備の人達が1匹のサーベルウルフを取り囲み攻撃をしている。
「人海戦術でサーベルウルフを倒そうとしてるって事かぁ。これがホワイトスネークのやり方なんだな」
大手クランのホワイトスネーク。金(リアルマネー)にものを言わせて大勢の人を雇いゲームをやっているクラン。
サーベルウルフの皮で作れる銀狼のマントはモンスターに狙われにくくなる効果がある。
ホワイトスネークは誰よりも早く確実に東の王国へ行く方法を選択したみたいだ。でも残念だったな。まさか熟練生産者の指輪を持っているボクがここにいる事は想定の範囲外だろう。
ここまで来ると人はほぼいない。いたとしてもソロでサーベルウルフ達の群れに襲われて死んで行く人達だけ。
「ここまで来たらもう何したって悪目立ちするから駆け抜けるだけだ。うぉーーーー」
ボクは知らない間に大声を出しながら走り出していた。そして気付くとサーベルウルフエリアを超えていた。
「ようやくここまで来たな」
サーベルウルフエリアを超えた先にあるのはウサギの丘とオオカミ平原のボスエリア。オオカミ平原のボスは死獣・月の銀狼・フェンリル。
このゲームには12死獣と言われるボスがいて、フェンリルもその1匹。多くの人がフェンリルに挑むも倒せた人は誰もいない。
メインストーリーを進めていくと第4章・死獣の力というストーリーが始まるのでその時に倒せるのではという見解が多くある。
ちなみにだがメインストーリーは第1章・アテナ復活、第2章・愛を取り戻せ、第3章・時は金なり、第4章・死獣の力、という事がわかっていて、それぞれの章でそのトランプのマークに対応する人達が活躍する事が公式アナウンスとして出ている。
「って今はボスの事なんかどうでもいい。ウサギの丘に行って東の王国に辿り着くのが先だ。急ごう」
ウサギの丘を超え、ボクは東の王国に辿り着いた。
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「ようやくサーベルウルフを倒せたぞ。っていうかさっきのヤツらは一体なんだったんだ」
「そんなもん知らねーよ。っていうかアイツらの事は誰にも言うんじゃねーぞ。蛇白レミに知られたら俺らが殺されるぞ」
「お、おう」
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