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第6話『今日から魔界で勉強会!』
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ある日の放課後。
真菜とコランとアイリとレイトは、図書室で一緒に勉強をしていた。
期末テストが近いという事もあり、この『仲良しメンバー』で集まる事が多くなった。
真菜とコラン以外の生徒たちは、人間界を行き来できない。
放課後に4人が集まれる場所と言えば、校内しかないのだ。
読書用の大きな机に真菜とコランが並んで座り、向かい側にアイリとレイトが並んで座っている。
真菜が『歴史』の教科書とノートを見ながら頭を抱える。
「歴史のテストって、魔王先生の事が出るのよね?好きな食べ物とか?」
「父ちゃんは肉料理が好きだぜ!」
それは、悪魔全般が肉食だからでは……。とりあえずノートには書いておく。
魔王に関しては家族であるコランとアイリに聞くのが一番だが、どこまで聞けばいいのか分からない。
というか、この勉強が真菜の将来に役に立つのかも分からない。
「例えば、今、僕が読んでいる本に書いてある事なんだけど」
レイトが、自分のカバンから1冊の本を取り出して見せた。分厚くて難しそうな本だ。
隣に座るアイリが、興味津々でその本を覗きこみながら言う。
「その本に、パパの事が書いてあるの?」
「うん。魔王サマには昔、宿敵がいたらしいよ」
「父ちゃんに宿敵!?それテストに出るかもな、教えてくれ!」
息子のコランですら知らない、魔王の過去。
そういう情報って、魔王は教えてくれないのだろうか……。
とりあえずノートを取る準備をして、真菜はレイトの言葉を待ち構える。
「それは『最強の死神』とあるけど、名前までは書かれてないね」
真菜は『死神』という言葉に反応して、視線をノートからレイトに移す。
何か、不吉な予感を思わせる。
コランは、どうもピンとこないようだ。
「死神って、人間の魂を食う奴だろ?なんで父ちゃんの宿敵なんだ?」
「力の競い合いとか、女の取り合いとか色々書かれているけど、どれも仮説で伝説化してるね」
いやいや、魔王は健在なんだから、伝説って……。
魔王本人にとっては触れたくない過去なのかもしれない。
すると、レイトが突然、思わぬ発言をした。
「もし、この学校に、その死神のスパイがいたら……大変だよね」
真菜とコランとアイリとレイトは、図書室で一緒に勉強をしていた。
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真菜とコラン以外の生徒たちは、人間界を行き来できない。
放課後に4人が集まれる場所と言えば、校内しかないのだ。
読書用の大きな机に真菜とコランが並んで座り、向かい側にアイリとレイトが並んで座っている。
真菜が『歴史』の教科書とノートを見ながら頭を抱える。
「歴史のテストって、魔王先生の事が出るのよね?好きな食べ物とか?」
「父ちゃんは肉料理が好きだぜ!」
それは、悪魔全般が肉食だからでは……。とりあえずノートには書いておく。
魔王に関しては家族であるコランとアイリに聞くのが一番だが、どこまで聞けばいいのか分からない。
というか、この勉強が真菜の将来に役に立つのかも分からない。
「例えば、今、僕が読んでいる本に書いてある事なんだけど」
レイトが、自分のカバンから1冊の本を取り出して見せた。分厚くて難しそうな本だ。
隣に座るアイリが、興味津々でその本を覗きこみながら言う。
「その本に、パパの事が書いてあるの?」
「うん。魔王サマには昔、宿敵がいたらしいよ」
「父ちゃんに宿敵!?それテストに出るかもな、教えてくれ!」
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「それは『最強の死神』とあるけど、名前までは書かれてないね」
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