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第4話『今日から悪魔と晩ご飯!』
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「コランくんは、アイリちゃんが……好きなの?」
真菜は、思い切って聞いてみた。
「うん、好きだ」
コランの答えは、清々しいまでにハッキリとしていた。
その『好き』の言葉の重みも、先ほど真菜に向けられた同じ言葉とは違う印象を受ける。
……あれ?
なんで、こんな変な気持ちになるんだろう……
先ほどまでの楽しい気持ちが、どこかへ沈んでいくような……。
真菜は、この感覚が何なのか分からなくて戸惑っていた。
「だって、大切な妹だからな」
「そう、妹……は?……妹!?」
真菜は、モヤモヤした思考から一気に覚醒した。
テーブルに両手をついて身を乗り出し、正面に座るコランに捲し立てる。
「アイリちゃんって、コランくんの妹なの!?」
「あれ?知らなかったのか、魔界の常識だぞ」
「魔界の常識なんて知らないわよ!!」
「これもテストに出るぞ」
「なら、もっと早く言ってよ!!」
アイリがコランの妹であるなら、いくつもの疑問が思い浮かぶ。
真菜はこの際、全ての質問をコランにぶつけようと思った。
まず、二人は全然似ていない。
「オレは父ちゃん似で、アイリはお母さん似だ!」
コランの答えは、納得できるものだった。
父親だけ『父ちゃん』呼びなのは、愛嬌だと思っておこう。
それならば、次の疑問。
アイリは少し幼く見えるが、それほど歳が離れているようには見えない。
双子でないなら同学年というのは、おかしい。
「オレとアイリは、400くらい歳が離れてるぞ」
そうだった。年齢に関しては、悪魔基準は理解できないんだった……。
どうやら魔界では、同い年が同学年という訳でもなさそうだ。
それにしても、父親の魔王が担任教師で、生徒に息子と娘がいるって……。
もしかしたら、あの魔王は親バカで過保護なだけ、なのかもしれない。
あの学校の謎が深まった。
「ごちそうさん!!じゃあ、また明日な!!」
肉料理を完食したコランは、元気いっぱいに真菜の家を後にした。
また明日……また明日も。
あの学校に行って、アイリちゃんと一緒にお昼ご飯を食べて、コランくんと一緒に晩ご飯を食べて……。
テーブルの上のお皿を片付けながら、真菜は自然と微笑んでいた。
だが、この時の真菜は、まだ何も気付いてはいなかった。
アイリの本当の『気持ち』も、コランの本当の『目的』も。
真菜が魔界の学校に通う事になった、本当の『理由』にも……。
真菜は、思い切って聞いてみた。
「うん、好きだ」
コランの答えは、清々しいまでにハッキリとしていた。
その『好き』の言葉の重みも、先ほど真菜に向けられた同じ言葉とは違う印象を受ける。
……あれ?
なんで、こんな変な気持ちになるんだろう……
先ほどまでの楽しい気持ちが、どこかへ沈んでいくような……。
真菜は、この感覚が何なのか分からなくて戸惑っていた。
「だって、大切な妹だからな」
「そう、妹……は?……妹!?」
真菜は、モヤモヤした思考から一気に覚醒した。
テーブルに両手をついて身を乗り出し、正面に座るコランに捲し立てる。
「アイリちゃんって、コランくんの妹なの!?」
「あれ?知らなかったのか、魔界の常識だぞ」
「魔界の常識なんて知らないわよ!!」
「これもテストに出るぞ」
「なら、もっと早く言ってよ!!」
アイリがコランの妹であるなら、いくつもの疑問が思い浮かぶ。
真菜はこの際、全ての質問をコランにぶつけようと思った。
まず、二人は全然似ていない。
「オレは父ちゃん似で、アイリはお母さん似だ!」
コランの答えは、納得できるものだった。
父親だけ『父ちゃん』呼びなのは、愛嬌だと思っておこう。
それならば、次の疑問。
アイリは少し幼く見えるが、それほど歳が離れているようには見えない。
双子でないなら同学年というのは、おかしい。
「オレとアイリは、400くらい歳が離れてるぞ」
そうだった。年齢に関しては、悪魔基準は理解できないんだった……。
どうやら魔界では、同い年が同学年という訳でもなさそうだ。
それにしても、父親の魔王が担任教師で、生徒に息子と娘がいるって……。
もしかしたら、あの魔王は親バカで過保護なだけ、なのかもしれない。
あの学校の謎が深まった。
「ごちそうさん!!じゃあ、また明日な!!」
肉料理を完食したコランは、元気いっぱいに真菜の家を後にした。
また明日……また明日も。
あの学校に行って、アイリちゃんと一緒にお昼ご飯を食べて、コランくんと一緒に晩ご飯を食べて……。
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だが、この時の真菜は、まだ何も気付いてはいなかった。
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真菜が魔界の学校に通う事になった、本当の『理由』にも……。
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