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第39話『再会、そして再開(前)』
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グリアが学校を休んだ事は、以前にもある。
その時は力の使いすぎで、『栄養不足』に陥ったのが原因だった。
亜矢はリョウと共に下校し、そのまま一緒にマンションのグリアの部屋のドアの前まで来ていた。
「死神、中にいるのかしら?また栄養不足で倒れているんじゃ…」
亜矢が不安そうに隣のリョウに話しかけるが、リョウは目の前のドアを凝視している。
中に入らなくても、リョウはグリアの気配だけで在宅かどうか分かるのだ。
「う~ん、家にはいないみたいだね。気配がしないよ」
「どこに行ったのかしら?昨日も『口移し』してないし、あいつ本当に倒れちゃうわよ」
それは本心からグリアを心配しているのか、それとも『つわり』によるキス衝動を満たしたいがためなのか……。
亜矢は、この複雑な気持ちの正体に気付いてはいなかった。
するとリョウが、さらに深刻な顔になる。
「おかしいよ、グリアの気配を『全く』感じないんだ。人間界にはいないのかも…」
「え!?本当に、どこ行っちゃったの!?」
グリアが異世界に行ったとしたら、何の目的で……?
グリアは天界にも魔界にも侵入した事があるだけに、その動向が心配になる。
亜矢が不安そうな顔を向けると、リョウが明るく笑顔で返してきた。
「まぁグリアも、そこまで無茶はしないよ。お腹が空けば帰ってくるんじゃないかな」
いや。グリアは今まで、命を削るような無茶は何度もしてきた。
亜矢の命を蘇らせるために。リョウを救うために。
……全ては、誰かの為に。
という事は、今回も誰かのために無茶を……?
それなのに、そんな軽いノリでいいのだろうか、とリョウの笑顔に亜矢は戸惑う。
だが、亜矢よりもずっとグリアとの付き合いが長いリョウが言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。
その時は力の使いすぎで、『栄養不足』に陥ったのが原因だった。
亜矢はリョウと共に下校し、そのまま一緒にマンションのグリアの部屋のドアの前まで来ていた。
「死神、中にいるのかしら?また栄養不足で倒れているんじゃ…」
亜矢が不安そうに隣のリョウに話しかけるが、リョウは目の前のドアを凝視している。
中に入らなくても、リョウはグリアの気配だけで在宅かどうか分かるのだ。
「う~ん、家にはいないみたいだね。気配がしないよ」
「どこに行ったのかしら?昨日も『口移し』してないし、あいつ本当に倒れちゃうわよ」
それは本心からグリアを心配しているのか、それとも『つわり』によるキス衝動を満たしたいがためなのか……。
亜矢は、この複雑な気持ちの正体に気付いてはいなかった。
するとリョウが、さらに深刻な顔になる。
「おかしいよ、グリアの気配を『全く』感じないんだ。人間界にはいないのかも…」
「え!?本当に、どこ行っちゃったの!?」
グリアが異世界に行ったとしたら、何の目的で……?
グリアは天界にも魔界にも侵入した事があるだけに、その動向が心配になる。
亜矢が不安そうな顔を向けると、リョウが明るく笑顔で返してきた。
「まぁグリアも、そこまで無茶はしないよ。お腹が空けば帰ってくるんじゃないかな」
いや。グリアは今まで、命を削るような無茶は何度もしてきた。
亜矢の命を蘇らせるために。リョウを救うために。
……全ては、誰かの為に。
という事は、今回も誰かのために無茶を……?
それなのに、そんな軽いノリでいいのだろうか、とリョウの笑顔に亜矢は戸惑う。
だが、亜矢よりもずっとグリアとの付き合いが長いリョウが言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。
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