69 / 90
第10話『アイリの決意と、コランの作戦』
(5)
しおりを挟む
次の日、緊急会議が開かれた。
場所はいつもの会議室、そしてメンバーも以前と似た感じだ。
アイリと真菜、コランとレイト。
つまり、『王子と王女、その側近』の4人だけの会議。
全員が元・同級生の仲良しメンバーなので、会議というよりは同窓会のようだ。
代理魔王のコランが中心となって会議を進める。
「今日の議題は、ディアを取り戻す方法だ」
全員がコランに注目して、同時に頷く。
ディアを取り戻す、つまり封印されたディアの記憶を取り戻す方法だ。
まずレイトが意見を述べる。
「封印はエメラさんしか解けないなら、他の方法で『思い出させる』しかないよね」
「うーん、頭を殴る、とかか?」
「お兄ちゃん、それはやめて……」
無邪気で悪意はないだけに、コランの意見は怖い。
するとアイリの隣で黙っていた真菜が、ぼそっと一言呟いた。
「やっぱり、アイリちゃんの愛が鍵だと思う」
しん、と静まり返る会議室。
何故か全員、口を開けて頬を赤くしている……気がする。
理屈ではなく愛での解決を語るロマンチストな真菜に、誰もが目から鱗だ。
真菜は全員の顔を見回して慌てる。
「え?私、なんか変なこと言った!?」
「いや、真菜。それだ!よし、思い付いたぞ!!」
コランは何を思い付いたのか、突然立ち上がった。
そしてやっぱり、まずは例の前置きを言う。
「これから、魔王であるオレの意見を述べる」
「……『代理』魔王でしょ」
「レイト、うるさいぞ!」
少し前にも全く同じシーンを見た気がする……とアイリは思った。
コホンと咳払いをして、コランは改めて発言をする。
「ディアを迎えに行くんじゃない。今度は逆に招待するんだ」
「……は?」
3人揃って、同じ声が出てしまった。
コランの意図が全く読めない。
コランの彼女の真菜でさえ、それを通訳できずに戸惑っている。
「ちょっと待ってよ、コランくん。招待しても、喜んで来るとは思えないけど」
真菜の言う通り、エメラは魔王を憎んでいるし、アディも魔王を忌まわしく思っている。
場所はいつもの会議室、そしてメンバーも以前と似た感じだ。
アイリと真菜、コランとレイト。
つまり、『王子と王女、その側近』の4人だけの会議。
全員が元・同級生の仲良しメンバーなので、会議というよりは同窓会のようだ。
代理魔王のコランが中心となって会議を進める。
「今日の議題は、ディアを取り戻す方法だ」
全員がコランに注目して、同時に頷く。
ディアを取り戻す、つまり封印されたディアの記憶を取り戻す方法だ。
まずレイトが意見を述べる。
「封印はエメラさんしか解けないなら、他の方法で『思い出させる』しかないよね」
「うーん、頭を殴る、とかか?」
「お兄ちゃん、それはやめて……」
無邪気で悪意はないだけに、コランの意見は怖い。
するとアイリの隣で黙っていた真菜が、ぼそっと一言呟いた。
「やっぱり、アイリちゃんの愛が鍵だと思う」
しん、と静まり返る会議室。
何故か全員、口を開けて頬を赤くしている……気がする。
理屈ではなく愛での解決を語るロマンチストな真菜に、誰もが目から鱗だ。
真菜は全員の顔を見回して慌てる。
「え?私、なんか変なこと言った!?」
「いや、真菜。それだ!よし、思い付いたぞ!!」
コランは何を思い付いたのか、突然立ち上がった。
そしてやっぱり、まずは例の前置きを言う。
「これから、魔王であるオレの意見を述べる」
「……『代理』魔王でしょ」
「レイト、うるさいぞ!」
少し前にも全く同じシーンを見た気がする……とアイリは思った。
コホンと咳払いをして、コランは改めて発言をする。
「ディアを迎えに行くんじゃない。今度は逆に招待するんだ」
「……は?」
3人揃って、同じ声が出てしまった。
コランの意図が全く読めない。
コランの彼女の真菜でさえ、それを通訳できずに戸惑っている。
「ちょっと待ってよ、コランくん。招待しても、喜んで来るとは思えないけど」
真菜の言う通り、エメラは魔王を憎んでいるし、アディも魔王を忌まわしく思っている。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる