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エピローグ
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23歳の春。
巴衣は、教壇に立っていた。
姫乃と明は去年の冬に結婚した。
白無垢姿の姫乃は、まるで本物のお姫様だった。
あいつがいたら。
きっと。泣いて喜んだだろう。
六郎が帰ってから、もう六年。
あの日から巴衣は歴史を読み漁った。
どこかに六郎はいないか。
いつか聞いた先生の言葉。
歴史の残酷なところ。
それはもう一つある。
表舞台に決して登場しない者たちがいた、ということ。
六郎。
あれからあなたは名前が変わったの?
義仲への忠義を尽くすことは出来た?
志は、ちゃんと果たせた?
私を…。
私たちを、忘れずにいてくれた?
答えはどこにも残されていない。
巴衣は歴史の教師を目指した。
戦乱の世を駆け抜けたのは。
命をかけて、信念を貫き生きたのは。
名だたる武将たちだけではない。
私たちは、歴史を知るべきだ。
そこには。
名もなき侍たちが、確かにいたことも。
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