【完結】○の奇妙なショートストーリーズ

感動

１

まずはネコと私の出会いから。

それまでの私ったら、それはそれは心が荒れすさんでいたものだ。
そんな時に出会った、ネコの存在は私を大きく変えていく。
色が無かった世界が華やかに彩られたあの日。

それは何てことのない、いつもの日常の中で突然に訪れた。
当時の私は小学二年生。
その日も学校帰りに友達と遊ぶ約束をしていた。

家に帰ると、そこにいたのは。
とても小さなキジ模様のお客様。

まだ赤ちゃんだったその子は、声もか細くて。体も凄く小さい。
その小さな体を一生懸命に使って鳴く、子ネコ。
それは何とも愛くるしいものだった。
カラスに襲われていたところを妹が助けて連れて帰ってきたらしい。
妹は必死にネコを飼えるようにと交渉中。

かわいい。
私はそれに尽きる。
何てかわいいんだろう。それしか考えられなかった。
遊んでいる間もずっとネコの事を考えていた。

あの子は我が家の一員になるの？

ワクワクした。
帰ったらいない。なんて想像すら出来なかった。
これまでに猫がいる生活は何度かあったのに…、あの子は一目見た瞬間でもう、全てが特別だと感じたのだ。
まだ少し見ただけなのに、私はもう夢中。
それはまるで魔法のようだった。

飼うと決まってからの私の浮かれぶりは大変である。
一緒に寝たいと我儘を言ってみたものの、いざ寝るとなると、あまりの小ささに潰してしまわないかと心配になった。

覚束ない足取りで付いてくる姿。
安心しきって眠りこける姿。
カンガルーの赤ちゃんのようにエプロンから顔を覗かせる姿。
哺乳瓶で一生懸命にミルクを飲む姿。

どれをとっても愛らしい。誰よりも何よりも愛おしい。

私たちはいつも一緒にいた。
公園に遊びに行く時も、家族旅行で海に行った時も。
怒られてる時も、具合が悪い日も。
ネコは離れることなく側にいた。

そうやって共に育っていったのだ。