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【番外編】3.ホラーゲームに目覚めるレン氏
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ミルフィオリ~幽霊領域~
千花学園と呼ばれた貴族の学園が舞台。
三年前、沢山の生徒達の遺体が発見された。
どれも奇妙なものばかりだった。
皆、個々に頭に一本の花を咲かせて亡くなっていた。百合、薔薇、向日葵、パンジー、数多の種類の花を一つ、無残に脳から咲かせていたのだ。
そして、この不可思議な事件に興味を持った者達がこの学園を訪れるが、誰一人、帰っては来ることは無かったそうだ。
まるで、事件の解明を闇に消そうとしているかのように、今も尚その学園を覆い隠すがごとく草花が増殖し続けているそうだ。
また数年の月日が経ち、その事件に立ち向かう、一人の霊媒師がいた。
ついに、学園の秘密が明かされるのか!?
「やってるよ、絶対これ儀式的なものやってるよ?」
レン様空気読んで下さい。
「レン様ぁ~!? まずはやってからそういう感想をですね」
早速レン様がコントローラーを動かす。
「左スティックで移動、右スティック視点移動は定石ね。三人称視点、いいね。FPS苦手だからさぁ。あっ、懐中電灯はもうマストアイテムでしょうよ」
前回もそうだが、レン様は怖いながらもドンドン進んでくれるタイプだ。しかもよく喋ってくれるので配信者向きである。
というか、結構詳しいのでは?
「んもぅ~何ぃ? うわ、草ボーボーじゃん。いっつも思うんだけどさ、ホラーゲームってさ、何で日没行動なの? 明朝! 太陽がいる時にこういうとこ来なさいよ? 朝からごくろう様です~って、なんでこんな夜に来るの? 仕事終えてくるわけ? そんな疲れてんのに除霊パワー残ってるわけ?」
レン様、よく喋る喋る。あぁ、コメント欄に草がいっぱい生えている。
ふとカラスが飛び立った。
「きえっ!? なっ、カ~ラ~ス~! 空気読むなよほんとっ!? 視界悪くて急に出て来てもよく見えないから困るんだけど!」
でもサクサク進むレン様。
「懐中電灯これ電池減るシステム? あぁ電池マーク減っとるやん! 除霊しなきゃいけないのに電池の残量も気にしないといけないとか! 先が思いやられるんだけど」
突然のムービー。
「ぅわっ!? コントローラーブルブルしてんだけど。な、何急にムービータイムとか」
そして、ムービー中に敵である幽霊が一体出現した。足が無いのに足音から始める謎の登場シーン。
「あっ、あぁ~結構はっきり幽霊って見えるんだ? この人・・・あ、清掃業者さんっぽい。巻き込まれて可哀想に・・・」
「レン様! 始まりますよ!」
ヴィンヴインヴイィン!
幽霊がチェーンソーを構え向かって来た。
「なぁんで幽霊はそんな凶器持ってんの!? 俺は!? 武器武器!」
そして、主人公の除霊システムのチュートリアルが始まる。
「え? △で幽霊召喚?」
レン様が△ボタンを押すと、主人公が右手を前にした。すると、ぶわっと一体の美女幽霊が召喚される。そして視点がその女幽霊視点に切り替わる。
「おおおおおたくだれ? この美女幽霊誰よ? 待って! シャベル持ってるんだけど! 先が尖ったシャベルの方が個人的に好きなんだけど、あ、〇で攻撃・・・ああっ! 殴ってる! こ、こんなか弱そうな女性幽霊があぁ! チェーンソーに勝てるんだシャベル!? 頭部殴って頭にある花を潰せばいいのか、コンボ!? 〇△△!」
レン様が幽霊をシャベルで殴りコンボを決めていく。
「ねぇ待って! こんなに幽霊頑張ってるのに主人公は高みの見物? 俺の後ろで何してんの? 何その『召喚!』ポーズでかっこよく時間を止めてんの? あんたも戦いなさいよ!?」
主人公が攻撃を喰らうと攻撃できなくなりますというアラームが鳴り響く。
「うっそ! 主人公庇いながら? 電池の残量気にしながら?」
シャベルが壊れた。
「木のシャベルが壊れた? 待って、嘘。シャベルの耐久値も気にしなきゃいけないの!? どうせ鉄、鋼、銀、金、最後はクリスタルのシャベルか!?」
「確かミスリル鉱石のものかと」
「んんん~っ! どんだけシャベルだよ!」
「あ、ダウンロードコンテンツを買っておきましたんで、シャベル以外でも殴れますよ」
「えっ!? エクスカリ」
「ありません」
「フライパ」
「ありません」
「如意ぼ」
「ありません」
「んんじゃぁ何っ!?」
「炎の魔法が付与された扇子、ロケットランジャー弾数制限付き、じょうろ・・・、あ、レベルが高いほど素手で殴って花を引きちぎれますよ。敏捷性のパラメーターが上がれば先制攻撃でカットインが入ります」
「パ、パパパパパラメーター? うっわ、敏捷性? 攻撃力、防御力とか! へ? 仲間が増えてパーティー組めるの? いやこんな危険な場所で生き残ってる人はあれだよ! 最後幽霊でしたーってオチだよ! ハッ、幽霊じゃなっ」
「レン様ぁーっ! やってみないと! ねぇっ!? コメントもネタバレ禁止でお願いしますね!」
釘を刺しておかないとコメントでネタバレする人が出て来るので要注意だ。
「分かった、もうその時に考える。そう、ゲームは操作を体で覚えさせるんだ、考えるのはその後!」
「はい! 頑張ってレン様!」
チュートリアルを終え、いざ本編へ。
千花学園と呼ばれた貴族の学園が舞台。
三年前、沢山の生徒達の遺体が発見された。
どれも奇妙なものばかりだった。
皆、個々に頭に一本の花を咲かせて亡くなっていた。百合、薔薇、向日葵、パンジー、数多の種類の花を一つ、無残に脳から咲かせていたのだ。
そして、この不可思議な事件に興味を持った者達がこの学園を訪れるが、誰一人、帰っては来ることは無かったそうだ。
まるで、事件の解明を闇に消そうとしているかのように、今も尚その学園を覆い隠すがごとく草花が増殖し続けているそうだ。
また数年の月日が経ち、その事件に立ち向かう、一人の霊媒師がいた。
ついに、学園の秘密が明かされるのか!?
「やってるよ、絶対これ儀式的なものやってるよ?」
レン様空気読んで下さい。
「レン様ぁ~!? まずはやってからそういう感想をですね」
早速レン様がコントローラーを動かす。
「左スティックで移動、右スティック視点移動は定石ね。三人称視点、いいね。FPS苦手だからさぁ。あっ、懐中電灯はもうマストアイテムでしょうよ」
前回もそうだが、レン様は怖いながらもドンドン進んでくれるタイプだ。しかもよく喋ってくれるので配信者向きである。
というか、結構詳しいのでは?
「んもぅ~何ぃ? うわ、草ボーボーじゃん。いっつも思うんだけどさ、ホラーゲームってさ、何で日没行動なの? 明朝! 太陽がいる時にこういうとこ来なさいよ? 朝からごくろう様です~って、なんでこんな夜に来るの? 仕事終えてくるわけ? そんな疲れてんのに除霊パワー残ってるわけ?」
レン様、よく喋る喋る。あぁ、コメント欄に草がいっぱい生えている。
ふとカラスが飛び立った。
「きえっ!? なっ、カ~ラ~ス~! 空気読むなよほんとっ!? 視界悪くて急に出て来てもよく見えないから困るんだけど!」
でもサクサク進むレン様。
「懐中電灯これ電池減るシステム? あぁ電池マーク減っとるやん! 除霊しなきゃいけないのに電池の残量も気にしないといけないとか! 先が思いやられるんだけど」
突然のムービー。
「ぅわっ!? コントローラーブルブルしてんだけど。な、何急にムービータイムとか」
そして、ムービー中に敵である幽霊が一体出現した。足が無いのに足音から始める謎の登場シーン。
「あっ、あぁ~結構はっきり幽霊って見えるんだ? この人・・・あ、清掃業者さんっぽい。巻き込まれて可哀想に・・・」
「レン様! 始まりますよ!」
ヴィンヴインヴイィン!
幽霊がチェーンソーを構え向かって来た。
「なぁんで幽霊はそんな凶器持ってんの!? 俺は!? 武器武器!」
そして、主人公の除霊システムのチュートリアルが始まる。
「え? △で幽霊召喚?」
レン様が△ボタンを押すと、主人公が右手を前にした。すると、ぶわっと一体の美女幽霊が召喚される。そして視点がその女幽霊視点に切り替わる。
「おおおおおたくだれ? この美女幽霊誰よ? 待って! シャベル持ってるんだけど! 先が尖ったシャベルの方が個人的に好きなんだけど、あ、〇で攻撃・・・ああっ! 殴ってる! こ、こんなか弱そうな女性幽霊があぁ! チェーンソーに勝てるんだシャベル!? 頭部殴って頭にある花を潰せばいいのか、コンボ!? 〇△△!」
レン様が幽霊をシャベルで殴りコンボを決めていく。
「ねぇ待って! こんなに幽霊頑張ってるのに主人公は高みの見物? 俺の後ろで何してんの? 何その『召喚!』ポーズでかっこよく時間を止めてんの? あんたも戦いなさいよ!?」
主人公が攻撃を喰らうと攻撃できなくなりますというアラームが鳴り響く。
「うっそ! 主人公庇いながら? 電池の残量気にしながら?」
シャベルが壊れた。
「木のシャベルが壊れた? 待って、嘘。シャベルの耐久値も気にしなきゃいけないの!? どうせ鉄、鋼、銀、金、最後はクリスタルのシャベルか!?」
「確かミスリル鉱石のものかと」
「んんん~っ! どんだけシャベルだよ!」
「あ、ダウンロードコンテンツを買っておきましたんで、シャベル以外でも殴れますよ」
「えっ!? エクスカリ」
「ありません」
「フライパ」
「ありません」
「如意ぼ」
「ありません」
「んんじゃぁ何っ!?」
「炎の魔法が付与された扇子、ロケットランジャー弾数制限付き、じょうろ・・・、あ、レベルが高いほど素手で殴って花を引きちぎれますよ。敏捷性のパラメーターが上がれば先制攻撃でカットインが入ります」
「パ、パパパパパラメーター? うっわ、敏捷性? 攻撃力、防御力とか! へ? 仲間が増えてパーティー組めるの? いやこんな危険な場所で生き残ってる人はあれだよ! 最後幽霊でしたーってオチだよ! ハッ、幽霊じゃなっ」
「レン様ぁーっ! やってみないと! ねぇっ!? コメントもネタバレ禁止でお願いしますね!」
釘を刺しておかないとコメントでネタバレする人が出て来るので要注意だ。
「分かった、もうその時に考える。そう、ゲームは操作を体で覚えさせるんだ、考えるのはその後!」
「はい! 頑張ってレン様!」
チュートリアルを終え、いざ本編へ。
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